2023夏アニメ 8月22日視聴分 | アニメ視聴日記

アニメ視聴日記

日々視聴しているアニメについてあれこれ

2023年夏アニメのうち、8月21日深夜に録画して8月22日に視聴した作品は以下の2タイトルでした。

 

 

政宗くんのリベンジR

第8話を観ました。

今回が終わると残りは4話となり、いよいよ終盤の展開に突入です。今回はその前の準備を整えておくエピソードという感じで、政宗と愛姫が交際を始めてからずっと溜まっていたモヤモヤにそれぞれが心の中でその解決のための1つの方向性を見出していくというのが描かれた印象です。

まず政宗の方は前回、愛姫に触れると蕁麻疹が出てしまうことを寧子に相談して「余計な思い込みや先入観を捨てるように」と諭されました。それで政宗は自分の目が曇っていて、自分の本当の気持ちも自分は分からなくなっているのかと思い悩む。自分は復讐が無意味になったと分かって、昔みたいに愛姫と仲良く出来ると思って愛姫との交際を始めたのだと思っていた。吉乃もそれを望んでいて全て上手くいっていると思っていた。だが行き詰ってしまったのは、自分が愛姫に復讐しようとしていたことを秘密にしていることが心に引っかかっていたからなのかとも思ったが、寧子は子供の頃の想いなど大して大事ではなく、政宗は今の愛姫のことをそもそも好きではないのだと指摘した。

政宗はそんなことはないと思った。むしろ今の自分のことを否定して子供の頃のことばかり言ってくるのは愛姫の方である。だが、自分がそんな愛姫を疎ましく思っているのも確かであった。確かに自分は昔ほどは愛姫のことを好きではないのかもしれない。そんな愛姫と無理をして交際をしているからストレスになっているのだろうかとも政宗は思ったが、寧子に触れられても突然に蕁麻疹が出てしまったりして、政宗はワケが分からなくなってしまった。

寧子が指摘していたのはおそらく政宗が復讐が無意味になって愛姫と交際するようになった以降に自己否定感が強まってしまい過去の自分を知る人間から現在の自分が否定されることを恐れていることがストレスの原因なのだということであり、そうした悪しき自己否定の思い込みや先入観を捨てるようにと諭しているのでしょう。寧子に触れられて蕁麻疹が出たのも寧子が自分の幼少期からの知り合いだと判明したからなのでしょう。だが政宗はそういうことが理解出来ておらず、ただ単に自分が思い込みや先入観で目が曇って自分の気持ちも分からなくなっているのだと思った。このワケの分からない状況を説明するのには何となく漠然とそう考えるしかなかったといえます。

だが、そう考えることで政宗の到達した結論は「結局自分のことが何も分からない」という不毛な結論でしかなく、政宗は完全に行き詰ってしまった。すると、そこに吉乃が買い物の途中で通りかかって足を挫いて倒れてしまう。それで政宗は放っておくことは出来ず吉乃をおぶって安達垣屋敷まで行こうとする。吉乃はこれ以上に政宗に惹かれてしまうことがないように今は出来るだけ政宗と距離を置きたいと思っているので拒否しようとしますが、1人でマトモに歩けない状態だったのでとりあえずは政宗に身を任せます。

それでも長時間の密着はやはり辛くて、公園で休むことになり、そこで吉乃は政宗に愛姫とのクリスマスデートのことで突っ込んでくる。もともと政宗が愛姫との交際が上手くいかないと相談して吉乃がアドバイスして実現したのがクリスマスデートです。それが不首尾に終わったのだから吉乃が政宗に文句をつけるのは当然といえます。

吉乃の言うには、愛姫はクリスマスデートから帰ってきてからずいぶん落ち込んでいたという。そして、それは予定よりも早く帰らされたから、つまりせっかくのクリスマスデートが全く盛り上がらず中途半端に終わってしまったからだと吉乃は解釈している。まぁそれは確かに事実なのだが、その原因が政宗と愛姫が過去と現在の政宗の扱いについて揉めた挙句に政宗が愛姫に触れて突然に体調不良になってしまったことであるということは、政宗も愛姫も吉乃には伝えていない。そしてまた、そもそも愛姫が落ち込んでいた理由の大部分を占めていたのは、そういったトラブルよりもむしろ愛姫がたまたま政宗のメモ帳に書かれた愛姫へのリベンジを誓った言葉を見てしまったからなのですが、そのことは愛姫は政宗にはもちろん吉乃にも秘密にしている。

だから吉乃は単に政宗がデートが下手くそで失敗したのだと思っていて、次のデートではしっかり愛姫を押し倒すようにと政宗に厳命しますが、クリスマスイブに愛姫を押し倒して体調不良になってしまった政宗にとってはそれは無茶な命令であり、それは無理だと必死に逆らいます。吉乃はそんな政宗の煮え切らない態度に腹を立てて政宗の頬の肉をつまんで捩じ上げますが、その時に政宗はそこまでされても自分は吉乃に対しては蕁麻疹が出ていないということに気がつく。

実際のところ、政宗自身が自分の体調不良の機序について正確に把握は出来ていない。もともとは愛姫に触れた時に体調不良が起きるのではないかと漠然と考えていたのだが、寧子に触れられても発症したことによってよく分からなくなっていたのです。全ての女性に触ってみて確かめたわけではないし、そもそも政宗はそんなに普段から女性と接触しているわけではない。家庭では母親と妹がいるが、そんなベタベタと接触はしない。学校でも女子とベタベタしているわけではない。愛姫と交際し始めてから体調不良になったわけだが、その間に接触した女子といえば愛姫と吉乃と寧子ぐらいといえる。軽く触れる程度ならば他にもいるかもしれないが、おそらく軽く触れる程度では発症しないのでしょう。正月には双葉とも初詣で軽く接触はしていたであろうし、その時には寧子もいて軽く接触はしていたがその際には政宗は発症していない。

おそらく「手を繋ぐ」以上の恋人同士を意識させるような親密な身体的接触の時だけに発症するのでしょう。だから実際のところ、誰となら発症して、誰となら発症しないとか、確認するのは難しいといえます。たまたま愛姫と寧子とはそうした親密な接触があったから発症の確認は出来たが、他はどうなのかよく分からない。だから吉乃と親密な接触をして発症しなかったからといって、それがどういう意味を持つのかは厳密には分からないはずです。例えば双葉と同じぐらいの接触をしたとしても政宗はおそらく発症しないでしょう。実際はこの症状はおそらく政宗の過去を知る女性限定の症状なので、世の女性の多くは政宗が触れても発症しないはずであり、吉乃がそういうありふれたケースの1つだと解釈することも出来る。

だが、まだ愛姫と寧子とぐらいしか発症の確認を出来ていない政宗は、ここで吉乃に触れても発症しないことの意味を重く解釈してしまった。そして、それは症例の少ない正確性の低い実験結果でありながら、たまたま正鵠を射てしまったのです。政宗は改めて吉乃の方に向き直ると、まず吉乃の頭をポンポンと撫でてみて、それから吉乃の手を握ってみて、更により確実に確認する意味で、吉乃の頭を抱えるようにして抱き寄せてハグします。そして、そこまでしても自分の身体に何の変調も起きないことを確認した政宗は、吉乃は大丈夫なのだと確信する。愛姫や寧子に触れることはストレスと感じる自分が吉乃に触れることはストレスだと感じない。そこにどういう意味があるのかは深くは考えず、政宗はただ後悔した。愛姫と交際などせずに、吉乃と一緒に復讐計画を練っていた日々が続いていれば良かったのにと。自分は吉乃といる時が一番楽しかったのだと。

吉乃の方はいきなり政宗が自分を抱きしめたので驚いたが、抱きしめられながら政宗がずっと自分と一緒にいたかったという後悔の言葉を口にするのを聞くと胸が熱くなって顔が真っ赤になってきた。切ない思いが溢れてきてこのままずっと抱きしめられていたい気持ちにもなったが、裏切り者の自分にそんな資格があるはずがないと思い直し、政宗に頭突きを喰らわして失神させて、政宗の頬に「聞かなかったことにしてあげる」と落書きをして、なんとか足を引きずって1人で帰っていく。政宗が愛姫よりも自分を想ってくれた言葉など、聞かなかったことにでもしなければ、吉乃は自制心を保つことが出来そうになかったので、本当に吉乃自身の中でもそれは「聞かなかったこと」にしたのでした。

その後、公園のベンチで目覚めた政宗は、既に吉乃が居なくなっていて自分の頬に「聞かなかったことにしてあげる」という落書きがしてあることに気付くと、それは吉乃の気遣いだと解釈した。今さら愛姫と交際したことを後悔しているなんて、愛姫に失礼であるし、愛姫と自分の交際を応援してくれている吉乃に対しても失礼だった。そんなことを吉乃に言っても吉乃は怒るだけであろうし、愛姫にそれを伝えるべきかどうかで悩ませることになる。吉乃が「聞かなかったことにする」で収めてくれたのは賢明であるし、政宗にとってもありがたい話だった。だから政宗は言わなくていいことを吉乃に対して言ってしまったと反省し、吉乃に申し訳なく思った。

だが同時に政宗は、それでもさっきの言葉は自分の偽りのない本音だとも思えた。そしてその夜、政宗は自分が愛姫ではなく吉乃と仲良く交際している夢を見てしまい、自分が本当は愛姫ではなく吉乃を好きなのではないかと考える。このように政宗は割と安直に考えてしまっているが、実際のところ政宗が吉乃に触れてもアレルギーを発症しなかったからといって、政宗が吉乃を好きとは限らない。好きか嫌いかでアレルギーが発症するかしないかが決まるわけではないのです。吉乃に触れてもアレルギーが発症しなかったという事実は、政宗自身のストレスの正体を突き止めるためのヒントなのであり、本当は政宗はそこに向き合わねばいけないのです。

さて一方で今回は愛姫の方の心情も描かれていました。愛姫はクリスマスデートの時に政宗の家から帰ってきてからずっと落ち込んでいたと吉乃が言っていましたが、それはたまたま政宗のメモ帳に書かれていた「必ずあの女にリベンジしてやる!!」という文字を見たせいだった。いや、最初はそっちの方は意味が分からず、そんなに気にはしておらず、むしろ愛姫が当初悩んでいたのは、政宗が過去の思い出を大切にする愛姫に水を差すようなことを言ったことの方でした。愛姫はせっかく再会して交際を始めたのだから子供の頃のように仲の良い2人に戻りたいと思っていたのに、政宗は子供の頃には戻りたくないと言い、今の自分には価値が無いのかと文句を言ってきた。そのことが愛姫には不満で、政宗はあの子供の頃の思い出は大切に想ってくれていないのだろうかと愛姫は寂しく感じた。

しかし、その後であのメモ帳の謎の言葉のことを思い出し、愛姫は政宗にとっては子供の頃の思い出は良い思い出ではなかったのではないかと考えた。いや、政宗のあのデートの時の口ぶりからすると、明らかに政宗にとっては子供の頃の思い出は良い思い出ではないのです。ただ愛姫には政宗がそんなふうに思う理由が全く分からなかった。しかし、あのメモ帳に書かれた政宗がリベンジしようとしている「あの女」というのがもし自分だとしたら、全て辻褄が合うのだということに愛姫は気付いたのです。

政宗が子供の頃の2人の関係に戻りたくないと思っているのは、自分と一緒にいた頃の思い出が政宗にとってはそんなに良い思い出ではないということだと愛姫は思った。それはつまり自分が何か気付かないうちに政宗に嫌な思いをさせていたからであり、だから政宗は自分にリベンジをしたいと思っているのではないかと愛姫は思えてきた。いや、政宗の方から交際を申し込んできたのだからそんなわけはないとも思ったのですが、しかしそう考えると、どうして子供の頃に政宗が急に姿を消したのか、再会した後もどうして8ヶ月も正体を隠していたのか、その8ヶ月の間どうして常に印象が悪かったのか、その全ての謎が説明がつくのです。子供の頃に嫌な想いをしたから急に姿を消したのであり、再会後はリベンジをしたいほど恨んでいたから幼馴染として名乗り出ていなかったのであり、政宗がずっと自分に悪意を抱いていたから愛姫も政宗に悪印象を抱いたのです。そのように全ての辻褄が合う。だから愛姫はきっと自分が子供の頃に政宗に嫌な思いをさせてしまい、それで政宗はずっと自分のことを復讐したいほど恨んでいたのだと確信した。

ただ、よく分からない点は、まず自分にはそこまで政宗に恨まれるようなことをした覚えが無いことであった。しかし、これに関しては子供の頃のことでもあるし自分が無自覚なだけで、気が付かないうちに何か酷いことをしてしまったのだろうと考えた。それよりもよく分からないのは、そこまで自分を恨んでいる政宗がどうして自分と交際しているのだろうかという点でした。あるいは復讐の機会を窺っているのかもしれないとも思ったが、現時点の政宗には復讐の意志や強い悪意などは感じない。確かに先日のすれ違いなど上手くいかない点はあるが、以前には感じていた悪意のようなものはもう全く感じられない。そのあたりどうにも謎めいていて、愛姫には政宗が何を考えているのかよく分からなくなってきた。

そして愛姫が最もよく分からなくなってしまっている点は、そんな政宗に対して自分がどういう気持ちで接していいのかという点でした。政宗が自分のことを恨んでいるとして、自分には何をそんなに政宗が恨んでいるのか分からないので謝りようもない。そもそも現時点で政宗が自分を恨んでいるのかどうかさえ分からないのだから、どういう態度を取るべきなのかも分からない。いや、もともと現時点の政宗には謎めいた点が多いので、自分はそこに深入りするのを避けるために子供の頃の関係性に戻そうとしていたのだと愛姫は気付いた。だが政宗はそれは嫌なのだと言う。そうなるとやはり現在の政宗と向き合うことになるのだが、よく分からない理由で自分を恨んでいるかもしれない相手に対してどういう気持ちを抱くべきなのか愛姫にはよく分からない。それで思い悩んでしまい、政宗に会うのも怖くなって連絡もしていない。そういう愛姫の姿を見て吉乃はクリスマスデート以降すごく落ち込んでいるのだと思ってしまったようです。

そういう状態で久しぶりに親衛隊の3人組とのお茶会に出かけた愛姫でしたが、親衛隊の3人は愛姫が政宗と急に交際を開始したという話を聞いて混乱しており、愛姫が政宗に対してどういう気持ちなのか問い質してくる。愛姫もあまりにストレートに斬り込まれたもので、つい素直に政宗に対する愛情が表に出て、恋する乙女の表情となってしまい、親衛隊の3人もその表情を見ただけで、愛姫が幸せならばそれでいいと納得してしまいました。だが愛姫は確かに恋する乙女の顔にはなりましたが、政宗に対する自分の気持ちを言葉でしっかり説明することは出来なかった。それはずっと分からないままだったからです。

そうして結局モヤモヤした気分のまま親衛隊たちと別れて家路についていると、途中でたまたま兼次に出くわした。兼次とは2人きりでちゃんと会うのは12月に政宗が乱入してきて兼次の正体がバレた時以来であり、兼次も気まずそうであったがちょっと話をしようと言って誘い、愛姫と兼次は一緒に喫茶店に入る。愛姫も兼次の事情はだいたい聞いて知っていた。病気の妹の治療費を工面するために安達垣家からの資金援助が必要で、そのために本当は女性である兼次が政宗になりすまして自分を騙して婚約者となり、愛姫の父親からの資金援助の口利きを愛姫にさせようとしていたのだという話です。そして、兼次がそのことを深く後悔して苦悩しているということも知っていました。

だから、席に着くなりテーブルに額をこすりつけるようにして謝罪してくる兼次に対して愛姫は、事情は承知しているし自分は全く怒ってなどいないのだと言って、頭を上げてもらいます。それでも自分が愛姫を騙していたという罪は消えないと言う兼次に対して愛姫はもう済んだことだと言って兼次を赦します。そんなふうに自分を騙していた相手さえ赦せる愛姫の姿を見て、兼次は愛姫は心が強い人だと褒めますが、愛姫は自分は全く強くない、むしろ強いのは兼次の方だと言う。

兼次は確かに悪いことをしたが、それは大切なものを守るために覚悟を決めて為した悪事なのであり、だからこそそうやって何の言い訳もせずに真摯に罪を受け止めようとすることが出来る。それは心の強さなのだと愛姫は称える。その兼次の心の強さに感銘を受けたから愛姫は兼次を赦したのです。そして、それに比べて自分の心は弱いのだとも愛姫は言う。自分は政宗に酷いことをしたのだが、いつどこでどういう酷いことをしたのか全く無自覚で、何の覚悟も無く酷いことをしてしまったようなのだ。だからその罪を受け止めることも出来ず、どういう気持ちでいればいいのか、どうすべきなのかも決められず、ただ政宗から逃げ回っている。自分に謝る覚悟でここに誘ってくれた兼次に比べて自分はなんと情けないのだろうかと愛姫は嘆きます。

しかし、そんな愛姫に対して兼次は自分はそんな立派なものではないということを説明します。自分の悪事は自分の本当に大切なものを守るために為したなんていうものではなかった。本当は兼次は雅宗家の財産を売り払えば妹の治療費を工面することは出来たのです。だが兼次はそうしようとはせず、雅宗家の家格を保つことが妹の幸せなのだと自分に言い聞かせて、愛姫を騙すという自分の罪を正当化していた。そこに罪を受け止める覚悟などはありませんでした。

兼次が罪を受け止める覚悟が出来たのは、愛姫に自分の正体がバレてもうどうしようもなくなって雅宗家の財産か妹の命かの二択を迫られた時に自分の本当に守りたかったものは妹の命と笑顔だけだったのだという「自分の本当の気持ち」に向き合うことが出来た時です。その時に兼次はこれまでにない清々しい気持ちになると同時に、自分が今まで自分の気持ちに嘘をついて愛姫を騙していたのだということに気付き、それこそが最も罪深いことだと知ったのです。その時初めて兼次は自分の罪を受け止めることが出来て、それでこうして愛姫に謝罪することが出来ている。

だから、愛姫も絶対に自分に嘘をついてはいけないんだと兼次は諭す。大切なのは「自分の本当の気持ち」に向き合うことなのです。どういう目的でどういう悪事を為したかなどは大した問題ではないのです。そんなことが分かっているから罪を受け止めることが出来る強さを持てるわけではないのです。大事なのは「今の自分にとって本当に大切なものは何なのか」を知ることなのです。自分の本当の気持ちに向き合うことによってそれを知ることが出来たなら、自分の行為を全て受け止める覚悟は出来るはずなのです。それが人間にとって真の強さだといえる。だから、自分の気持ちに向き合うようにと兼次は愛姫に言う。

そして愛姫は1人で家路につきながら自分の本当の気持ちに向き合ってみる。自分にとって一番大切なものが何なのか考えてみる。過去に自分が何をしたのか、それに対して政宗がどう考えているのかについて思い悩むことが自分にとって一番大切なことではない。そういった悩みから逃れるために過去の思い出に縋ることも一番大切なことではない。自分にとって一番大切なことは今の政宗を自分がどう考えているのかでした。そしてその答えはさっき親衛隊の皆に政宗への気持ちを問われた際にストレートに湧き上がってきた感情で既に答えは出ているように思えた。自分は今の政宗がやはり好きなのであり、そこがブレなければ自分のどんな罪でも受け止められる覚悟は出来るのだと思えて、愛姫は元気が出てきた。

そうして愛姫が屋敷に戻ると、吉乃が帰ってきており足を負傷していたので愛姫は手当をしてあげるのだが、吉乃は裏切り者の自分が愛姫にこのような親切をしてもらう資格は無いと思い苦悩します。吉乃の愛姫に対する裏切りとは、子供の頃に愛姫のフリをして政宗を罵倒して政宗が愛姫を恨むきっかけを作ったこと、そして愛姫に復讐するために現れた政宗に陰に隠れて手を貸して愛姫を何度も騙してきたことであったが、今回特に吉乃が愛姫に対して強い罪悪感を抱いている理由は、そうした紆余曲折を経てようやく結ばれた愛姫の想い人である政宗に抱きしめられて恋心を自覚してしまったという、あってはならない決定的な愛姫への裏切り行為によるものであったのでした。そういう感じでそれぞれの心情が変化していき、物語はいよいよクライマックスに突入していくことになります。

 

 

SYNDUALITY Noir

第7話を観ました。

今回はラブコメ回かと思いきや意外な展開となって物語が転がり出してきました。なんか2クール作品という噂もありますが、とりあえず今期は12話で終わるのだそうで、ちょうど折り返してクール後半に入ったこのエピソードから物語は核心に迫っていきそうですね。基本的に良作だとは思っていましたがストーリーもここから謎が解き明かされて盛り上がってくるとなると、これは意外と今期のダークホースとなるかもしれません。

まず冒頭はノワールがマリアの工房にメンテナンスに出される場面から始まります。前回のカジノの回でバトルロイヤルの最後にノワールがメイガススキルを初めて発動して勝利したんですが、カナタはそれで心配になってノワールをメンテナンスに出すことにしたようです。ここで注目すべきは、カナタがノワールがメイガススキルを使ったと認識していないことです。

メイガススキルというのは0型メイガスだけが使えるという固有の能力で、カナタはノワールが0型メイガスだということも最近ようやく知った状態で、ノワールがバトルロイヤルで使った能力が何なのか分からないので不安になってメンテナンスに出すみたいです。どうやらこの物語世界では0型メイガスのことはあまり詳しくは知られていないようです。

しかし、ここで更に不思議なのは、このノワールのメンテナンスにムートンも同行していることです。あのバトルロイヤルの会場内でノワールがメイガススキルを使ったということをトキオとムートンは認識していました。それなのにカナタはそのことをトキオ達から教えられておらず、カナタが「ノワールが何をしたのか分からない」とか言ってるのを無視してムートンがマリアと一緒にノワールを工房に連れていっているということは、どうもこれはトキオとムートンとマリアはノワールがメイガススキルを使ったということを承知していながらそのことをカナタには内緒にしたままノワールを何らかの目的で工房に運んでいったということみたいですね。このトキオ達の謎の行動の意味は今回は特に明かされることはなかったですけど、次回以降にその謎は明かされていくことになるのでしょう。

そうしてノワールがカナタの家から居なくなりマリアの工房で一泊するということになり、それを知ったエリーがカナタの身の周りの世話をしてカナタとの仲を深めようと目論みますが、てっきりカナタ1人になったと思われたカナタの家にはシエルが居候していて、新婚夫婦みたいな良いムードになっていてシエルはナカタの身の周りの世話をしていた。それでエリーは拗ねて帰ってしまう。エリーはやっぱり不憫で可愛いですね。ただ、ここでエリーがメイガスのシエルに嫉妬しているのを見て、アンジュが人間がメイガスと恋仲になるなんて普通はありえないことだから心配は無いと言いつつ、カナタの場合は変わり者だからありえるとも言っており、エリーがカナタのことでノワールやシエルとの関係を嫉妬するのも、それはカナタだけの特別なケースだということがここで言及されています。

一方、前回カジノで再会したシエルがどうしてカタナの家に居候しているのかというと、とりあえず特に行くアテもなく、カナタに助けられたのでお礼をしたいという意味合いだそうです。それでシエルは見事な手際で家事をしてくれてカナタも家事がポンコツなノワールとの大違いに喜びます。また、シエルがずっと歌を唄いながら家事をしていることにもカナタは癒されて、シエルの歌好きに感心しますが、シエルは歌を唄う方が作業の効率が上がるし、歌を唄うと嫌なことを忘れることも出来るのだと言う。カナタもシエルの歌を好きだと言い和やかな時間が流れていきます。

そうした中でカナタはノワールを遺跡で拾ったことや、ノワールの元のマスターを探し出してやりたいと思っていることなどもシエルに話をします。そして夜になってカナタがベッドを本来寝る必要が無いメイガスのシエルに譲ってハンモックで寝ているのをシエルが不思議がるので、カナタはこれが自分にとっては普通のことだと言う。そこでカナタは自分がメイガスの母親に育てられたのでメイガスを人間のように見るようになったのだということを明かす。

カナタの実の母親は人間なのだが、カナタを産んで早くに亡くなったみたいで、カナタは父親とその相棒メイガスであった女性に育てられ、そのメイガスを母親と認識していたのです。だからカナタはノワールやシエルのようなメイガスのことも人間同様に扱うわけです。エリーもアンジュもカナタのそういう特性を知っているので、カナタがノワールやシエルに恋愛感情を抱くのではないかと思い嫉妬していたのです。

そうしたカナタの生い立ちを知ってシエルは驚きますが、更にカナタの両親がドリフターであり、「新月の涙」という旧文明崩壊をもたらした破局の前の歴史を調べていたこと、そして伝説の都市「イストワール」という楽園を発見しようとしていたこと、そして、その夢の途中で命を落とした両親の後を引き継いでカナタもイストワールを目指しているという話を聞いて更に驚く。そしてカナタが寝入った後、シエルは深夜に1人で家を抜け出してロックタウンのドームの上に登って何処かと交信を始める。

実はシエルはノワールの正体を探るためにカナタの家に潜り込んでいたようです。あのカジノのバトルロイヤル会場でノワールがメイガススキルを使ったことにシエルも気付いていましたが、カナタがそれに気付いていないということは、メイガススキルについて知る者の方が特別だということになる。トキオやムートンやマリアもそっち側なのだが、シエルもそっち側みたいなのです。シエルはノワールがメイガススキルを発動したのを見て、ノワールについて調査しなければいけないと思ったようで、それで適当な理由をつけてカナタの家について来たみたいです。

シエルはどうやら彼女が「組織」と呼ぶ何らかの組織のエージェントのようで、カナタの家に潜入してきたのも組織の任務みたいです。そしてシエルはその組織にノワールが発見されたという遺跡の場所を伝えて調査を依頼し、ノワールが「楽園への鍵」なのではないかという見解も添えます。シエルがそういう見解を持つようになった根拠は明示されていないが、おそらく発動したメイガススキルの種類とか、遺跡で発見されたということなどがその論拠となっているのでしょう。ただ、まだ確証は得られないので調査を継続し、確証を得られ次第ノワールを確保してカナタにノワールを譲渡するよう迫るつもりみたいです。

ただシエルはカナタがすんなりノワールの譲渡に応じるとは思っていない。カナタがノワールのことを道具ではなく人間同様に大切に想っていることを知ったからです。だからきっと交渉は難航するだろうと予想している。そして、その場合に組織がカナタを抹殺しようとする危険性が高いとシエルは危惧している。それは、カナタが「イストワール」を目指す者だということを知ったからです。

どうやらそのシエルの属する組織は「イストワール」を目指そうとする者を危険分子として扱うみたいです。加えてカナタの場合は「楽園への鍵」の可能性が高いノワールを所有しており、そのことがいっそう組織から危険視される可能性が高く、カナタがあくまでノワールを所有したまま「イストワール」を目指すと主張するならば組織はカナタを抹殺するだろうとシエルは見ている。それはつまり、イストワールが「楽園」と言われており、ノワールが「楽園への鍵」の可能性があるということから考えると、ノワールはイストワールに辿り着くための鍵のような存在だということになる。だからカナタがノワールと共にイストワールを目指せばイストワールに辿り着いてしまう可能性が高く、それが「組織」にとっては不都合なことみたいです。

つまり、この「組織」は他の者がイストワールを発見することを阻止しようとしている。それは単にイストワールを隠匿したいからなのか、あるいは自分たちもイストワールを目指していて一番乗りをしたいからなのか、どっちなのかは分からない。とにかく間違いないのは、この組織が「鍵」を探しているということであり、メイガススキルを発動したノワールを調査対象としたということは「鍵」は0型メイガスの中に存在するということになる。そうなると以前に迷路都市で0型メイガス狩りをしていた連中がこの組織と繋がりがあると推理できます。

あの時、メイガス狩りに手を貸していたクラウディアはやけに金払いの良いスポンサーに雇われていたと言っていたが、そのスポンサーというのが「組織」であるのかもしれない。クラウディアの相棒メイガスのフラムも0型メイガスだが、フラムの話によればそのスポンサーは0型メイガスをちょっと調べてすぐに解放してくれているらしいので、「鍵」なのかどうかを調べているだけみたいです。もし確保した0型メイガスが「鍵」ならばそのまま確保するのでしょうけど、そうでない場合はすぐに戻してくれるみたいです。そして、未だに「鍵」は発見出来ていないようです。

このクラディアは単にフラムのメンテナンスのお金に困って組織に雇われていただけみたいなので、カナタがマリアの工房を紹介したことでもう今は組織とは手を切っているはずです。そしてクラウディアはマリアの工房に出入りしており、マリアに組織の動きや「鍵」に関する情報をもたらした可能性がある。マリアやトキオやムートンがノワールのメイガススキルのことなどに妙に詳しくて怪しげな動きをしているのも、そのあたりと関係があるのかもしれません。

また、カジノのバトルロイヤル会場でノワールがメイガススキルを使ったことに気付いていた者があと2人いて、それが黒仮面とシュネーでした。そしてシュネーは前回「鍵を探している」と言っていた。また黒仮面も以前に風俗店で「女神を探している」と言っており「女神=鍵」なのかもしれない。そうなると「マイロード」なんて言われている黒仮面がその「組織」の首魁なのかもしれないが、しかし前回を見る限り、黒仮面やシュネーがシエルを知っている様子は無かった。ただ結果的に黒仮面の行動がシエルを解放してカナタのもとに行くことを可能にしたので連携プレーであった可能性はある。それとも黒仮面やシュネーはシエルの組織とは別個にイストワールを目指す別勢力である可能性もある。

まぁそのあたりの謎はまた次回以降に明らかになっていくでしょうけど、とにかくシエルは昨晩のカナタの話を聞いて、カナタが亡き両親から引き継いだイストワールを目指す夢を簡単に諦めるはずがないと思っている。またカナタが簡単にノワールを手放すはずもないことも分かっている。だからこのままいくとカナタが組織に殺されてしまうのではないかとシエルは危惧している。そんな危惧をするぐらいから組織に報告しなければいいだろうとも思うが、それはやはり組織の一員として報告しないわけにはいかないのでしょう。むしろ組織のエージェントでありながらカナタの命の心配をしてしまっている方がおかしいのであり、それはシエルがカナタのことを好ましい人物だと思ってしまっているからです。

それで翌朝になってもシエルはそのことで頭がいっぱいで、家事をしながら歌を唄わなくなっていました。つまり、シエルが言っていた「歌を唄うと嫌なことを忘れられる」というのは「任務のことを忘れられる」という意味だったのです。シエルにとって任務は実は「嫌なこと」なのであり、シエルの本質は決して生粋のエージェントではなくて、やはり歌姫なのであり、理想のマスターに出会うのが夢だという話も決して作り話の嘘ではないのです。ただ何らかの経緯があって組織のエージェントをやっているだけであり、本当はそんなことをしたいわけじゃない。だから普段は任務のことを忘れて本来の自分でいるために歌を口ずさんでいるのだが、今朝は任務のことで頭がいっぱいで歌を唄うどころではなかったのでしょう。

そんなシエルを見てカナタは何か落ち込んでいるのではないかと心配します。それでトキオ達に相談してみたところ「好きなことを思い切りやるのが良い」とアドバイスされて、シエルが歌が好きだと言っていたのを思い出し、シエルに思い切り歌を唄わせようと考えて、ロックタウンの外にトレーラーで連れ出します。シエルはもしかしたら自分が怪しまれているのではないかと警戒しますが、いっそこの2人きりの状況でカナタを電撃で眠らせておいて、その間にノワールを連れ去ってしまえばカナタが組織に殺されずに済むのではないかと考えてカナタを襲おうとします。

しかしその直前に目的地に到着してシエルのカナタ襲撃は未遂に終わる。目的地は円形劇場の遺跡で、そこで思い切り唄って昨日の元気を取り戻してほしいというカナタの言葉を聞き、シエルはカナタの優しさに触れて胸が熱くなる。そして思い切り歌を唄い、もう自分がただのメイガスとして組織の道具に徹することなど出来なくなっていることに気付き、カナタの傍に居ようと決意する。そうしてそこを襲撃してきたエンダーズの群れに対して、カナタと共にコンフィに乗り込んで、カナタのパートナーとして戦いエンダーズ達を撃破し、2人は強い絆で結ばれるのでした。