2021夏アニメ A-ランク作品その1 | アニメ視聴日記

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2021年夏アニメのA-ランクの作品は16位から12位までの5作品でした。

私の基準ではA-ランク以上の作品が普通に楽しく観ることが出来ている作品であって、A-ランクならば十分に良い作品といえます。SランクとかA+ランクというのは自分から見てプラスアルファの面白い部分があるという作品であって、別にA-ランクだからといってSランクやA+ランクと違って特別に劣っているというわけではない。普通に良い作品だと思っています。

 

そのA-ランク以上の作品が16作品しか無いというのは、やはりちょっと通常のクールに比べて少なめといえます。その根本的な原因としてコロナ禍で作品数自体がもともと少なかったので良い作品自体が少なめになってしまったというのもあるが、直接的な原因としては「探偵はもう死んでいる」とか「僕たちのリメイク」などの期待作や「ひぐらし卒」「はめふら2期」みたいな実績のあるシリーズ作品がBランク以下に落ちてしまったからです。これらはSランクまではいかずともA-ランクぐらいには残ると思っていたので誤算でした。

そう考えると、下記の16位の作品なんかも「ひぐらし卒」「はめふら2期」と極めてよく似た境遇の作品で、実績のあるシリーズの作品であったが期待ほどは良くなかった。ただ同じような感じであった「ひぐらし卒」「はめふら2期」が最後はBランクに落ちてしまったのに対して16位の作品はギリギリA-ランクに踏みとどまった。

 

A-ランクでも下位の方は長所と欠点が拮抗して少し長所の方が勝ってBランクよりは上であるというようなものもある。このクールはそういうA-ランク作品が割と多くて、終盤に入った時点で「ひぐらし卒」「はめふら2期」と下記の16位と15位の作品の合わせて4作品がそういうボーダーに近い作品で、そのうち最終的には「ひぐらし卒」「はめふら2期」がBランクに落ちて、16位と15位の作品がA-ランクに残った。下記の2作品はそういう作品であり、A-ランクの中でもちょっと評価の低めの作品だといえます。では、以下に16位と15位の作品を紹介します。

 

 

16位 転生したらスライムだった件 第2期 第2部

この作品はなろう系ライトノベルが原作のアニメで、異世界転生系の作品。というより、異世界転生系作品の代表格であり最大のヒット作品だと言っていいでしょう。現代日本のサラリーマンが通り魔に刺されて死んだら人間や魔族が住む中世ヨーロッパ風の剣と魔法の異世界で魔族側の最弱モンスターであるスライムに転生してしまったのだが、転生時に得たスキルを元手に様々な能力を獲得して強くなっていき、色々な魔族を仲間にして国を作っていくという長編物語。テレビアニメは2018年の秋クールから2019年冬クールにかけて連続2クール放送で第1期が放映され、次いで第2期は分割2クール放送となり、2021年冬クールに第2期の第1部が放映され、1クール空けて、この2021年夏クールにこの第2期第2部が放映されたのでした。そういうわけで、この第2期第2部は2021年冬アニメとして放映された第2期第1部の続きが描かれています。第2期第1部は2021年冬アニメの中でA+ランクの最上位に評価しており、かなり面白かった。その内容は主人公のスライムであるリムルが仲間の魔族たちと作ったテンペスト王国がリムルの留守中に魔王クレイマンと手を組んだファルムス王国という別の人間の王国から非道な攻撃を受けて多くの仲間が殺されてしまい、死んだ仲間達を生き返らせるためには自分が魔王に進化する必要があると知り、魔王進化のために大量の人間の魂を必要とするため、ファルムス王国の軍勢2万を一人で殲滅して魔王に進化を遂げ、死んだ仲間達を生き返らせたというものでした。

このように2期1部はかなりドラマチックな内容であり、元人間である主人公リムルが初めて人間と争うことに迷い、異世界で仲間たちと理想の世界を築くために人間との戦いを決断し、初めて仲間達に自分が元人間であることを打ち明けてケジメをつけるなど物語上の大きなポイントも描かれ、軍勢の殲滅や魔王進化などの一大スペクタクルシーンもあり、非常に見応えがあった。それで高い評価をしていた2期1部の続きがこの2期2部では描かれたわけだが、1話から5話ぐらいまでかけて延々と会議の場面が描かれて、その2期1部で起きたことを説明したり、次にやることを決定したりしていく。次にやることというのは敵の黒幕であるクレイマンをやっつけることであり、そんなことは分かり切った展開です。それを延々と丁寧に政治的外交的手続きを描いていく。そういう丁寧さはリアルではあるが、所詮は異世界モノは荒唐無稽な世界だから丁寧な心情描写があるならともかく、ただただプロセスを丁寧にリアルに描いても単に冗長なだけになってしまう。この作品は元々丁寧な心情描写があるわけではなく、むしろ途中で話が雑談に流れたり小ネタに脱線したりして会議自体がなかなか進まず終わらないので退屈の極みとなってしまった。

正直言って5話までは時間の無駄と言ってもいい。ただそこで議題となっている2期1部絡みの話自体は面白いので、全くつまらないというわけではない。そして6話以降、ようやく戦いに向けてリムル達が動き出し、他の魔王たちも登場してくると一気に面白くなってくる。ここで2期1部並みの面白さであればA-ランクの上位ぐらいになったであろうけど、この6話以降も確かに派手な戦闘シーンは幾つもあって見応えはあったのだが、主人公のリムルは今度は魔王たちが集うワルプルギスという会議に参加する。また会議です。ただ、さすがに延々と話し合いではなく、その場でクレイマンとバトルとなって決着をつけるのだが、このリムルの2期2部唯一のバトルがラスト2話でやっと描かれ、しかもリムルが魔王進化で強くなりすぎてクレイマンが雑魚すぎてほぼ瞬殺で盛り上がらない。しかも場所が狭い会議場で、2期1部のスペクタクルには迫力面でも遠く及ばない。

こういう何とも微妙な感じで終わってしまったわけですが、「ひぐらし卒」や「はめふら2期」みたいに酷い終わり方をしたわけではなく、ちゃんと敵を倒してリムルが正式に魔王と認められて新たな時代が始まるという綺麗な終わり方をしているので、あまり盛り上がらないまま終わってしまったものの、ギリギリA-ランクに残ったという感じです。

 

 

15位 ジャヒー様はくじけない!

この作品は「月刊ガンガンJOKER」に連載されている漫画が原作のアニメで、ジャンルとしてはシチュエーション・コメディということになり、アニメ版は毎回2~3個のショートギャグストーリーが組み込まれた形式になっている。この作品はこの2021年夏アニメにおいて放映開始が一番遅くて、通常の作品は7月上旬に放映開始するものなのだが、この作品は7月31日深夜に第1話が放映され、通常作品より1ヶ月遅れで始まっている。しかもこういうショートギャグ系作品にしては最近では珍しく連続2クール放映されており、しかも全20話という変則的な2クール作品となっている。それゆえ、この作品の2021年夏アニメとしての評価対象としては、ちょっと本来は秋アニメ放映時期である10月放映分にこぼれてしまったが、第1話から第10話までの10話分ということにしています。そして第11話以降は2021年秋アニメとして扱うことにしました。

それで作品の内容ですが、魔界で魔王に次ぐナンバーツーの実力者であったジャヒー様が魔法少女によって魔界が崩壊させられてしまい人間界に堕ちてきて、魔界復興のために魔石を集めようと悪戦苦闘する話です。ただ、この魔石を集めて魔界を復興するという話はこの作品のキモではなく、魔力を失って幼女の姿になってしまったジャヒー様が人間界で送る極貧生活がこの作品の笑いのキモとなっている。とりあえず人間界で生きていくためには金が必要なのだが幼女の姿では金を稼ぐために働くことも出来ない。それで僅かに残った魔力で大人の姿に変身して居酒屋でバイトをするのだが、魔力がすぐ枯渇するので大人の姿でいられる時間は限られていて、なかなかバイト代も多くは稼げずすぐに生活費に消えてしまうので、生活費を稼ぐためにまた魔力を使って大人の姿になってバイトをするという悪循環となり、バイトをしているか幼女の姿でくたびれているかの時間で日々の時間が空費され、なかなか魔石探しも出来ず慢性的な魔力不足でバイトもなかなか出来ない。こういう自転車操業状態のジャヒー様の極貧生活やバイトの日々、その合間に取り組む魔石探し、あとヤケ酒を呑んだり、家賃を払えずに大家から逃げ回ったり、警察のご厄介になったり、近所の子供と遊んだり、魔界の元部下など関係者と会って見栄を張ったり、そういうドタバタを堪能する作品です。

まず、このジャヒー様の世知辛すぎる基本設定が異常に面白い。そしてジャヒー様のキャラが最高に魅力的で面白い。外見は貧乏ダメ幼女でしかないのにやたらと言動が尊大で見栄っ張りで嘘つきのお調子者で、本人は邪悪な大物のつもりでいるが実際は根性無しのヘタレで意外に小市民的な善人だったりして、やたら僻み根性が旺盛で、すぐに拗ねて涙目になる。こういうジャヒー様が不慣れな人間界で右往左往しながらやたら偉そうに振舞い、いつも失敗してドツボに嵌る姿がやたら可愛い作品なのです。

そういうわけで最初はこの作品はやたらと面白かった。だが、この作品は結局、ジャヒー様の境遇とキャラがやたら面白いだけで、ストーリーなどはあって無いようなものだし、話の中で展開されているギャグも子供だましのような低レベルのもので大した捻りも無く面白いものではなかった。それでも最初はジャヒー様の境遇とキャラの面白さで何でも面白く感じることが出来た。つまり典型的な「出オチ」作品だったわけです。ただかなり強烈な出オチだったために、ジャヒー様がメインの話ならば5話ぐらいまでは大爆笑できた。しかし、さすがに6話ぐらいから飽きてきて急速につまらなく感じるようになり、そうして夏アニメ分としての評価対象の節目となる10話を迎えた段階で総合的に振り返ってみると、前半は面白かったが後半はつまらなかったということで、まぁちょうど全作品の真ん中あたりのこれぐらいの順位が妥当なのだろうと思いました。