「放射能物質の半減期とは? ・・・ 」 というのが今日のテーマなんですが、まずは、「ウラン」 や 「プルトニウム」 って、そもそも何なんだろう? という事から、少しづつ辿っていってみたいと思います。
―― ウラン ――
自然界のウランは、鉱石の中に含まれていて、主にウラン235とウラン238という、2種の同位体として存在する。
核分裂の連鎖反応を起こすのは、自然界には僅か0.7%しかないウラン235の方である。 これでは濃度が低すぎるので、普通はウラン235の割合を高めて利用する。 濃縮率は、発電用で3%、軍事的な目的では100%に ・・・ 。
このウラン235の濃度を高めた物を濃縮ウランという。 ウラン鉱石は日本では、実質的に採れないし、発電用濃縮ウランは、日本では各発電所に供給できるだけの量を生産できないので、まず、鉱石を諸外国から買い付け、それをアメリカに送って凝縮してもらった物を購入している。
―― プルトニウム ――
プルトニウムは、自然界には存在しない元素である。 核分裂の連鎖反応を起こさないウラン238の原子核に中性子をぶつけると、中性子が原子核に吸収され、プルトニウム239になる。 中性子が飛び交っていて燃料の大部分はウラン238である原子炉の中では、簡単にプルトニウム239を作る事ができる。 というより、嫌でもできてしまう ・・・ 。
このプルトニウム239は、核分裂の連鎖反応を起こす。 この物質には、大きな問題が3つある。
まず、強い放射能力を持っている事 (半減期は24000年) 、非常に毒性が強い、連鎖反応をおこすので、原爆の材料にもなるという事。
―― 原子爆弾 ――
原爆とは、ウラン235やプルトニウム239を臨界量より、ごく小さいブロックに分けておき、火薬の力で一瞬にして圧縮、臨界量を越えさせて爆発させる。
プルトニウムの生産は、原子炉さえあればできるし、濃縮も科学的に可能なので、プルトニウムを使った原爆は、技術的に難しいウラン235の濃縮が必要なウランを使った原爆より、容易にできる。
ちなみに日本に落とされた原爆は、両方のタイプで、広島がウラン235、長崎がプルトニウム239を使ったものである。
―― 半減期 ――
ウランなどの放射性物質の放射能は、一定の時間ごとにその強さ (量) が、半減する。 その時間を半減期という。
この半減期は、熱・圧力、或いは、如何なる化学反応でも変える事ができない。
ちなみに、ウラン235の半減期は、約7億年、ウラン238の半減期は45億年と考えられているので、地球の年齢は、約45億年とすると、地球が誕生した頃のウラン238は、ちょうど今の倍の数値が、あったという事になる。
半減期 放射する主な放射線
自然界の放射性物質 ラドン222 3.8日 アルファ線
ラジウム226 1600年 アルファ線
ウラン238 45億年 アルファ線
人工の放射性物質 ヨウ素 8日 ベータ線
コバルト60 5.3年 ガンマ線
セシウム137 30年 ガンマ線
プルトニウム239 24000年 アルファ線
ここまでは、東京都内在住の中学・高校の地学の教諭をやってらっしゃる、山賀 進さんのサイトから、引用・抜粋、まとめさせて頂きました ・・・ 。
半減期が1年のものがあったとすると、1年後に最初の2分の1。 2年後には、最初の4分の1。 3年後には、最初の8分の1 ・・・ という具合になる。 要するに、例えば、プルトニウム239は、24000年後には、きれいさっぱり無くなる訳ではなく、24000年後に 「今の放射線量が、半分になる」 というだけで、48000年後に 「今の4分の1 」 になるという事。
無くなるまでには、気の遠くなる様な天文学的数字の時間の経過が必要となる ・・・ 。
では、この 「半減期」 から考えると、原爆が落とされた広島・長崎では、何故、そんなに時間が経過していないのに、その土地で人々が現在、普通に暮らせるのか? という疑問が起きて来ると思います。
原爆の爆発後に、環境に放出された放射性物質の総量は、チェルノブイリ事故でのそれの400分の1に過ぎなかったと言われている。
爆発時の放射線照射は、強力なものがあったとはいえ、使用された燃料は10数kgだったためとの事。
大量の核燃料 (何トン、何10トン) を長時間に渡って反応させ、巨大なエネルギーを生む原子力発電所では、万が一の事故の際は、大量に外部に漏洩するので、放射性物質汚染の程度で言えば、原爆の比ではない、との事 ・・・ 。
では、また。