手術翌日は吹雪(Day4) | 昔、卵巣がんだったことがあったような~(^^ゞ

昔、卵巣がんだったことがあったような~(^^ゞ

旧ブログ名は「卵巣がんでした~(T^T)→勝手に治った宣言v(^O^)/」
大学病院で卵巣腫瘍を切除
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いつのまにか、日付が変わっている。

うとうとしては目覚め、またうとうとするのを永遠にくり返すかのような。
いつまでも、いつまでも、朝が来ないような。

時々、さっきの看護師さんが点滴をチェックしにやってくる。
何度か検温があって、自分が今39度の熱を出していることを知る。
喉が渇くのも、当然、とぼんやり思う。

途中、酸素マスクを鼻からのチューブに換えてもらう。
血中の酸素濃度が下がったらまた戻すかもしれないけれど、と言いながらも、
このほうが楽でしょう、と。

本当は忙しいのだろうけれど、そんな雰囲気を少しも感じさせず、
私が起きていれば「口、漱ぎますか」と声をかけてくれる。
甘えて、何度でも口に水を含ませてもらう。
水、という物質をこれでもかと、味わう自分。

何度目かの検温の後、看護師さんが枕を持ってきて、
「身体の向きを変えませんか」と提案してくれる。
どちら向きになりたい感じですか、と問われて左を向かせてもらう。
若い男性看護師と二人で、そうっと身体を動かしてくれる。

少しずつ余裕が出てきて、周りの状況が見えてきた。
同じ部屋には、もう一人患者さんがいるよう。
私より、ずっと大変そう。
気管切開?か何かしているみたいで、声が出ない。
身振り手振りで看護師さんに意思を伝えている。
まるでジェスチャーゲームのようで、してもらいたいことをわかってもらうまでに、
とてもエネルギーを使っている。
看護師さんも思いを聞きとろうと、必死。

まどろむうち、唐突にガスが出る。
前回の手術の時も早かったけど、今回も。。。
「ガスが出たら、食事開始です」とスケジュール表に書いてあったのを思い出す。
病棟に戻ったらすぐ重湯が出るなぁ、と思った。




シェードを上げる音に目を開けると、夜が明けていた。
窓の外は、吹雪。

看護師さんが「ひどい雪ですよ」と言って、こちらを向いた。
明るくなった室内を見ると、普通の4床室と同じつくりの部屋。
ICUといっても特別な間取りではないんだ、と思う。
外に医学部の3号館が見えたので、南側の部屋だとわかる。

バイタルチェックの後、オモリをつけられた右手側のラインからの採血。
シリンジの中の血液がとても明るい色をしているのを見て、気がついた。
これ、動脈に刺さってるワケね、だから固定がこんなに厳重なんだ。
「動脈血ってキレイですね」と言ったら、
手術中はこのラインで血圧も酸素濃度も見られるから便利なんですよ、と教えてくれた。
空気で圧力をかけている点滴バッグはここにつながっていたのね。

顔を拭くタオルをもらい、歯磨きを手伝ってもらう。
このあたりは、手術室から直接病棟に戻った前回の手術より快適。
前回は歯磨きできたのはベッドから自力で降りられるようになってからだったから。
病棟の看護師さんはここまで手をかけない。
また血栓予防の注射をされる。

7時前かな、と思う時間に、もうひとりの患者さんの主治医と思われる医師がやってくる。
早起きだなぁ、と思う。
そう思っていたら、YoDr.が単独で様子を見に来てくれた。

「痛い?」と訊かれて、
「痛くない訳ないじゃないですか」と前回の手術と同じ問答をして、クスリと笑う。
「手術、時間かかったんですね」というと、
「うん、ゆっくりやらせてもらったからね」と、YoDr.。

「これ、はずそう」と右腕についたオモリのテープをはがし始める。
それを聞いた看護師さんがアルコール綿やテープ類を用意してくる。
テープを外すとその下からもう1本普通のラインが出てきて、
こんなところに末梢がいた!とかなんとかブツブツ。
オモリがすっかり取れたら、手首のところに細い針が刺さっているのが見えた。
YoDr.がすっとその針を抜いて、上からぐいっと押さえる。

動脈だから圧迫している時間が長くて、その間黙ってYoDr.の姿を見ていた、と思う。
何か話したのかもしれないのだけれど、よく憶えていない。

ややあって、止血を確認したYoDr.が大きなパッド付きのテープを貼る。
「あのね、お願いがあるんだ」とYoDr.が言うので、「なんですか」と言うと、
ここ、もう少しおさえてて、右手を渡される。
「先生みたいに力ないですけど、いいですか」と言ったら、
「大丈夫」とだけ言ってそのままいなくなってしまった。

その後、看護師さんが交代して、清拭と着替え。
そこで初めて、手術前に着た不織布の手術着ではない、
ペラペラした布を身につけていることに気がつく。汚れちゃったのかな。

終わったころ、SgDr.とSbDr.がICUへやってくる。
記録を確認して「順調みたいですね」と笑顔。
前夜22時近くまで手術室にいて、翌朝8時台からこの爽やかさは何?
外科医ってものすごいエネルギー持ってないと。。。
「予定していたことは全部させてもらいました」とSgDr.。
昨夜は遅くまでありがとうございました、と伝えた。
「あとで迎えに来ますね」とまた笑顔のSgDr.。


10:00 病棟から迎えがくる。
Ns.SsさんとSbDr.。
ベッドを移るのに吐き気がひどく、その場でプリンペランを入れてもらう。
ついでに硬膜外麻酔の目盛りも6から4に下げてもらった。

ベッドを押してもらって、7階の病棟へ上がる。
エレベーターホールには、別の患者さんのベッドも待っていて、
「お先にどうぞ」と1台待ち。

部屋に着くとすぐSgDr.が来る。
最初に膣の中のガーゼを抜いてもらう。2枚入っていたみたい。
次に、腹帯を開けてキズを診る。「キレイ!」と満足気に微笑む。
前回の手術くらい元気なら、自分も鏡で見たと思うが、今回はその余裕がない。
ひたすら「気持ち悪~い」と言いながら、ぐったり。

モニター類が整うと、2パック目の自己血の輸血がスタート。
終わって抗生剤の点滴が始まるころになると、
Ns.Ssさんが容赦なく「歩きますよ!」とやってくる。
まだ手術終わって24時間も経ってないんですけど~ぉ。。。

両脇から出るドレーンの容器と尿管のバッグの3つをぶらさげて、
さらに点滴台を押して、なんて無理~。
気持ち悪くて頭を上げているのもしんどいのに、
横になっているといつまでも歩けないですよ!、とベッドを上げられてしまう。

その後何度も挑戦させられたけれど、結局ベッドに座るところまでも辿りつかず。
夕方になって「今日はもう歩きませんね!」と言われて、ちょっとほっとする。


18:00 夕食
重湯、味噌汁の汁だけ、茶碗蒸しの具なしバージョン。
姿勢を保つことができず、水モノはスプーンですくうことができない。
茶碗蒸しは固まっていたので、食べられた。

夜勤NsはSoさん。痛み止めのロピオンを入れてもらう。
血栓予防の注射は歩けるようになるまで朝晩するそうだ。
皮下注射なので痛くないけど、注射の痕が内出血して青黒くなるのがイマイチ。
38度台の熱が続いている。

身体の表面のキズはほとんど痛まないが、お腹の中が痛くてたまらない。
左右の下腹に入っているドレーンチューブがなんともいえない違和感。
熱のせいなのか、どうにもならない疲労感が身体を支配している。

いつのまにか、消灯になっていて、
時間時間で様子を見に来る看護師さんのシルエットに何度も頭を下げた。