手術室に8時間以上~(Day3) | 昔、卵巣がんだったことがあったような~(^^ゞ

昔、卵巣がんだったことがあったような~(^^ゞ

旧ブログ名は「卵巣がんでした~(T^T)→勝手に治った宣言v(^O^)/」
大学病院で卵巣腫瘍を切除
 →卵巣癌Ⅱc期ですと~ぉ(T^T)
 →もう一回手術~(T^T)
 →抗がん剤も~(T^T)
 →勝手に治った宣言v(^O^)/
 →めでたく終診\(^O^)/

6:00 点灯 手術の日の朝。
Ns.Maさんがすぐにやってくる。検温、血圧測定、浣腸。

7:00 洗面
しばらくまともにできないはずなので、丁寧歯磨き。
手術室用の荷物と、ICU用の荷物をつくる。
朝食は当然絶食。。。

9:00 朝回診
Fullメンバー。今回は全員で手術室に入ります、とのこと。
(人件費ペイできるのか?)と余計なことを考えてしまう。
「何か言っておくことは?」とODr.。
ちょっと考えて、上手にやってくださいね、と月並みなことをお願いする。

「なにこれ?」YoDr.がベッドテーブルの上に置いておいたぷっちょのビンを取り上げた。
一度目の手術の時にきなこもちパズルに引っかかってくれたYoDr.の話をしたら、
同僚が今度はこれで!、と入院の時にくれたもの。
「これはYo先生のために持ってきたんですよ~、
見事引っかかってくださってありがとうございますm(__)m
手術終わったら、中身のぷっちょあげますね」、としょーもない約束をする。

11:00 家族が来る
今回は二番目の手術なので、先の手術が終わり次第呼ばれることになっている。
スタートの時間がはっきりしないので、とりあえずの集合時間。
落ち着かず、だらだらしながらコールを待つ。

12:30 ベッドでぼんやりしていたら妹が来る
「今、ODr.がサンプル持って上がってきたから、もうすぐだよ~」

12:35 手術着に着替え

12:45 手術室へ出発

12:50 手術室着
前回の手術のときも担当してくれたNs.Yさんが出迎えてくれる。
本人確認の後、今回も手術室Bへ。
「前回もB室でしたよね~」とYさん。
「婦人科専用なんですか?」と訊くと「ほとんどそんなもんですね」
「もしかしてYさんも婦人科専属?」と言う質問には、
「・・・そんな感じではありますね・・・」とちょっと歯切れの悪い答え。

デジャヴ・・・のように、前回と同じ行動をする。
黒い踏み台から手術台へ上がる。
モニター類が手早くつけられていく。
唐突に頭の上から「麻酔担当しますね」と力強い声がしてびっくりする。
昨日部屋に来たよわっちい感じの医師と同一人物の声とは思えなくて、
「Su先生?」と確認してしまう。なんだ、大きい声出せるんじゃん。

「CDかけますね~」ともうひとりの看護師さんが用意したCDをかけてくれた。
すぐに手嶌葵のやわらかい声が流れ始めたんだけど、
モニターの音やらがかなりうるさくてよく聴こえない。
「もっと音の大きい曲じゃないとダメなんだ~。。。」と凹む。
みなさん、どんな曲持ってくるんですか、と訊くと、「いろいろですね~」と。
「ウケ狙いで演歌とか落語とかも考えたんですけど~、結局無難なのになっちゃった」
と言ったら、失笑された。

そして硬膜外麻酔。
右を下にして丸くなる。脊椎を数えてマーキングするSuDr.の指がくすぐったい。
背中をアルコール消毒して、無菌シート?を貼りつける。
前回のODr.とはやり方が違うので、「流派とかあるんですか?」ときいたら、
指導医の先生が「麻酔は世界中で皆共通です」と真面目に答えてくれた。

局所麻酔の針が痛くて、また背中が逃げてしまう。
前回はすぐに背中がしびれて感覚が鈍くなったのだけれど、今回はそれがない。
「ちょっと苦しい感じがしますよ」と声がかかって、
続きがはじまったのだけれど・・・「痛い!」

「痛い?」
と訝しげな声がして、じゃもう一回ちくっとしますよ、と局所麻酔を足される。
その針が痛くて、また逃げる。。。
そのまままたぐりぐりっと続けられそうになって「痛い!」と大声をあげてしまう。
Ns.Yさんが「先生、痛いって言ってますけど・・・」と言ってくれる。。。

「じゃ、もう一回」
とまた局所麻酔の注射。その注射針が痛いんだから、麻酔効いてないって~。。。
滴り落ちるほど汗をかいたころやっと背中にチューブが入る。
・・・前回あんなに楽勝だったのに・・・

姿勢を仰向けに戻したら、YoDr.の姿が目に入った。
大きな体が白っぽい手術衣に包まれている。
今回は手術室で婦人科の先生たちに会えた、と思ったら、目が合って、
「とうとうここまで来ちゃったね」と左手を握ってくれた。
「せんせ、怖い~」と言うと、「大丈夫」と言いながら、ぎゅっと手に力を入れた。

手術前の記憶はここまで。
Yo先生、私の意識が落ちるまで手を握っててくれたのかな。
私の手が外れなくて困ったりしなかったかな。。。とアホなことを考えたりする。




「終わりましたよ」
と声がして、目を開ける。
途端に、ひどい吐き気と悪寒に襲われた。
「チューブ抜きます」という声と同時に気管に痛みが走って、胃がひっくり返る。

(・・・吐く!・・・)
と言いたいのだけれど、声が全然出ない。

「終わりましたよ」とSDr.のシルエットが顔の前に現れて、
手術台からベッドへ身体を移される。
その振動でまた(・・・吐く!・・・)

何も着ていないような、気持ち悪い感覚。
お尻と背中の肉が直にベッドに触れるような。

ベッドがICUへ向かって走り出す。
身体がガクガク震えて、歯がガチガチ言う。
右手には何か錘がつけられていて、自由に動かない。

(・・・吐く!・・・)
胃がひっくり返ると同時にお腹のキズの痛みに呻く。

(・・・吐く!・・・)

(・・・吐く!・・・)

薄暗いICUの一角にベッドが納まった。
二人の看護師が点滴類やモニターのセッティングをしていく。
・・・が、どうも手際が悪い・・・
そのうち、一人の看護師がもう一人の看護師を叱り始めた。
「・・・狭いからってどうして逆に置くワケ?!」
「何のためにラインの左右を確認してると思ってるの?!」
「隣のベッドも空いてるのに!!」とものすごいキレよう。。。
叱られてる側の看護師さんが可哀そうになった。


(・・・吐く!・・・)

(・・・吐く!・・・)

・・・とその間も懸命のアピールをする・・・けど、
お取り込み中で全然気づいてもらえない。。。
仕方なく・・・顔を左に向けてそこに吐いてしまう~。
ちょびっとだけ胃液が出た。

それでやっと気づいてもらえて、トレーをあてがってもらう。
二度目、三度目は胃が裏返っただけで何も吐けない。
「・・・なんで胃管入ってないの?!」とまた怒っていたほうの看護師さんがキレた。


(・・・吐く!・・・)

(・・・吐く!・・・)

今度は痰が喉に絡んで苦しくなった。
看護師の姿を探すが、視界の中には誰もいない。
必死に咳込んで、痰を出そうとするも・・・うまくいかない。。。
ごぼっ、ごぼっ、と何度も頑張って、痰を切る。

・・・ぺっ、とやりたいんですが・・・
とまた看護師さんを探すも、見つからず。。。
また仕方なく・・・右を向いて、ぺっ!(←汚い話ばっかりでスミマセン)


しばらくすると看護師さんが戻ってきたので、
顔の右側を指差して頭を下げる。
ささやき声なら出ることがわかったので、もうひとつお願いをする。
「スミマセン・・・下からも出ちゃったみたいなので・・・パットを換えてください・・・」
吐いたときに・・・ね・・・

看護師さんがイライラとしながら「まだ出る?」と訊くので、
「わからない」と答える。
じゃ、オムツにしとくね、と紙オムツ登場。。。
バタバタする中、血栓予防の薬を左腕の皮下に注射される。

やっとベッド回りが整い始めて、ぐったりする。
布団をかけてもらえたら、振えがおさまってきた。


そんな中、看護師さんの背後にODr.のシルエットが見えた。
「・・・まだ、わかんないか・・・」と言いながら、去ってしまう。
答えられないけど、わかってますよぅ~


ややあって、家族がやってくる。
最初に母、次にダンナ、最後に妹が左手を握った。
声をかけてくれているのはわかるのだけど、反応できない。

そうしている最中に輸血が始まった。
さっきの看護師さんが「自分の名前言ってください」と言う。
・・・言えないってば・・・
「・・・じゃ、ご家族の方お願いしますっ!」とまたイライラされる。




気がつくと静かになっていた。
ベッドサイドで人影が動いて「看護師交代しますね」と声がした。

「今、何時ですか」と訊く。声が出るようになっている。
「23時半です」
「私がここへ来たのは?」
「21時過ぎ」
それを聞いてびっくりする。4~5時間の手術なら夕方には終わってるはずなのに。

「ずいぶん、時間かかったんですね・・・」
「前の手術の影響があって、少し時間かかったみたいですね」

「口、漱がせてもらえますか」
「いいですよ」

ストローで水を含ませてもらって、うがいをさせてもらう。
冷たい水の感触が気持ちいい。
「・・・飲んでしまいたい・・・」と言うと、
「それはまだ我慢してくださいね」と笑われる。

「もう一回しますか」と訊いてもらえて、大きく頷く。
先ほどとは大違いの落ち着いた雰囲気に結局3回もうがいさせてもらった。

「看護師さんを呼びたいときはどうすればいいですか」と訊いて、
ナースコールを手の届くところへ置いてもらう。
「お渡ししてなかったみたいで、すみません」と謝られてしまう。