「でも、何処かで会ってて、見つかっちゃったら、大変なことになるよ。」

ボクは、即答で断ることも出来たのに、何故かそうはしなかった。

もっと、この男と繋がっていたいと思う気持ちが、そうさせていた。

**************


それでも、それ以上のことは明言せずに、今夜は仕事に徹することにした。

男を促して、服を脱がせると風呂に一緒に入った。

昨日の今日でも、痛そうな程勃ち上がり天を向く一物は、若さ故だろうか。

昨日はじっくりと観察することもなかったので、風呂に浸かりながら見事な彫り物や、醜怪でありながらもある意味見事な一物やらを、しげしげと観察した。

若い肌に入った彫り物は、美しかった。背中に廻って、撫でながら見とれていた。


「ねえ、何で観音様なの?」

「深い意味もなかったんですけど、彫り師に図柄を色々と見せられて、観世音菩薩は大慈大悲が本誓だって言われて、その意味を聞いてこれだって思ったんです。」

「だいじだいひ・・・全然意味が分かんないけど。」

「受け売りですけど、一切の苦を取り除いて、楽を与える広大無辺な慈悲っていうことらしいです。」

「へえ・・・それはまた・・・。」


大層なご託だと思った。ヤクザがそんなものを望んでも、それは無い物ねだりというものだろう。


「でも、このお顔はほんとに美しいよね。」

「こんな人に巡り会いたいって、気持ちもあったんです。」

「それはなかなか難しそうだね。そんな人、滅多にいないでしょ。」

「マドカさんを見た瞬間、この人だって思ったんです。」


男が振り返り、真剣な顔でそう言った。


「呆れた・・・。幾ら口先三寸の世界でも、言い過ぎ。悟りもなけりゃ、慈悲もないよ。身体でしか、慰めてあげられないもん。」


真面目な顔つきで、こんな世辞も言えるんだと、半ば呆れていた。

湯船の中で、男の前に廻って膝の上に乗った。

俯くと、湯の中で一切弛まずいきり立った一物がすぐ其処に見えた。

手を添えると、どくどくと脈打つように跳ねた。

ゴツゴツとしたそれは、大慈大悲など全く持ち合わせないボクにとり、やはり恐怖でしかなかった。

喘いで、ケンゴウの肩を噛みつきながら、ボクは初めて挿入で絶頂を迎えた。

極めると、収縮が男を締め付けることも、知識ではなく身体で知った。

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睡眠薬の世話にならずとも眠れた。

眠って起きたら、ケンゴウはもう居なかった。

あまりにも熟睡したらしく、時計を見ると昼はとっくに過ぎていた。

気怠さがまとわりついてきたが、のろのろと起きあがると風呂に入った。


夕方、支度を済ませて店に向かった。

昨日の男は、約束通り来るのだろうか。

男に興味はあったが、あの一物は懲り懲りだった。

客として訪れる以上、切り離しては考えられないので、それを思うと苦痛だった。


部屋で片付けをしていたら、フロントから電話で呼ばれた。

下りていくと、昨日の男が立っていた。


「早かったですか?」

「ううん、いらっしゃい。」


実際には、早くて吃驚していた。

部屋に着いても、男は服を脱ごうとしなかった。

何となくそのままマッサージ台に二人で並んで座った。

相変わらず訥々と喋る男の話を、聞いた。


「マドカさん、自分、金が惜しくて言ってるんじゃないですけど、此処じゃない何処かで会ってもらえませんか。」


唐突だった。

今までも、そう言う客は居ることには居たが、断ってきた。

店以外の場所でまで、会いたい男など居なかった。

しかし、この男には何故か興味があった。

でも、そう言ってくる男はボクのことを憎からず思っている訳で、ケンゴウのことを黙ったままで居て、分かってしまった時には拙いことになるだろう。


「あのね、今、男と同棲してるんだ。刺青の入った男。あなた程の彫り物じゃないけどね。」

「・・・そうなんですか。もっと、寛げる場所で会いたいと思ったんですけど。自分もずっとこっちに居られる訳ではないんで、その間だけでもって。駄目ですか?」

「でも、何処かで会ってて、見つかっちゃったら、大変なことになるよ。」


ボクは、即答で断ることも出来たのに、何故かそうはしなかった。

もっと、この男と繋がっていたいと思う気持ちが、そうさせていた。


「すみません、我慢できない・・・。」

そう言ってから、一頻り激しく動いた。

ボクは、呻かないよう唇を噛んで、背中を掴んでいた。

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そう長い時間でもなかったのに、終わった時には疲弊していた。

身体のあらゆる場所に力が入っていたのか、ぐったりとしていた。


「すみません。痛かったですか?」

「うん・・・。ちょっとね。やっぱ、こういうのは、後家泣かせっていういんでしょ?まだ、無理みたい。」

「ほんと、すみません。」


言葉遣いは、ずっとこの調子だった。

終わってからも、訥々と自分のことを語って聞かせた。

高校を卒業してから、自衛隊に入隊していたという。

その後、どういう経緯かまでは語らなかったが、この道に入ったという変わり種だった。

しかし、全身の彫り物といい、その経歴といい、エキセントリックな男が嫌いではなかった。

時間は疾うに延長になっていたが、そんなことは気にならないのか、結局その日は3時間ほど滞在した。

過分なチップを弾んでくれて、男は、また明日来てもいいかと、聞いた。

客商売だから当然のこと、是非にと言って別れたが、話しをするのは楽しかったが、またあの醜怪な一物を呑み込まなければならないのかと思うと、憂鬱だった。


その日は結局、その客の後は客がつかなかった。

ボクにとっては、ぽっかりと穴の穿たれたような秘所を労るには、好都合だった。


しかし、上手くはいかないもので、帰宅するとケンゴウが待ち構えていた。

ボクはケンゴウを拒んだことがない。ましてや、客とはいえ男と交わった後に、拒むことは出来ない。

だから、この晩も当然の如く受け入れようとした。

実際は、痛めつけられた秘所はかなり傷んではいたが、痛さと共に疼きも持続していて、いざ始められるとボクはしとどに濡らしていた。

濡れそぼっているのに、緩み切った秘所はケンゴウの物を受け入れても、思ったように快感が訪れてくれなかった。

ボクは挿入したまま、足を閉じて力を込めた。

すると、その擦れ具合が殊の外気持ちが良くて、ケンゴウが動くたび喘いだ。

喘いで、ケンゴウの肩を噛みつきながら、ボクは初めて挿入で絶頂を迎えた。

極めると、収縮が男を締め付けることも、知識ではなく身体で知った。