「でも、ゆっくりね。ほんとに、ゆっくりね。」
恐怖からそう言ってしまい、言った傍から男を否定しているようで、言ったことを後悔した。
しかし、ボクの秘所はいつものように濡れてきてはくれなかった。
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「あの、いきなりは無理みたい。感じるように、触ってくれないかな?」
男は頷くと、キスを仕掛けてきた。
あっと思う間もなく、舌を差し込まれ、今まで客とキスなど一度もしたことがなかったのにと、臍をかむ思いだったが、自分から愛撫してくれと言っておいて拒むのもおかしな物だと、不承不承受け入れた。
この男は、危険かも知れない。
きっと、何年も塀の中で暮らし、出てきて初めて交わったボクを、愛していると勘違いしているのだろう。
関わるのは危険だ。そう心の奥底で囁く声が聞こえたが、不意に始まったくちづけに、最近ではケンゴウとも久しくしていなかったなとの思いがちらと掠めたのも束の間、次第に舌を絡めることに夢中になっていった。
口を吸い合いながら、男はボクの髪や耳をまさぐった。
感じる場所を触られて、ぞくぞくと肌が粟立ち、胸の頂が尖ってきた。
官能を味わうと起こる胸の切なさまで感じてしまい、男の首を掻き抱いて息を弾ませていた。
それだけで、もう、ボクの秘所は濡れていた。
男は唇を離して起きあがると、自分の膝にボクの足を掛けて股を割り、一物を宛がった。
いきなり挿入されるのかと身を硬くしたが、男はそうはせずに胸の頂を両方摘んでくじり始めた。
高い位置から見下ろされて、先端だけを指先で愛撫されると、全身を隈無く見渡されているようで、恥ずかしさに余計に感じてしまった。
男の物が当たる場所も丸見えだと思うと、次第にぐっしょりと濡れて来てしまった。
俯くと、湯の中で一切弛まずいきり立った一物がすぐ其処に見えた。
手を添えると、どくどくと脈打つように跳ねた。
ゴツゴツとしたそれは、大慈大悲など全く持ち合わせないボクにとり、やはり恐怖でしかなかった。
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風呂から上がり、マッサージ台の上に二人して座ったが、昨日の痛みを思うと恐怖が去らなかった。
男は、こんなにもいきり立たせているのだ。
やりたくない訳がない。
しかし、これも商売だ、これで生計を立てている。
何もせずに帰ってくれとは、言えない。
「あの、もちろんしたいよね?」
「あ、ええ。でも、昨日は相当痛かったんですよね?歯を食いしばらせてまで、したくはないです。」
「そんな、痛そうにしてたかな?ごめんね。」
「いえ、自分の所為です。意味のないことをしてしまったと、後悔してます。」
「誰かを喜ばせようと、したことじゃないの?」
「誰かって・・・、そんな人は居ないです。」
何だか、哀れに思えてきた。
自信を付けようとしたことなのか、単なる趣味なのかは知れないが、相当な年増でもなけりゃ喜びとはほど遠いことだろう。
「いいよ、しよ。したいんでしょ?その為に来たんじゃない。」
自分もつくづく、馬鹿だと思った。
止めておけばいいのにそう言ってしまい、自分で窮地を作ってしまう。
哀れなのは、ボクかも知れない。
「でも、ゆっくりね。ほんとに、ゆっくりね。」
恐怖からそう言ってしまい、言った傍から男を否定しているようで、言ったことを後悔した。
しかし、ボクの秘所はいつものように濡れてきてはくれなかった。