業界用語。
様々な業界があって、その業界でしか通用しない言葉。
または、業界毎に意味が異なったりする言葉。
コンピュータ業界にも、当然のように存在する。
自分は、何の因果か、ソフトウェア業界、ハードウェア業界、ネットワーク業界、セキュリティ業界、などコンピュータと一口に言っても、ちょっと毛色が違う業界を渡り歩いていた。
例えば、バグという業界用語があるが、もともとはコンピュータのハードウェアに虫が入ってしまって、コンピュータが誤動作したことに由来するのだが、プログラミングにおいて、バグという業界用語を使うのが一般的になった。
使い方は、
このコードにはバグがある。
という感じなのだ。
バグは文字通り虫を意味したんだが、「いる」ではなくて「ある」を使うのが一般的になってしまったように思う。
日本語としては正しくないんだよね。
バグが潜んでいる。
というような使い方もする。
他にも、
バグった
バグってる
とか、もう一般人も使うようになった感がある。
業界の人しか使っていないものとしては、
タイトルのCPUを石、HDDを弾(もしくは玉かもしれないが、漢字として表記する機会がないので、タマ)と呼んでいるということ。
この他には、業界をまたがって存在しているガワは、コンピュータ業界では筐体(きょうたい)を指している。
また、電源を入れることを、火を入れると言ったりもする。
これ、石を何個積んでいるの?
4個だよ。
弾を何発でRAID5にする?
ガワを傷つけないように。
火を入れる順番を間違えないで。
などなど。
石の助数詞は個、弾の助数詞は発ということになる。
CPUが石というのは理解出来るけれども、
HDDが弾と呼ばれる理由は諸説あるようです。
サーバーなどでRAID構成が一般的になったことで、コンピュータを稼働したままHDDを抜き差し出来るホットスワッパブルなものもあって、弾倉に弾を込めるイメージと重なる。
ただ、RAID以前から、HDDはタマと呼ばれていたので、弾のイメージが付いた可能性はあるが、それ以前からタマと呼んでいるので、理由にならないと思ってはいる。
例えば、HDDの物理的なサイズとして、5インチとか、3.5インチとか、単位としてインチを使う。
また、容量として、メガ、ギガ、テラ、…といった単位を使う。
一般的には台という助数詞で、個数を表すのだが、ハードウェア寄りの業界人は発を使うのである。
容量について、キロ、メガ、ギガ、テラ、…など一般的に使われるようになった。
思えば、1985年12月に公開された映画『バック・トゥー・ザ・フューチャー』において、過去から未来に帰るときに必要となった電力が、『1.21ジゴワット』という謎の単位だったこと。
これは、正しくは「ギガワット」のことなんだよね。
1985年の段階では、キロやメガは一般的だったのかもしれないが、ギガという単位は一般的ではなかったと言える。
あれから40年で、ギガはもちろんのこと、テラくらいまで一般人でも知っている単位となった。
それくらいメジャーな単位なんだけれども、メモリーとストレージでは考え方が違っていたりするのところまで理解している人は少ない。
コンピュータ、いや計算機と呼んだほうがいい時代の書籍では、一次記憶装置、二次記憶装置といった呼び方をしていたが、一次記憶装置はメモリー、二次記憶装置はストレージと置き換えて良いだろう。
これらの違いは、CPUと直接やり取りが出来るのが一次記憶装置で、直接やり取りが出来ないのが二次記憶装置と思って下さい。
どちらも容量の単位は、キロ、メガ、ギガ、テラ、…と続くことになるのだが、…
メモリーは集積回路で構成されているので、コンピュータの基本である2進数となって、Kことキロは1024を意味して、単位が上がるごとに1024倍されていく。
しかし、HDDやフロッピーディスク、CD、DVD、Blu-rayといったようなものは、Kことキロは1000を意味して、単位が上がるごとに1000倍されるのである。
メモリーは、128MB、256MB、と2のべき乗が使われているが、HDDは100MBとか、2のべき乗じゃなかったりすることからも、違和感があることに気がつくかもしれない。
厳密に容量を計算すると、
HDDの100MBは、100×1000×1000バイトであり、
100000000バイトかというと、ファイルサイズなどは2のべき乗が採用されているので、
100000000÷1024÷1024≒95.36MB
といったように100MBよりも小さく見えてしまうのだ。
この誤差は単位が上がれば上がるほど広がってしまう。
また、ファイルシステムには、そのファイルシステムを使っているということで、ファイル管理用のデータが必要になる。
例えば、FAT16とか、NTFSとか。
これらは多少だが容量を使うので、利用出来る容量が、この分だけ減るということはある。
更に紛らわしいことに、昨今のストレージはノンスピンドル、つまり回転しないものになっていて、USBメモリーや、SDカードのように、位置づけはストレージだが、メモリーとストレージも構造的にそれほど違いは無くなりつつあるということです。
スマートフォンにHDDが入ってるわけじゃなくて、
RAMやROMが入っているんだ。
ああ、これもややこしい。
RAMはRandom Access Memoryの略
ROMはRead Only Memoryの略。
なんだけれども、ROM≒ストレージとすると、ストレージは読み込みだけじゃなくて、書き込みも出来るじゃん。という矛盾が生じる。
これは歴史的な経緯を知る必要があって、
例えばパンチカードは解らなくても、CD ROMなんて単語は解るかもしれない。
音楽のCDは、読み込み専用だからROM。
ここまではいいかな?
パンチカードは、マークシートを思い浮かべて貰うとそのまんまで、色で塗り分けるのではなくて、穴を空けて使うのだが、タイプライターのような機械を使って手作業で打ち込んで行くんだけれども、出来上がったものはそれ以降は読み込み専用ということになる。
時代が進むと、磁気記憶装置とか、読み書き可能なものが登場する。
CDも最初はROMとして登場したが、その内にリライタブルのCD、CD-WやCD-WRというものが登場する。
今の子どもたちも、ギリギリCDが解るだろうか。
ファミコン世代ならば、カセットをROMカセットと言ったりしていたと思うし、古いものは、セーブ機能がなくて、復活の呪文とかをメモしていたが、そのうちにセーブ機能がROMカセットなのに出来るようになったのを記憶しているかもしれない。
なので、ROMの持つ本来の意味を逸脱してしまっているのに利用されているというのが現状なのです。
なので、RAMとストレージというように使い分けて欲しいと思うんだよね。
あと、スマートフォンには周波数とか通信速度というものもあって、これらの単位も、気をつけないとならない。
5G、5GB、5GHz、5Gbps、これらの違いを理解しているだろうか。
5GのGはギガではなくて、ジェネレーションのGで、読み方はファイブジー、ないしゴジーだ。
3G、4G、5Gというのは、簡単に言えば世代ってこと。
世代が違うと互換性がなくなってしまう。
5GBはゴギガバイトで、容量のこと。
5GHzは、ゴギガヘルツで周波数のことで、周波数帯に対応したものでなければ通信が出来ない。
5Gbpsは、ゴギガビットパーセカンド、ゴギガビットパーセック、ゴギガビーピーエスと読み、通信速度のことで、bはバイトではなくて、ビットであることを間違えないように。
更にいうと、こちらは10の3乗をキロとしているので、注意が必要です。
1秒間にどれだけのビットを転送出来るかということです。
もし、bが大文字のBだったら、バイトの可能性が高いので、注意が必要だが、その場合の表記は、
5GB/s
のようになる。
これに加えて、現在では1バイトは8ビットが主流になっているので、それも考慮する必要がある。
他にも、コンピュータ関連の単位で一般的になったものとして、バージョンがあるだろう。
バージョンアップしたとか、かなり一般的になってしまった。
また、バージョンの日本語訳として、版というものもあって、
α版、β版といった使い方もある。
β版は製品版にするためのバグを露見化するために、ユーザに利用してもらって、不フィードアックを貰い、バグ取りをするためのバージョンということになる。
α版は、β版以前のもので、世に出回るおとはないだろう。
バージョンにも、メジャー、マイナー、リビジョンといったものもあり、ピリオドで分けたり、あえて分けずにつなげたり、様々ある。
一般的には、メジャーバージョンが上がるというのは、根本から作り直した製品だと思って間違いはない。
マイナーやリビジョンの変化は、仕様変更や機能追加・機能削減・バグ取りなど、様々な理由というか結果です。
なんか色糸と書いてきたけども、
業界用語はあんまり一般人に使って貰いたくはないなと思っている。
なので、CPUを石と呼んだり、HDDをタマと呼んだり、私も含めしったかぶって使うと痛い目をみるかもしれません。
単位とかは、ざっくりと数字の大小の違いくらいで、そのあとのアルファベットが違うくらいの知識で良いのかなと思ってはいる。
知れば知るほど頭が痛くなると思うんだよね。
ではでは