午後のひとときに、ちょとした直方体の話し。

 

 

辺、面の対角線がいずれも自然数の直方体をオイラーのレンガ(Euler brick)と呼ぶ。

 

更に、空間対角線も自然数のものを完全直方体(perfect cuboid)と呼ぶ。

 

体積が最小のオイラーのレンガは、44×117×240である。

 

完全直方体は存在は未解決問題である。

 

 

直方体を(x, y, z)、xy面の対角線をa、yz面の対角線をb、zx面の対角線をcと、空間対角線をdとすると、

 

x2+y2=a2

y2+z2=b2

z2+x2=c2

x2+y2+z2=d2

 

 

さて、完全直方体に解があるならば、上記7つの自然数を総当りするとかすれば、良いのだが、変数が多いと探索に時間がかかる。

 

ピタゴラス数の研究をしていた私としては、どういうアプローチが望ましいのかを考えている。

 

 

例えば、ピタゴラス数だけを生み出すには、

 

自然数m, n, m>nにおいて、ピタゴラス数(x, y, a)、x2+y2=a2を求めるには、

 

x:=m2-n2

y:=2mn

a:=m2+n2

 

とすることで、求めたい3つの変数(x, y, a)に対して、2つの変数(m, n)で効率よく求めることが出来る。

 

更に言えば、gcd(x, y, a)=1となるような原子解だけを求めるには、gcd(m, n)=1で、mとnの偶奇が異なるという条件を付加することで、解決することも出来る。

 

では、オイラーのレンガを探索するには、この方法でx、yという2つの辺及びxy面の対角線aを確定させて、3つ目の辺zは、上記方法とは別の方法で、もしくは同じ方法でも良いが別のm、nで、x、y、zの最大公約数で探索するのがベストなのだろうか。

 

x:=m2-n2

y:=2mn

a:=m2+n2

zの条件は、

x≠z、y≠z

y2+z2=b2

z2+x2=c2

 

更には、空間対角線も視野に入れると、

 

x2+y2+z2=d2

 

という条件が追加されるということだ。

 

そこまで効率が良いようには思えないが、マシンパワーでゴリゴリと探索することは出来るだろう。

 

 

最初から完全直方体を探すということであれば、もう一つ別の方法もあるだろうか。

 

最初からx、y、z及び空間対角線dが存在するものだけを生成することを考える。

 

つまり、

 

x2+y2+z2=d2

 

が満たされたものだけを生成する簡単な方法があれば良いということだ。

 

m, p>0の自然数、n, q≧0の0を含む自然数として、

 

x:=(m2+n2)-(p2+q2)

y:=2(mp-nq)

z:=2(mq+np)

d:=(m2+n2)+(p2+q2)

 

ただ、この方法がすべてのx2+y2+z2=d2を網羅出来ているのかは、不安の残るところではある。

 

ただ、x、y、z、dが4つの変数m、n、p、qによって多少は重複する可能性はあるが、効率よく求まり、更に言えば、残りのa、b、cは、x、y、zから求めることが出来るので、a、b、cのすべてが自然数となるものが見つけやすいのではなかろうか。

 

 

これらを考慮してプログラミングしてみたが、4つの対角線a、b、c、dのうち、3つまでであれば自然数のものを見つけることは容易に出来るのだが、未だに4つとも自然数のものを見つけるには至っていない。

 

例えば、
m=8, n=19, p=16, q=4のとき、
x=153, y=104, z=672, d=697で、
a=185, b=680
cが自然数ではない。

m=20, n=11, p=20, q=2のとき、
x=117, y=756, z=520, d=925で、
a=765, c=533
bが自然数ではない。

m=28, n=16, p=7, q=4のとき、
x=975, y=264, z=448, d=1105で、
b=520, c=1073
aが自然数ではない。
 

といったように、a、b、cのどれか一つが見つからないということである。

 

まぁ、見つけられたら大発見なのだが、私が生きている間に見つけることが出来るのだろうか。

 

もしくは、存在しないことの証明をするのか、

 

存在しないことの証明がされたという情報がネットにあったり、情報が錯綜しているのだ。

 

1972年、スポーンが空間対角線まで自然数となるものは存在しないことを証明した?

2000年、ルーティが各頂点間の距離がいずれも整数となる直方体は存在しないことを証明した?

 

真偽の程はどうなっているんだろうか。

 

 

ではでは