前回の、プログラミングの記事の続きです。

 

 

 

 

 

 

 

 

問題

ab(a+b)(a-b)=13c2

を満たす自然数(a,b,c)の組を見つけてください。

 

というものでした。

 

更に、問題を一般化して、

 

問題

ab(a+b)(a-b)=mc2

を満たす、mを合同数する自然数(m,a,b,c)の組を見つけてください。

 

でしたね。

 

前々回に、m=29に付いて(3)の解が見つかり、
aについて昇順で探索したら、(2)、(1)、(3)の順で見つかるであろう他のmについて、前回の記事で機械的に(3)を見つける方法を紹介しました。

 

 

あるaとbを互いに素にすると、

 

(1) aとbが平方数

(2) aがmの倍数で、a/mとbが平方数

(3) bがmの倍数で、aとb/mが平方数

 

という解のパターンが出来るので、それぞれの解を見つけようと、枷を作りました。

 

3パターンすべて見つかった素数m

m=5,a=5,b=4,c=6 ............. (2)
m=5,a=9,b=1,c=12 ............ (1)
m=5,a=1681,b=720,c=747348 ... (3)

m=13,a=325,b=36,c=9690 ................................... (2)
m=13,a=361,b=289,c=19380 ................................. (1)
m=13,a=11432100241,b=4882597200,c=21419556323063484180 ... (3)

m=29,a=4901,b=4900,c=90090 ............................................... (2)
m=29,a=9801,b=1,c=180180 ................................................. (1)
m=29,a=2306861784099601,b=941480139600,c=19963602234100641893484527820 ... (3)

m=37,a=777925,b=1764,c=4737551070 ........................................................................... (2)
m=37,a=779689,b=776161,c=9475102140 ......................................................................... (1)
m=37,a=366231234000473296817041,b=3321769740847005445200,c=2099902380421417782407469041718656942460024540 ... (3)

m=53,a=1873180325,b=1158313156,c=297855654284978790 ................................................................................................................... (2)
m=53,a=3031493481,b=714867169,c=595711308569957580 .................................................................................................................... (1)
m=53,a=23527291048033496191402318814072693521,b=18808214047380954410766488918971189200,c=40841596628578779431884173364075053761716960908309613632184762476956848020 ... (3)

m=61,a=12079525,b=10227204,c=9147755349330 ......................................................................................... (2)
m=61,a=22306729,b=1852321,c=18295510698660 ......................................................................................... (1)
m=61,a=62755573680413135651364664081,b=20418268415211733800873531600,c=271972927911612455014999601111101746236654950461057238140 ... (3)

m=41,a=25,b=16,c=60 ....... (1)
m=41,a=41,b=9,c=120 ....... (2)
m=41,a=841,b=41,c=24360 ... (3)

残りの状況

m=7,a=16,b=9,c=60 .... (1)
m=7,a=25,b=7,c=120 ... (3)

m=23,a=24336,b=17689,c=72306780 ... (1)
m=23,a=42025,b=6647,c=144613560 ... (3)

m=31,a=1600,b=81,c=103320 ..... (1)
m=31,a=1681,b=1519,c=206640 ... (3)

m=47,a=14561856,b=2289169,c=12111037689240 .... (1)
m=47,a=16851025,b=12272687,c=24222075378480 ... (3)

m=71,a=3600,b=121,c=281820 .... (1)
m=71,a=3721,b=3479,c=563640 ... (3)

m=79,a=169000000,b=166952241,c=495683115837000 ... (1)
m=79,a=335952241,b=2047759,c=991366231674000 ..... (3)

 

 

さて、今回の報告は、残念なおしらせなのかもしれません。

 

どうやら、残りは(2)のパターンの解が無さそうということのようです。

 

つまり、私はすべての素数な合同数mにおいて、
aとbは互いに素で、

 

(1) aとbがどちらもmの倍数ではなくて、a、bのどちらも平方数

(2) aがmの倍数で、a/mとbが平方数

(3) bがmの倍数で、aとb/mが平方数

 

という3パターンのすべてのが出揃うという予想がおそらく外れたというおしらせです。

 

 

ヒントはタネルの定理にありました。

 

mをmod 8を取ることで、分類が出来るようです。

 

41≡1 (mod 8)

5≡5 (mod 8)

13≡5 (mod 8)

29≡5 (mod 8)

37≡5 (mod 8)

53≡5 (mod 8)

61≡5 (mod 8)

 

7≡7 (mod 8)

23≡7 (mod 8)

31≡7 (mod 8)

47≡7 (mod 8)

71≡7 (mod 8)

79≡7 (mod 8)

 

m≡1 (mod 8)の場合、(1)、(2)、(3)

m≡5 (mod 8)の場合、(2)、(1)、(3)

m≡7 (mod 8)の場合、(1)、(3)

というaを昇順に探索した場合の出現となって、

m≡7 (mod 8)では、(2)のパターンは現れないということです。

 

専門家ではないので、詳しくは説明も出来ませんが、かなり大きな値まで探索しても、見つからなかったのは、そもそもこのmod 8が7では解が無い可能性が非常に高いということが解りました。

 

まだ、合同数については完全に解明されているわけではないので、言葉が濁っていることはご了承ください。

 

 

今回の式

ab(a+b)(a-b)=mc2

において、

(m, a, b, c)という正の整数解は無数に存在する。
ということは間違いの無い事実なのだということは言えそうです。
 
aとbを互いに素という条件を付加したことで、mは、
aの約数か、bの約数か、(a+b)ないし(a-b)の約数かの、いずれかとなり、
それらを分類して、解のパターンを探ってまりました。
 
そこで、いろいろと解ってきて、
mは奇素数であり、a、bは互いに素であることから、
a:=a2, b:=b2, aとbは共に奇数
a:=ma2, b:=b2, aは奇数, bは偶数
a:=a2, b:=mb2, aは偶数, bは奇数
 

という探索の枝刈りが出来、探索プログラムは高速化されていきました。

 

また、平方数ということで、内部的にはa×aのような乗算による計算はせずに、

加算だけで平方数をインクリメントすることで、更なる高速化にも成功しております。

 

その上で、m=29の解が見つかったことで、その出力データから、様々なことが推察され、漸化的に(3)を求める方法まで見つけることに成功しました。

 

m=53の(3)の解は、どんなに探索プログラムが高速になったとしても、スパコンでも使わない限り、私が生きているうちに解が見つかるとは思えない桁数であることからも、この漸化式にたどり着けたことは大きい成果でした。

 

素数の合同数mにおいて、aを昇順で探索して、

(m, a, b, c)という解が見つかったとします。

すると、
(m, a+b, a-b, 2c)
という解が必ず見つかります。

更に、
(m, (a(a+b)-b(a-b))2, m(2c)2, C)
(m, (a(a+b)+b(a-b))2, 2m(2c)2, 2C)
という解が、漸化的に生み出すことが可能で、これを無限に繰り返すことが出来るということで、仮に(2)が見つからなかったとしても、順番はどうであれ最初の一つが見つかりさえすれば、2つめ、3つめ、4つめと、無限に存在することは示せています。

 

 

これにて、このシリーズも完結ということになります。

 

 

ではでは