午後のひとときに、数学の問題を作問したので出題してみる。





問題
図のように、1つの直角三角形と2つの二等辺三角形がある。
内接円の半径は1で、いずれの三角形の面積も内接円の面積の2倍である。
1) それぞれの周長を求めよ。
2) それぞれの仰角を求めよ。

電卓、Excel、Wolfram、GeoGebra、ありとあらゆるツールの使用を許可します。

それでも、(B)、(C)の仰角は、求めるのが面倒なので、上級者向け、チャレンジしたい人向けとし、ここでは答えだけを提示するものとします。


シンキングタ~イム



さて、どのように解きましょうか。

まずは周長を求めてみましょう。

この問題では、3つの三角形が提示されていますが、いずれも周長は等しくなっております。

なぜ等しいのかを説明します。

三角形の3辺の長さを a、b、c、面積を S、内接円の半径を r とすると、

S
r(a+b+c)
2

という式が成り立ちます。

内接円の中心から各頂点とを結び3つの三角形とみると、内接円の中心から各辺への垂線の足を高さ、各辺を底辺として面積を計算することで容易に求まります。

今回求めたいのは周長であり、周長はa+b+cであるから式変形して、

a+b+c
2S
r

となり、r=1、S=2πを代入すると、
a+b+c=4π

答え いずれの三角形においても周長は4π

 

1)はジャブで、2)は極端に難しい。
それでも1)を求めることが重要であることは、後々解ってくるだろう。


それでは、(A)の直角三角形から仰角を求めてみる。

底辺をw+1、高さをh+1、斜辺の長さをw+hとすることが出来る。
よって、周長が4πであることから、
4π=2w+2h+2
式変形して、
2π=w+h+1
h=2π-w-1 … (i)
また、三平方の定理より、
(w+1)2+(h+1)2=(w+h)2

が成り立ち、式変形すると、
w2+2w+1+h2+2h+1=w2+2wh+h2
2w+2h-2wh+2=0 … (ii)
(ii)式に(i)式を代入すると、
2w+2・(2π-w-1)-2w・(2π-w-1)+2=0
2w+4π-2w-2-4πw+2w2+2w+2=0
2w2+2w-4πw+4π=0
w2+w-2πw+2π=0
w2-(2π-1)w+2π=0
解の公式に代入すると、

w
2π-1+2-12π+1
2
h
2π-1-2-12π+1
2

となり、それぞれ1を足したものが底辺と高さなので、

w+1
2π+1+2-12π+1
2
h+1
2π+1-2-12π+1
2

ということで、仰角αは、

tan(α)
2π+1-2-12π+1
2π+1+2-12π+1

有理化しても良い分子が長くなることが予想され、今回はこの形のままで、

α arctan
2π+1-2-12π+1
2π+1+2-12π+1

≒32.10707965945497˚


(B)、(C)も同様の方法で求めることになるが、
頂角から底辺へ垂線の足を下ろして2つの直角三角形として、
直角三角形の底辺をw、高さをhとし、直角三角形の面積は、内接円の面積と等しいことを利用して、連立方程式を立式する。

というのも良いのだが、なかなか難しいだろう。

そこで、二等辺三角形の斜辺を1と固定し、様々な値を仰角x˚の関数とみて、

頂点からの垂線で二等分された直角三角形の
底辺を、w=cos(x)
高さを、h=sin(x)
二等辺三角形の面積を、S=cos(x)sin(x)
周長を、p=2+2cos(x)
内接円の半径を、r=2S/p
内接円の面積を、T=πr2
内接円の面積の2倍を2Tとして、
f(x)=S-2T
という関数と考えて、微分などをしてグラフを描くと、



のようなグラフとなり、
y=0におけるxの値が二等辺三角形の仰角の解であり、
β≒40.43204340520343˚
γ≒74.73519208333951˚
というように求めることも出来ます。


さて、私自身はというと、あいも変わらず厳密解を求めずに、解析的に解を求めて、正確に図を描いております。

厳密解を求めることが大事な場合も多々ありますが、その計算に膨大な時間が掛かるならば、どのみち有効桁数も無限桁求めることは出来ないので、解析的に必要な桁数求めることの方が楽であったりします。
まぁ、考えるのを放棄しているとも言えなくもないですが、解析的な解法ってのは、プログラミングにおいては案外容易であり、値を求められるという意味で重要だったりします。


ではでは