Knホームです。
お部屋を借りに不動産会社に向かい、いざ賃貸契約を結ぶ際に
「重要事項説明」という書類のやり取りで次のような注意事項を
目にすると思います。
「お部屋の用途は居住用(人が住む目的)となり、
ペットの使用は不可となります。
「そしてピアノの使用は不可となります」」
なぜピアノだけ要注意とされるのでしょうか?
契約の際に気になった方は質問をしていろいろと説明されると思います。
物件によっては音が近隣の方に迷惑になるなど、
特に理由としてあげられるものがあるとは思いますが
今回は一般的に言われるピアノの注意事項についての説明です。
今の時代、「ピアノ」と一言にいってもイメージするピアノの形は
人によって違うと思います。
今の若い人がイメージするのは主にキーボードのような形をしている
「電子ピアノ」のようなタイプかと思います。
自宅での利用のしやすさを目的に開発されたこのタイプは大きさも
それほど大きくはなくスペースの節約のために折り畳みできるタイプもあります。
何より歓迎されているのはその「重さ」で、
最近のものは重くても30kgほどの重さしかありません。
タイプによっては片手で持ち運び可能なものもあり、
利便性の向上が技術の進歩によって図られています。
先に結論を述べておくと、これらのタイプの利用ならばまったく問題はありません。
音が気になる方も電子タイプの場合はヘッドフォンを装着できるタイプもあるので、
周辺の環境に配慮される方はそのタイプを選ぶことでまったく問題なく
日常的にお部屋でピアノを楽しんでいらっしゃいます。
しかし、ピアノ利用が注意がされるようになった前例を作りだしたかつての時代に、
お部屋を借りる人が自宅に持ち込むものは学校でよく見かけるような
「アップライトタイプ」や「グランドタイプ」といった大型のピアノでした。
そしてそれらのピアノには特に注意しないといけない点があり、トラブルが続出、
わざわざ重要事項説明書に注意書きが書かれるようになってしまいました。
一般的にアップライトピアノの重さは200~280kg
グランドタイプのピアノにいたっては270~430kg
と成人男性の3~6人分の重さがあります。
それをピアノの幅に集中してお部屋に置くには
残念ながら大型ピアノは重すぎるのです。
住宅の床の積載荷重は建築基準法でだいたい180kg/㎡とされています。
これを超えた重い重量物を置くと、日にちが経つごとにだんだんと
床が歪んでしまいます。さらに大型のタイプのピアノはただでさえ重い上に、
そこに利用する人の体重もプラスされることになります。
何の対策も取らずにこれらの重量を支えられる床というものは存在しません。
退去する際に床のゆがんでしまっていると、
高額の修繕費がかかることになるでしょう。
さらに重症な場合、建物の梁など構造にまで歪みが見つかってしまうと
ちょっとやそっとでは払えない額を支払う必要がでてきてしまいます。
そしてこういう事態は時間が経過して問題が大きくなるまで判りません。
借主さんが無意識に問題があると思わず行ってしまった結果、
大きな問題を起こしてしまうでしょう。
推測ですが、
今と違って、昭和などの頃のお習い事というのはピアノはよく選ばれるものであり
賃貸であっても自宅にピアノがある家というのも少なくはありませんでした。
また、ネットなどの普及もなかったために「ピアノが床に与える影響が強い」
といった情報もあまり知られるものではありませんでした。
結果としてこの問題は広くあちこちで起こってしまったのでしょう。
重要事項説明が賃貸契約の際に必須となったのは2008年11月からです。
わざわざ「ピアノ」について説明書類に記載がされるようになったのは
このような経緯だと思われます。
「どうしても大型のピアノ(のような重量物)を置きたい」という場合は、
床の補強が必要になります。一度物件のオーナーに確認が必要になりますので、
どうしてもという場合は必ず設置するタイミングで確認を
忘れないようにしましょう。
以上が賃貸契約を結ぶ際にピアノがわざわざ書かれるようになった理由です。
不動産の契約を結ぶ際に説明に利用する書類に記入されていることは、
大体過去に何かしらトラブルが多く起こったことについて書かれています。
契約の際にお客様が渡される書類というのは結構多く、
面倒なので読まない方も多くいらっしゃいますが
トラブルになりやすい注意点という意味で書かれている項目もありますので
一度時間のある時に目を通してみる事をお勧めします。
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