「相続税について、相続した不動産の価格を路線価で申告したら追加で徴税された」
ことについて最高裁まで争われた裁判がありました。
裁判についてのyahooニュース記事
この裁判では「不動産の取引に節税の意図があったこと」が認められたため
「例外」の事案として、節税を期待した男性の訴えは退かれました。
「現在の土地の価格」というと「販売価格」が一番意識されると思います。
「現在土地の価格が幾らなのか」という非常にストレートな視点なので解りやすく、
「販売価格のみ解っていれば良い」と考える人は
投資家の方を中心によくいらっしゃいます。
しかし、資産価値の視点になりますが
その土地に建っているものが戸建などの住宅用に利用されているものと
スーパーなどの事業用として利用されているのでは
生み出されているお金に大きな違いが出ます。
大きな違いがあるのに一律で同じ価格を参考にして
販売価格を決めたり、税金の額を決定したりしてよいものか?
という考えが生まれまして
住宅地・商業地や工業地などの複数の分類に土地の価格は分けられ、
「指標」としての土地の価格というものも用途によって複数のものが生まれました。
裁判で述べられている発言が解りやすいですが
「都内の人気エリアは実勢価格と路線価ではあまりにも大きすぎるので
公平性を考えて、正しい方の価格を参考にしましょう」
との通り、
一律で算出された同じ「土地の価格」では参考として用いた時、
場合によっては著しく不公正な事態が発生してしまうので、
より参考として用いるのに使いやすい「土地の価格」を作りましょう
という話です。
そういう理由で「土地の価格」と呼ばれるものには複数のものがあります。
では、その「土地の価格」にはどのようなものがあるのでしょうか。
「一物四価」という言葉がありますが、土地の価格には4種類あります。
なお「基準地価」ではなく「時価(実勢価格)」
を入れて「一物四価」としている場合もあるようですが、
時価は公示価格や路線価などを参考にして価格を出しているので
より参考情報として用いられやすいという意味で
今回の説明では基準地価のほうを説明にいれています。
・公示価格
だいたい「地価」というとこの公示価格のことを指します。
「地価公示法」という法律に基づいて決定され
1つ1つのエリアに
2名の不動産鑑定士が調査書を提出することで価格として公表しています。
毎年の1月1日時点の価格を3月下旬ごろに公表しています。
主に販売価格を決める際に参考にされています。
・基準地価
「国土利用計画法」に基づいて、各地方自治体が調査を行う価格です。
調査方法は公示価格とほとんど同じですが
評価書を出す不動産鑑定士がこちらは1名でもOKということになっています。
毎年7月1日時点の価格を9月下旬ごろに公表しています。
こちらも主に販売価格を決める際に参考にされていますが
公示価格で調査していないエリアの価格の参考にされることが多いです。
・路線価(相続税評価額とも呼ばれる)
国税庁が主体となって決める価格です。
公示価格を参考にしており、
その数値をもとに不動産鑑定士などの専門家の意見を元に価格を決定しています。
毎年1月1日時点の価格を7月下旬ごろに公表しています。
相続税や贈与税などの税額計算では主に路線価が用いられています。
一応補足ですが
上記裁判の件で、参考に路線価を用いたのはダメとなった理由は
相続した不動産に「相続税の節税の意図があって購入した不動産」があったことが
調査の結果判明したからです。
一般的には路線価を参考にして相続税の計算をするのは正しい方法です。
・固定資産税評価額
固定資産税のことです。各地方自治体が主体となって価格を決めています。
なぜ固定資産税が土地の価格と言われるかというと、
すいません実は詳しい理由はよく解っていません。
一説ですが
宅地の固定資産税の計算方法に地価公示価格等の7割を目途に行う計算方法が
平成6年度から行われるようになりました。
(いわゆる7割評価)
これには、それまでの固定資産税で計算する不動産の価値の決め方が
市町村や地域でばらつきがあり、
それを全国で均一にするという意図があったのですが、別の話になるので割愛します。
結果として、
固定資産税から土地の実勢価格を計算する方法も生まれるほどに
固定資産税と土地の価格が密接になったことで
土地の価格の1つとして呼ばれるようになった、ということのようです。
固定資産税評価額は「固定資産評価基準」という基準があり、
各市町村の担当者がひとつずつその評価に沿って価格を決定しています。
毎年1月1日時点の価格を4月1日ごろに
固定資産縦覧帳簿(台帳)で確認することができます。
このように「土地の価格」と一言にいっても
参考にする事柄によって複数の種類が生まれています。
特殊な状況が無い売買で成立する「正常な土地の価格」は
だいたいが公示価格を指しますが相続税に対する路線価のように、
「何に用いるか」によって参考にする価格の種類も変わります。
専門家でも場合によってはどれを参考にするべきか悩む場合がありますので
今回のような情報は、今後の為にも逃さず拾っていきたいと思います。
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