(10月19日よりスタートした、砂漠生還大作戦のつづきです。)


10月15日日曜日 午前4時

約3時間の睡眠から、叩き起こされる私たち。
顔を洗い、スッピンのまま表へ。
朝はまだ来ていません。
暗く澄み渡った空には、信じられないほどの数の星が!!

感動もつかの間、昨夜(というかつい3時間前)にロードしたマグをつかみ、
次々とクルマに乗り込むメンバー。
当然私は今日もトラック野郎。

約7マイル(約10キロ)離れた撮影地点へ到着。
すると・・・

まさかの水溜まり。

そう、昨夜、広範囲で雨が降っていたのです。
水溜まりがあっては撮影できず、出ばなをくじかれる私たち。
しかもまだ真っ暗で、まわりは何も見えません。

とりあえず、夜空を見上げてぼーっとしてみる私。
まさに降ってきそうなほどの星空です。
こんな満天の星、天の川でさえ、生まれて初めて見ました。

今までの夜空はなんだったんだろう・・・。
見上げても、星座もまともに見つけられず、

「昔のギリシア人は、本当に目が良かったんだなあ」

などと思っていたのですが、それは大きな間違いでした。
確かに目は良かっただろうけど、
こんな星空なら、星座が見えて当然です。

そしてなぜか、生まれて初めて、

ああ、死にたい。

って思いました。
消極的な意味ではなく、なぜかごく自然に。

そうしているうちに、夜が明けてきました。
本来なら、日の出に合わせて撮影するはずだったのですが、
もう間に合いません。

しずかに朝を迎えました。

夜明け1

あれほど輝いていた星が、少しずつかき消されていきます。
朝日が、夜空にとって代わろうとしています。

夜明け2

なぜか地面にひれ伏して、祈りたいような気持ちになってきました。
昔この地に住んでいただろう、ネイティブアメリカンのことを想いました。

新しい一日が始まります。

結局、撮影は出来ませんでした・・・orz
水溜まりの出来ないロケーションを、マークとクリスが探しに行き、
お昼まで、他のメンバーは休憩や睡眠を取ることに。

不眠症の気があるジェンを、少しでも寝かせてあげようと思い、
私は部屋には戻らずに、RVの中で、レンズを拭いたり、
砂漠の強い日光にフィルムが感光しないように、
マグに遮光テープを貼ったりしてました。

ひととおり仕事が終わると、すでに9時を回っていました。
バッグの中から持ってきた本を取り出し、読み始めること数分。
眠りに落ちていました。

ちなみに本は、
寺山修司著「新・書を捨てよ、街へ出よう」

本が書かれたのは、60年代の終わりだったみたいですが、
すでにこの時点で著者は、

「おかしな時代になったもんだ、日本人はもやしばかりになってしまった」

的なことを言っているので、
ああ、どの時代も大して変わってないのか、と思いました。


午前11時、再び起床

胃酸の出過ぎたお腹に昼ご飯を詰めました。
そして、新しいロケーションへと出発。
が。
朝日は2度は昇らないため、この日はリハーサルのみとなりました。

カメラが回らない以上、AC(アシスタント・カメラ)としての仕事はないので、
トラックの荷台で、マークが適当に放り込んだぐちゃぐちゃの機材を整理。
本当にありえないくらいぐちゃぐちゃになっていて、こんなの耐えられません。
基本的にアメリカ人はめんどくさがりなので、誰も片付けるはずもなし。
つーか、高価な機材をこんな放り込みかたするなんて・・・。

砂漠1


午後4時

砂漠は寒暖の差が激しいです。
昼間は汗ばむほどでしたが、夕方は肌寒くなってきました。

今回初めて出会った、ヘア・メークのロイが震えてました。
羽織ものを持ってくるのを忘れたとのこと。
私は2枚持ってきていたので、1枚貸してあげることに。
すると、そのジャケット、彼はいたく気に入ってくれて、

「このジャケット、超かわいい!! どこで買ったの?」

「アーバン・アウトフィッターだよ、他に2色あったよ」

ただでさえ人見知りする私。
実はロイはゲイで、ゲイの人と話すのは初めてだったので、
どんな風に接していいかわからず、話しかけられなかったんですが、
これをきっかけにとっても仲良くなりました。

砂漠2

砂漠に来て、完全な静寂というものを体験しました。
自分の部屋にいても、静かな瞬間はありますが、
外のクルマの音や、電子機器の発する音などが絶えることはありません。

でも、砂漠では、そんな微弱音すら聞こえないのです。
風が止んだ一瞬、完全なる静寂は訪れました。
どこまでも続く大地、遠くに見える、粗い岩肌を露出した山。
自然は偉大であり、同時に恐ろしいものですね。
みんなと一緒にいるのに、なぜかとても孤独な気持ちになりました。

そうこうするうち、陽が傾き始めました。
初めて来た砂漠で、朝日と夕日を見ることが出来る、なんて贅沢。
地層をさらした山肌は、オレンジ色に輝いています。
私は手を休めて、ただただ立ち尽くしていました。

砂漠3

砂漠生還大作戦その3 ~緊急事態発生~ へつづく
行ってきました。
どこへって?

DEATH VALLEY (死の谷)

砂漠での撮影です!!


10月14日土曜日 午後2時30分

撮影の休憩所にするための、RV(キャンピングカー)をレンタルしに行きました。
プロデューサー兼監督であるマーク、
はるばるニューヨークより召喚されたマークの友達・カメラマンのクリス、
ADのジェン、そして私の4人で向かうことになりました。

渋滞、さらに、GPSもお手上げの方向音痴の持ち主マークの運転、
それらを乗り越え、やっとレンタル会社に到着。

当初はジェンがRVを運転する予定だったのですが、
21歳以上でないと運転できないと言われたため、
急遽私がドライバーとして登録されることに。

手続きを済ませ、やっと現物とご対面・・・

デカッッッ

写真撮るの忘れたのですが、RV異常にでかいです。
そりゃそうです、中で寝泊まりできるように、
ベッドとテーブル、ソファ、ミニキッチンにバスルームもついてるんですから。

こんなん私が運転できるんだろうか・・・。
という不安を抱えて、レンタル会社をあとにしました。

ガソリンを入れないといけなかったので、最寄りのGSへ立ち寄ることに。
まだ車幅がつかめていない上、やや狭いGSだったので、おびえていました。
隣のポンプで給油しているSUVに当てないよう、注意を払いつつ・・・


ガリガリガリッッ!!


(=◇=;)Σ(・ω・;|||ヽ((◎д◎ ))ゝ












SUVへばかり気を取られていた私。
給油ポンプの横にある、背の低いポールと、
意味のない鉢植えに気づかなかったのです。

こうして、RVの横っ腹をこすった私は、

運転開始より約100mの地点で、
まさかの運転資格剥奪となりました。


マークは自分のクルマがあるので、
本来なら運転資格のないジェンが仕方なく運転することに。
この契約違反が、のちのち大事件へと発展していくとは、
まだ知る由もない私たちでした。


午後5時過ぎ

他のクルーのメンバーと待ち合わせの場所である、学校へ到着。
ここで、主演の女優さんと、メークさんと初対面。
他のメンバーはすべてクラスメイトです。

さて、RV運転資格を剥奪された私ですが、
もう一台の中型車、機材を積んだトラックが、
道路の向こう側に鎮座しています。
佐川急便の小さいほうのトラックに匹敵する大きさです。

果たして誰が運転するのか?

誰もそんなもの運転したくありませんよね・・・アハハ。
うちのクルーの男どもは本当に役に立ちません。

RVをこすった私が、
トラックを運転しているとはおかしな話です。


こうして、片道4時間のデスバレーへの旅がスタートしました。
空にはもう、夕闇が迫っていました。

5から、210、15へと次々とフリーウェイを乗り換え、
平均速度80マイル(120キロ)でかっ飛ばします。

徐々に勾配がきつくなり、いよいよロッキー山脈へと到達。
フリーウェイなのに、道路を照らす明かりもなく、辺りは闇。

山を抜け、闇の中にぼんやりと砂漠の気配を感じ始めた頃、
フロントガラスの向こうに、大きな流れ星が!!
そこで初めて、美しい星空に気づきました。

何か、銀河鉄道を走ってるみたいだね。

と、助手席に座る男の子に話しかけたものの、
あまりいい反応は返ってきませんでした・・・。
珍しくメルヘンなことを言ったのに・・・orz

見えるのはヘッドライトに照らされた道路のみ。
漆黒の闇の中、どこまでが空で、どこからが地面なのか、
そんな状況で、とても不思議な感覚でした。


午後10時

銀河鉄道の旅も終わりを告げ、ようやくモーテルに到着。
疲れた体を休める暇もなく、カメラにフィルムをロードしました。

16ミリ

これが16ミリカメラ。
カタツムリの殻のようなものが、
フィルムが入っているマグと呼ばれるものです。

このマグがビミョーだったおかげで、たった3つロードするのに
1時間以上もかかってしまいました。

27マイル(約40キロ)も離れた隣町まで行って、
イタリア組(イタリア系とイタリア人のメンバー)
がハンバーガーを買ってきてくれました。
チーズバーガーとナゲット、ダイエットコークの晩ご飯・・・orz

午前1時就寝。

砂漠生還大作戦その2 ~ネイティブアメリカンスピリッツ~ へ続きます。
ALL THE KING'S MENを観てきました。

オールザキングスメン


え、ショーン・ペンが主役じゃないの?

と、まずはカウンターくらわされてしまいました。
クレジットのトップに名前が載っているものの、
実質的な主役はジュード・ロウです。
そしてさらに、

南部訛りが聞き取りづらい。

という初歩的な問題が発覚。
(こんなんで感想なんて書いていいのか?!)

聴覚を最大限に研ぎすまして映画観ました。
疲れました・・・。

まあ、細部がわからなかった箇所もあるのですが、
それを差し引いても、だいぶ物足りなかったです。
ショーン・ペンが主役だと思っていただけに。

「ショーン・ペン演じる悪徳政治家の、隆盛と衰退の話」
らしいのですが、どうもアプローチの仕方が違うような・・・。
キャストはすばらしい役者さんばかりなので、とても悔やまれます。

しかし、そんな中でも、
スターク(ショーン・ペン)の演説シーンは、鳥肌ものでした。

演説

このショットは、とってもかっこいい!!
喫茶店で、スタークの支援者であるふたりが会話を交わし、
ガラスの向こうでは、彼が街頭演説で熱弁を振るっているのです。

このあと、スタークは遊園地でも演説をします。
彼の演説に引きつけられるように、
閑散としていたステージの周りには、人だかりが出来てきます。

こんな言い方をしていいのかはわからないのですが、
世界史の時間に観た、ヒトラーの演説ビデオを彷彿とさせるものでした。
ぞくぞくっと鳥肌が立って、脳みそに言葉が焼き付くような感じがしました。

やはりショーン・ペンは、ただ者ではない役者です。

どんどん緊張感を増していく、リズミカルな撮り方もとにかくかっこよかったです。

ショーンペン2

スタークはもちろん、民衆の心をつかみ、勢力を拡大していきます。
そしていよいよ、州知事の座へ。
議事堂の前でも演説をします。バックライトがかっこいい!!
光と影をフル活用した、印象的なショットです。
背景は、建物以外ほとんど見えなくさせて、
まるで舞台の上のような感じです。
スタークの口から発せられる、リズミカルな演説。
オペラを観ているみたいです。
くどいですが、ショーン・ペンはただ者ではありません。
壁に浮かび上がる、スタークの影、ぞくぞくしました。
演説シーンの撮り方は、どれも緊張感に溢れたものばかりです。

ショーンペン1


一方、ジュード・ロウは、スタークに振り回される苦悩の日々を送ります。
が、彼の存在意義がわからない・・・なぜ主役なのか。
(むしろいないほうが、話がすっきりしてよかったんじゃ・・・ジュードファンの方、すみません!!)

しかもなぜか、彼の身内ばかりが事件に巻き込まれていきます。
苦悩するジュードは確かに美しいですが・・・描き方がとても不可解でした。


35ミリ

おまけ。

この映画の写真の中に、35mmカメラのものを見つけました。
てっぺんに付いている楕円形のもの(マグ)に、フィルムが入ってます。
コードがたくさん出ている、四角いものが、カメラ本体です。

カメラが乗っている、船のような形をした台は、フリュイドヘッドと言います。
見えにくいのですが、カメラマンが右手で押さえているハンドルで操作します。

ヘッドの左側にも、同じようなハンドルが付いていて、
これを回すとヘッドが前後に傾き、上下に動く画が撮れます。
右手のハンドルでは、左右に動かせます。

フリュイドヘッドは、驚くほどなめらかに動きます。
とても美しくて、思わず見入ってしまうほどです(私だけ?!)

役者の動きにあわせて、まるで呼吸をするように繊細に動く
あまりにも自然で、見る側は意識しない・・・
そんな画が撮れる人が、すばらしいカメラマンだそうです。
私にとっては雲の上の話です・・・・°・(ノД`)・°・
いつかそんな画が撮れるように、たくさん練習するのみ!

しかし、カメラマンがすばらしくても、ヘッドがボロくては台無し。
まさに、縁の下の力持ちです。

どんな機材も、映画の屋台骨を支える大切なものたち。
愛着を持って使います。

しかし、どれもこれも、なんであんなに無駄に重いんだろうか・・・。

サロンパスとピップエレキバンが欲しい今日この頃です・・・。