S氏はイケメンか?
と問われれば、
大方の女子は、そうだと答える。
ボクシングのムラタ、
クロレッツのタマキ、
ちょっと言い過ぎかもしれないが、
似ているのだ。
しかし、何なんだろう?
イケメンか?の問いに対する
そうだ、という返事の前には
一瞬の間が存在する。
「謎の詰まった間」である。
さて、そのS氏。
上二人がお姉さんという、
三人兄弟の末っ子。
そのせいかどうか、
「愛されキャラ」だ。
A子さんいわく、
「‘僕は失敗が許されるタイプなんです‘って、
自分で言っちゃうんですよ。
それって、どう思います?」
まぁ、S氏への批判的な言葉ではある。
仕事上、S氏は農作物、
果樹の掛け袋などをよく斡旋している。
その仕事の相手先との電話を聞いていると、
う~む、と感心してうならされることがしばしばだ。
「先日は、集計表を届けてくださってありがとうございました。」
ま、これは、誰でも言う言葉だが、
「データの分析までして下さっていて、
おまけに、わかりやすいように項目を追加してくれて。
ほんと、ありがとうございました。」
と、相手の心配りをちゃんと受け止めて、
言葉で感謝を返しているのだ。
また、ある時は、
他社の営業の人がちょっとした販促品を持ってきてくれたのだが、
「ありがとうございます。」
と言ったあと、
「こういうの、欲しかったんですよね。」
と実に嬉しそうに受け取るのである。
S氏は、テクニックではなく、
言葉だけでない、心のキャッチボールができる人なのであろう。
さて、そんなある日。
私は、来年1月のカレンダーの写真が、
雪をかぶりながら、
枝にたくさんの実を付けている「ゆず」であるのを発見した。
ゆずの黄色があんまり鮮やかできれいだったので、
S氏にその写真を見せながら、
「この子たちも、あの掛け袋で育ったんでしょうねぇ。」
と感慨深く言ったものだ。
返ってきた答えは、
「ん?それ、‘でこぽん‘ですか?」
「ゆず?」
「ゆずには、掛け袋をかけないんじゃなかったかな?」
え?私の感動は見当違いだったのか?!
S氏は何事も無かったかのように、すましている。
そうか、
今なら理解できる。
「謎の間」の正体はコレだった。
ま、愛されキャラは事実だし、
これはこれで、ほほえましくはあるのだが。
改めて、S氏には、
「残念イケメン」の称号を授与しておこうかな。