今日の北國新聞の「北國文芸」で私の短歌が佐伯祐子先生に佳作に採られました。

 

一坪の母の厨に立ち入れば幸せ溢れし祭りの前夜

 

50年以上も前、街中にあった我が家は狭いながらも大通りに面した場所にあり、祭りになると見物がてら父の知り合いがたくさん集まった。母はその人たちに手作りの料理でもてなすことを喜びに感じていたようだ。

五月の初め、祭りの前夜。母は沢山の押し寿司を造った。柿の葉を使う家もあったようだが、母はいつも笹の葉を使った。頼んであった青々としたクマザサの葉を台所の床に並べ、塩をしたシイラや鮭の切り身を載せ、寿司飯を載せ、さらに青藻や生姜や干しエビなど中の具の目印になるように化粧をし、一段毎に寿司桶に並べ重ね、一晩、押しをする。

ほかにも「恵比寿」や「煮染め」など祭りの前夜は母のお祭りだった。

いまでは、祭りに人を呼んだり呼ばれたりする風習はなくなったが、能登地方では今でも「よばれ」といって祭りの時には前を通る見知らぬ人も呼び込む風習が残っているそうだ。

大切にしたい風習です。