今日発売の「NHK短歌」6月号の最後の方に、ラジオ番組、文芸選評の「東日本大震災を詠む」として3月9日に放送された時に採られた歌が15首載っている。その中に私の詠んだ歌も載せていただいた。

 

鮪立とふ勇ましき名を覚えけり復興支援の報告会に

 

今から十年近く前、石川県庁の農林水産部のある部署を訪ねたとき、親子以上も歳の離れた後輩が「この字読めますか?」といって示したのが鮪立。

わざわざ、問いかけるということはマグロダチではないだろうと思いながら考えても思いつかない。少し間をおいて「わからん」というと彼は勝ち誇ったように「しびたち」と言った。

石川県は宮城県へ復興支援の技術者を派遣しており、気仙沼市の漁港の復旧復興へも何人か数ヶ月間交代で行っており、彼も丁度帰ってきたばかりだった。

そのときに覚えた「しびたち」という小さな漁港の名前がずっと記憶に残っていて、今年の文芸選評に応募したところ採られたというわけである。

鮪立どころか気仙沼へも行ったことの無いものが詠んだ歌ではあるが、鮪立は私の心の中にずっとある地名なのです。