当世落語絵本 母恋いくらげ | みたまま記録

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【タイトル】当世落語絵本 母恋いくらげ(とうせいらくごえほん ははこいくらげ)
・原作:柳家 喬太郎(やなぎや きょうたろう)

・文・絵:大島 妙子(おおしま たえこ)
・出版社:理論社
・金額(本体):1,600円
・発行年:2013年
・読み聞かせにかかる時間(目安):8分20秒くらい
・文章量:
 4.7.13.6.9.7.6-3.2-4.3-6.3.9.8.4-4.2.5.10.3.2.11.7.8-6.2.8.7.8.11.3-5行くらい。
・漢字の有無:本文に漢字あり。漢字にはふりがながふられているものと、ふられていないものがある。
・あらすじ・内容:
「ねぇ、おっかさん。海のそとには、なにがあるの?」

「海とはべつの、おっきなせかいが、ひろがっているんだよ」

「ふぅ~ん。おっかさん、そこへいったことある? ねぇってば~」(カバーそでより)

・感想:
 元は落語のようなんですが、なんだかほんわかしているので落語っぽくはなく、ただただくらげのぼうや・くらのすけの冒険を見守った感じでした。

 くらのすけが、捨てられたみかんをおっかさんだと思い込むところが、落語だと笑いどころなのかなあ。読み方によるんでしょうね。絵本で読んでいると、くらのすけはまだ小ちゃいし、寂しい気持ちもあるだろうし、そう思うのも無理はない気がしてきます。そのみかんの皮がなぜそこにあるかというと、遠足のバスの窓から中村くんという子どもが投げ捨てたからなんですけど、その描写を見て「中村ァー(怒)」と怒りたくなりました(現実にいたらもっと穏やかに伝えるとは思いますけど)。捨てんなや。クラスメイトの目撃証言もあり、先生に注意されて、捨てたみかんの皮を拾いには来たけれど、私の心の中に中村くんに対して憤る気持ちがある分、みかんの皮をおっかさんだと思い込んだくらのすけが、おっかさんを守るために己の力で中村くんをしびれさせていたのを見て、すっきりしました。くらのすけ、グッジョブ。

 海ガメのかめぞうさんの協力もあり、くらのすけは無事に海に帰ることができて、おっかさんとも再会し、読者としても一安心ですよー。

 ひとかわむけたくらのすけ、このまま海ですくすく育ってほしいですね。でもひとは刺さないようになってほしい……! みんながみんな、中村くんみたいじゃないぞ! ニンゲン、コワクナイ。


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