平成30年浦幌ラン--林道を迷走 | サロマ・アゲイン  そしてロングトライアスロンへの挑戦

平成30年浦幌ラン--林道を迷走

今年こそは厚内の美しい砂浜を見に行こうと考えていた。

最大の課題は早起き。朝3時に起床しなければならない。

浦幌まで70キロを12時間で走るとなると、この時期の日没前の午後4時ころに

浦幌の町に着くには午前4時にスタートしなければならない。

というわけで前日の木曜の9時頃就寝し、午前3時に起床。階下が灯りが着いていると思ったら、

女房がまだベッドに入らずにソファでうたたねをしていたのには驚いた。おかげで部屋中暖かった。

顔を洗い、髭をそり、前日までに揃えていた着替えをし、車で大楽毛駅に。深夜は真冬の様相。

 

午前3時58分に無事大楽毛駅をスタート。リュックに後ろにつけていた点滅灯が着かないというアクシデントはあったが、

十分の防寒で寒さを感じないで、真っ暗の町を走り始めた。

 

大楽毛駅を国道38号線に走り出て、ひたすら走る。釧路白糠工業団地に沿った国道を走る。右上にある月が明るく美しい。

前方左空にオリオン座がはっきりと見える。天気予報では天候は良好だが、風がやや強いの予報。「やや強い風」というのは気象庁の定義による平均風速が秒速10以上15メートル未満。そんなほどでもないじゃんと感じるかもしれないが、経験上秒速10メートルは前かがみにならないと走れないという経験がある。寒さは何とかなるが、風は前に進まず長距離は踏めないだろうと思い、途中のJRの駅に断念して帰ることも考えながら走った。

 

今回は断念する機会が結構あった。まず第一は寒さ。上の防寒は、アンダーアーマーの冬着、さらに同様の冬着、そして冬用のウインドブレーカー。これで結構十分と思ったが、一番寒くなる夜明け前ころの5時半ころの釧路白糠工業団地沿いのランでは両腕の寒さで断念しようと思った。

 

第2は、後程説明する林道での迷子状態。これは断念しようにも断念する場所が分からず断念しようがなかったが。

 

話を戻します。午前4時ちょっと前に大楽毛駅を出て、釧路白糠工業団地沿いの国道を走っていると、たくさんのトラックが走る。飛ばされそうにもなる。歩道もないので、車道の狭い白線の内側を走る。白線の内側はおおむね左側に傾いていて、雑草が盛り上がっているので走り辛く、転びそうにもなる。そんな横をトラックが走る。ここは非常に危険であるので、慎重に走った。

午前4時半ころ、恋問館あたり。そんなことを思いながら走っていると、急に横に車が止まり、窓越しにお父さんが「乗っていくかい?」と言ってくれる。「えっ!!」と急のお申し出なので、なんと対応していいか、こんな夜中に私が放浪の旅をしているのでも思ったのだろう。私はこのご厚意の言葉に笑顔で「有難うございます。大丈夫です。」と答えた。おじさんは仕事の明けなのか、ジュースを飲みながら運転して立ち去っていった。初めての経験であった。人の情けもまだ捨てたものではないと感じた。

 

何とか風で冷たくなった腕を我慢しながら、釧路白糠直線コースを走り切り、もう少しで白糠の町に入る。寒さが厳しくなってきて、しらじらと周りが明るくなってきた。次回はもう少し暖かい時期に走ろうと今更ながら反省していた。

 

白糠に入る前に、午前5時34分に庶路駅前を通過。白糠の手前の刺牛(さしうし)の集落は午前6時10分ころ。日の出の時間になってきた。日の出を写真に収めようと立ち止まって待っていたが、雲に隠れて見えない。さらに走り始めた。6時40分ころにはまぶしい朝日を背中に走りはじめた。17キロ。

 

朝ごはんは白糠のセブンイレブンでてんぷらそばのカップ麺とおにぎりと缶コーヒー。午前7時16分再スタート。次は音別だけど、途中には山越えが待っている。山を越え、馬主来沼が見えてくる。すでに8時半ころになっていた。時間がないのに昔アイヌが食料が無い時期に打ち上げられた鯨を食べて踊ったというフンペリムセ発祥の地を見た。なんか微妙なくじらの像が飾ってある。目も鼻も口もなにもない。

 

音別のコンビニで缶コーヒーを買って、持参していたジャムパンを食べた。小休止後、音別を離れてさらにアップダウンの連続。直別にようやく到着し、そこから国道とは別れて札内の美しい砂浜に向かう。砂浜には12時13分到着。女房からメールが来た。私の位置情報はアプリで女房も見ることが出来るようにしているので、私のいる場所はいつでも見ることが出来る。それを見ていた女房から「遅いんじゃない?」というメールだった。確かに予定のスケジュールより2時間遅れてはいた。でもそれくらいの遅れも想定していたので、気にしないで今までのペースで、美しい砂浜を横目で見ながら走り続けた。サケ釣りなのか一人で5本くらいの竿を指している人もいた。

 

長い海岸線を走り続ける。ようやく札内トンネルに来て、このあたりは結構な風だったが右側の山の方に歩みを進める。この山を霧止峠まで上がればあとは下り基調で浦幌市街までもうすぐ。

 

トンネルを超えた地点が56キロくらい。あと14キロ。もう少し。トンネルを抜けて山に入ったら、ひたすら上り基調。8キロ程度だろうか。その時点でなぜか12時間は持つガーミンが消えていた。この時点で自分の走行距離が分からなくなった。なんか嫌な予感がした。

 

峠を越えたあたりでスマホのバッテリーがなくなったので、予備バッテリーで充電して走り始めて、300メートルくらい下ったところで何気にスマホをつかんだらバッテリーがない。落としてしまった。また戻って探したら峠のすぐ近くの路上に落ちていた。良かったがロスしてしまった。直後に大きなトラックが通り過ぎていた。トラックよりも早く見つけなければバッテリーは粉々になってしまっただろう。嫌な予感その2。

 

この峠を降りたら右へ行く道を入って行くというコース予定だった。静内という集落を通る予定だった。前回は峠あたりでシナソバさんが迎えに来てくれていたので、一緒に走ったのでコースの記憶があやふやだった。

 

今でも考えただけど、その恐ろしさにぞくぞくしてしまう。林道の迷走のはじまりだ。

 

峠を下ったら、橋があり、静内川と書いていた。ここだなと思って右に折れ幅員5メートル程度の道を走り始めた。林道だったが、ここだろうと思った。砂利道だったが、ここからだと6キロ弱。2時間かからないだろうと思った。この時点で午後2時半くらい。早く着きそうだとおもっていた。そんな走り始めたら200メートルくらいで道にすごい量の血痕。おそらく鹿を処理した後だろうと思った。この時点であれっとちょっと思った。こんな道だったろうか。変だと思って一回戻ったが、いや、この道だろうと改めて踵を返し走り始めた。しばらく行くと雪道となり、道路に車のタイヤ痕もあったので、ここを走れば車が行き来する道に出るだろうと思い、走り続けた。しばらく行くと浦幌の市街地とは違う右の方へしかも峠道になった。あれ、と思ったが、すでに3キロ以上走っており、戻れるような距離ではなくなった。まだ、日も高かったのでそのうち車が行き来する道路にでるだろうと思った。

 

が、いっこうに浦幌市街の方に向かっている気配がない。そのうち飲み水もなくなり、食料はすでに皆無。そうこうしているうちに林道の分岐が現れた。片方は浦幌の市街地の方だが山の中へ。もう一方は平らな林道だが逆の方。私はどっちに行けばいいのかわからず、200メートルくらい平らな方を走ったが、いや、おかしい、少しでも市街地の方に迎えべきだと考え直し、元に戻って、山の方に向かう林道に戻って行くこととした。この時点で自力では土地勘がないことから正確に進めないと思い、浦幌のまーちゃんに電話を入れたが、残念ながら圏外で携帯はつながらない。また、グーグルマップも表示できない状態になり、信じれるのは自分の判断だけになった。まったくもって心もとない。山道を自分の判断だけで進めるという確信はまったくなかった。そして、この分岐にある橋を渡り、進んでいった。この時点でスマホのバッテリーも心もとなくなってきたので音楽を聴くのもやめて走り始めたら、森の中の鳥の声、草の擦れる音、鹿の声が時々聞こえるようになった。そうこうしているうちに、この時点で走り続けることができず、喉も乾き空腹だったため、道端の雪を食べながら歩き続けた。道端の雪はかなりいただいた。とてもおいしかった。

 

まだ、おひさまはあったので、そのうち近くの国道にでるだろうと思ったが、いっこうに車が走る音はが聞こえない。鳥の声しか聞こえない。次の峠を越えれば町の灯りが見えるだろうと何度も上り下りを繰り返したが、いっこうに見えてこない。だんだん暗くなってきた。その林道には起点から3.5キロという記載のある杭があったので、3.5キロ行けばどこかの道路に出るだろうと歩き続けた。しかし、その期待は得られず、この林道の起点には2つに分かれた新たな林道が2本現れた。既におひさまは沈み、真っ暗な状態になってしまった。また、私はどっちに行けばいいのか迷った。一方は、町に近い結構な上り、もう一方は町の逆の下り道。私ははじめ、町に近い方の山道を近くにあった木を支えにして歩き始めたが、その上ったところの先の道は真っ暗の森の道へ続いていた。これはダメだと思い、また、引き返して別の林道に戻り歩き始めた。すでに自分はどこにいるのかわからない完全に遭難状態になってしまった。しかし、このころには1キロ先くらいに車が通る明かりが見えてきた。近くには来ていると思ったが、その近くに行ける道がその時点では皆目見当がつかなかった。

 

しかし、歩き続ければどこかに着くだろうと思っていたら、鹿が入らないようにロープを張っている畑のような広い場所に出てきた。その平らな道を歩くと遠くに車が走っている光が見えた。歩いていたら小さな橋があった。峰越橋。ああ、峰を越えてようやく国道にたどり着いた。遭難しなくてよかった、と生還したことを強く感じた。

 

たどり着いた国道はどっちに行けば浦幌市街地にいくのかさえも分からなかったが、幸い、圏外だったスマホはここでは何とかつながったので、グーグルマップを頼りに市街地へ。一度はなぜか釧路方面に逆走してしまった。なんか変だと思って再度スマホの地図を見たら逆走していることがわかり、200メートル戻った。この地点はグーグルマップで調べたら市街地から6キロ離れた場所だった。浦幌隧道の手前で、1キロほど走ったら隧道があり、人がようやく通れるような幅で20㎝ほどの高さの歩道があり、そこをビュンビュン走る車を横目に何とか通り過ぎ、時々雪を食べながら歩いては走った。この時点で5時半ころ。すでに予定の5時25分の汽車は間に合わない。次の7時25分の汽車に乗らないと後がないと思い、必死で走った。が、すでに私の足の余力は尽き、走り続けることが出来ない。走ったり、歩いたりして、10分前にようやく駅にたどり着いた。走りながら、コンビニでカツカレー、甘い缶コーヒー、パン、牛乳1リットルを買って汽車に乗り込もうと思いながら走ったが、そんな時間はなく、夕食も買えず、駅前の自動販売機で缶コーヒーをなるべく栄養を取るために甘いものを1つ買って乗車した。

 

乗車した汽車の長いすに靴を脱ぎ、リュックを枕に横になって休んだ。生き返った。お風呂にも入れなかったが、林道の山の中で何も見えない真っ暗の山上でどうなるかと思ったが。

 

今回の教訓は遠回りでも国道、道道又は市町村道を走りなさい。間違っても林道に入ってはいけません。林道は林を管理する道なので、山の中を縦横無尽に駆け巡り、人を地点と地点を行き来させるものではなく、本来の目的が違います。

 

大楽毛には午後9時8分に到着。車のフロントは凍っていた。スプレーでフロントガラスを溶かして、大楽毛のセブンイレブンに行って、夕食を購入。新道を走り、帰宅して、お風呂に入り、コンビニで買ってきたカツカレーを食べて、ビールを飲んだ。日常のすばらしさを痛感した。

 

帰って来られて本当によかった~

 

この後、浦幌のシナソバさんにこの話をしたら、あそこは熊が出ますよ~と言われた。熊に遭遇せずに生還できたことを改めて神様に感謝したのでした。