僕は数年に1度ですが文通してる友人がいます。


以前勤めていた自然野生動物保護園の元同僚です。



LINEやSMSがある世の中、唯一アナログでやりとりしている人です。


その同僚から保護したオラウータンの写真と手紙が最近届きました。

そこには気遣いの言葉と、近況報告が書いてありました。




心と身体は大丈夫か?生き物達は元気か?どうかいつまでも明るく過ごしていることを願っている。

と書かれてありました。




近況報告はコロナによって野生に帰せなかったオラウータンのヴージの辛い話でした。

僕が働いていたときもたくさんオラウータンを保護しましたが、やっぱり何かしらの理由で帰せない個体もいました。



2020年コロナウイルスが世界的に流行して、たくさん亡くなる方がいました。 



そのときに、生き物と暮らしていた人は大概不安に感じたことかと思います。動物にも感染するのか…




当時は全く情報がなく少しずつ解明されていきました。


その中でもオラウータンは97%以上DNAが一緒でほぼ感染してしまうと言われていましたし、実際そうです。



ヴージは、山火事で親とはぐれ右半身火傷で保護された個体です。





ある程度元気になり、自分で餌を取れるようになったヴージを森に帰そうと計画していた最中にコロナウイルスが流行しました。



そのオラウータンはスマトラオラウータンという世界でわずか7000匹しか存在しない種類です。




もし、人間に近しい環境にいたヴージをここで帰してコロナに感染したら、または感染してしまっていたら、たくさんのオラウータンの命を奪ってしまい絶滅を加速させてしまうと考え計画は延期となってしまいました。






当時は人間も安易に抗原検査もPCR検査もできませんでしたし、動物の場合はもっと困難でした。



森に帰せず保留になってしまっていたヴージは、人馴れしすぎて、人がいないと生きていけずもう帰すことはできません。



一見、不自由なく暮らせるし身の安全も保証されるし、良く見えるかもしれませんが。



本能やその生き物本来の姿がなくなってしまう生き物ほど残酷なことはないです。


人間みたいな仕草や振る舞いをする生き物も確かに可愛いですが、その生き物本来の姿でいてくれる方が魅力的だと思っています。



ヴージはたまに本能を取り戻したいかのように、大きな声で空に向かって鳴き続けるそうです。




それだけではないけど、その同僚は少し心が疲れてしまい長期休みをとるそうです。




その流れで9月に日本へ来るそうなのでたくさん土産話を聞きたいと思います。

















うちのじーちゃんばーちゃんは何とか変わらず元気です。