こんばんは、コージーです。
本日はうつ病に関する本を紹介します。
※本の紹介は【月・水・金】の予定です
今回は、こんな方に向けて発信します。
自傷行為をする人の気持ちを知りたい
自傷行為をする人の支援をしたい
自傷行為をやめる方法を知りたい
自傷行為をする人の支援をしたい
自傷行為をやめる方法を知りたい
◆『自分を傷つけずにはいられない』/松本俊彦(講談社)
「自傷する人」に向けた本
国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所の薬物依存研究部部長に就任した著者。テレビやラジオなどのメディアへの出演も多い。
この本は、著者が臨床経験を経て伝えたかった、「自傷する人」に向けた本です。
本書は、主に2つの構成となっています。
第一部 「自分を傷つける生き方を理解する」
第二部 「自分を傷つける生き方から回復する」
自傷を免れる具体的な対処法や、精神科医の選び方など、自傷から回復するヒントが、いろんな角度から紹介されています。
また、自傷する人の陥っている状況や、なぜそうしてしまうのかという理由が、とてもリアルに語られています。
ご本人に向けた内容ももちろんありますが、自傷する人の家族や支援者の方にも、ぜひ見てほしい一冊です。
孤独な対処策
この本を読んでまず驚くのは、自傷をする人は意外に多いという事実です。
刃物で自分の体を傷つけるという方法による自傷は、10代の若者のおよそ1割は少なくとも1回は経験がある、とのこと。
しかも、その1割の経験者のうちの、およそ6割は、10回以上、刃物で自分の身体を切ったことがあるといいます。
この1割という数字が驚愕です。30人のクラスの中に、3人は自傷行為をした子供がいるということになります。
身の回りに起こることとして、自分から遠い出来事ではないといえるでしょう。
また、自傷行為でよくある誤解が、「かまってほしい」といった、周囲のアピールとしての行為だというもの。
そういった意図も多少は含まれるかもしれませんが、多くはその理由でないと筆者はしっかりと否定します。
それは周囲へのアピールではなく、自分の不快感情を和らげるための、孤独な対処策だといいます。
だれに頼るもことができず、行き詰まってしまう。その心の苦しさから自分が何をするかわからない、そんな衝動から解放されるための対処策なのです。
その証拠に、自傷行為の96%は、ひとりぼっちの状況で行われています。
自傷から回復するスキル
本書は、自傷するご本人に向けた内容であるため、自傷から回復する具体的なスキルまで紹介されているのが大きな特長です。
自傷をコントロールするには、強烈なトリガー(きっかけ)に遭遇したらすぐに気持ちを切りかえて、トリガーが引き起こす感情の波から距離を置く、また自傷の代わりとなるスキルを活用することが必要である。
その自傷の代わりとなるスキルを置換スキルといい、「刺激的置換スキル」と「鎮静的置換スキル」の2つのタイプがあると筆者はいいます。
刺激的置換スキルとは、身体的な痛みをより安全な知覚刺激に置き換えてつらい感情をやわらげ、気持ちをそらすもの。
鎮静的置換スキルとは、焦燥や緊張、怒りといった感情の興奮そのものを鎮めることを目的としたもの。マインドフルネスなどが紹介されています。
今回は「切りたい!」という衝動の波に飲まれる前に、素早く対処する方法として、刺激的置換スキルを本書より一部ご紹介します。
(必ず効果の出るというものではありませんので、参考にとどめておいてください)
■思考ストップ法
トリガーに遭遇し、自傷の衝動の気配を感じたら、心のなかで「ストップ」と叫び、気持ちを切りかえます。
■スナッピング
手首に輪ゴムをはめ、トリガーに遭遇し、「切りたい」という衝動の予兆を自覚した際に、その輪ゴムでパチンと手首の皮膚を弾き、気持ちを切りかえます。
■香水を嗅ぐ
トリガーに遭遇し、自傷の衝動を感じたら、刺激の強い香水の匂いで気持ちを切りかえます。
■紙や薄い雑誌を破る
トリガーに遭遇し、「切りたい」という衝動の予兆を感じたときに、不要な紙、薄いパンフレットや雑誌を思いきり破ります。
■氷を握りしめる
トリガーに遭遇し、「切りたい」という衝動の予兆を感じたときに、氷を手で握りしめます。そうすると、その冷たさの知覚はほとんど痛覚と区別がつかないものとなり、皮膚を傷つけず、出血もしない痛み刺激を用いて気持ちをそらします。
うつ病は自殺に一番ちかい病気です。
ですので、うつ病などの心の病で悩んでいる方の中には、自傷に及ぶ行為を一度でもされたことがある、という方がいらっしゃるかもしれません。
誰にも頼れず、人知れず・・・
その苦しみや辛さを少しでも和らげるヒントが、この本にはあると私は思っています。
苦しんでいるご本人をさらに苦しめるといった表現や内容はなく、終始一貫して援護してくれている、世の中の誤解をなくそうとしてくれている、そんな優しさも感じられます。
ひとりで悩まず、ひとりでも支援者を見つけてほしい。
もしひとりで対処できるものがあるのなら、この本からヒントを探してほしい。
ご本人もそうだし、周囲で見守っている方にも読んでほしい、そう純粋に思えた素晴らしい本でした。
うつ病に関する本は
以下ホームページにまとめています。
随時更新していきます。
ブックセラピー
(うつ病関連書籍のご案内)