先日SNSで他人に本の出版を勧める機会がありました。
今回は本の出版方法について紹介してみようと思います。
過去に6冊の本を出版した事があります。全部私からの持ち込み企画で。
自分でお金を払って本を出版する方法ではなくて、出版社からお金をもらって出版する方法です。自分で一円でもお金を出すものは含みません。
ざっくり段階わけすると
①問い合わせフォームから編集者のメールアドレスを聞き出す
②編集者にメールで企画書と原稿を送る
③編集者と会って話をする
この3つの段階をクリアする必要があります。
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過去に本屋で立ち読みしていて「ひどい本だな。これなら俺が書いた方がマシだなw」と思った事があり、本当に原稿を書いてみました。しかしどうやったら出版してもらえるのかわかりませんでした。その時に上手くいった方法です。
メールアドレスが記載されている会社は少ないのですが、問い合わせフォームが大抵あります。
↑問い合わせフォーム
大抵は「問い合わせの種類」みたいな欄がありますが、該当しそうなものがなければどれでも構いません。出版社に送りさえすれば脈があれば編集者につないでくれます。
本文
突然のご連絡を失礼いたします。本の原稿と企画書を書いてみたのですがどのようにすれば出版社に出版をして頂けるのかわからず、このような形でご連絡をいたしました。もしメールアドレスをお教え頂ければワードで作った原稿と企画書を添付してお送りさせて頂きたく思っております。
類書は〇〇万部売れているものなので、その一割でも売れれば御社の損害にはならないかと愚考いたしております。企画書だけでも一度見て頂く事ができれば幸いです。何卒よろしくお願い申し上げます
氏名:
職業:
勤務先:
電話番号:
メールアドレス:
住所:
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ポイントは「類書が〇〇万部売れている」という所です。
日本刀関連で考えてみましょう。
↑「日本刀」「万部」で検索したら出てきました。
2015年時点で日本刀の雑誌シリーズが累計46万部売れており、現在も毎月のように多数の雑誌・書籍・ムックが発売され続けてております。などと書けば良いと思います。実際に市場は大きそうなのでジャンル的には問題ないでしょう。
もう一点、自分がその本の内容の専門家である必要があります。私の時の場合は本業の書籍だったので職業を書けば問題なかったのですが、日本刀関連であればどうするか。
刀職・関連の学位や博士号や資格を持っている
これが理想なのですが、無い場合はどうするか。適当な肩書をつくって専門家っぽく見せかけるというのが王道です。
ただ、日本刀関連であればとりあえず日刀保の会員になって
「日刀保会員〇〇支部所属」で良さそうな気がします。日刀保会員がどういうものかなんて出版社の人は知りませんし、それっぽく見えると思います。武道をしている人であればその所属を書けばなお良いでしょう。
とりあえず担当者のメールアドレスを教えてもらえなければ先には進めません。この問い合わせフォームの文面は長くなり過ぎても読んでもらえないので「簡潔に売れる理由と自分が専門家である事を、腰を低くして」書きましょう。
とりあえず100社に送るつもりで、一日5社ずつくらい送ると良いと思います。私の経験的に。
テンプレ作ってコピペして送るだけなのですが、途中で内容変えたくなったりするんですよ。
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この方法、意外と返事がきます。
ただしネガティブな感じの返事もたまに来ます。「こんな迷惑なことをするな!」みたいに。でも気にしなくて良いです。どちらかというと「とりあえずその企画書と原稿を送ってください」という返事の方が多いです。
返事が来たらワードで書いた原稿と企画書を添付して送ります。企画書はワード2ページ分。とりあえず企画書しか見てもらえないはずですが原稿も一緒の方が良いと思います。
企画書の項目(例)
①タイトル:
②サブタイトル:
③内容:
④企画意図:
⑤著者略歴:
⑥目次案:
⑦市場規模:
⑧類書:
⑨類書との差別化
⑩売れる理由
⑪連絡先等
↑重要なポイントは2つ
⑤著者略歴で専門家である事をアピールする事
⑩売れる理由、これに説得力がある事
この企画書、文字だけで書くという先入観を持たない方が良いです。図や写真やイラストを入れても良いと思います。私は売れる理由の所に写真(原稿の一部)を入れました。これが良くて出版が実現したと自分では思っています。
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企画書に興味を持ってもらえると先方から連絡がきます。電話がかかってくる事も多いです。そして「東京にこられる用事があれば一度弊社でお会いしたい」という意味の事を言われます。機会などなくても駆けつけましょう。できるだけ先方の都合に合わせて。
印税の話などが出るかもしれませんが、「お金よりも良い本を作ってください」というスタンスの方がたぶん良いです。その後は出版社内の会議次第という事になります。
面談して出版会議にかけてもらえる場合は、複数の会社から連絡があった場合でも一社に絞る事になります。絞ったのにダメだったという事も珍しくないですし、長く返事が来ない間にうやむやになってしまったりする事もあって腹が立ったりする事もあります。
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出版方法をネットで調べると「原稿は企画書が通ってから書けば良い」と書かれている事も多いのですが、一度完成させておいたほうが良いと私は思います。全部書き直すことになるかもしれませんし、なんならライターが全部書き直してくれるかもしれませんが。
自分は過去に1冊だけ全部ライターに書き直された事があります。
とりあえず1冊分の原稿を仕上げられるパッションがないと出版まではなかなか持っていけないと思うのです。原稿は写真や図やイラストを多くすればページ数を稼げて良いです。ネット上から拾った画像でも、書籍にする時には描き直してもらえるので著作権的には問題がなくなります。
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↑企画のたまご屋さん
過去6冊のうち3冊はここ経由で出してもらっています。ここの担当者に企画内容を認められると数百社の出版社に一斉に企画を配信してもらえます。
ただ、はじめは自分で1社ずつ送る事を私は勧めます。なぜなら、出版社の人の目に留まらない企画書というのは結局のところ企画のたまご屋さんの担当者の目にも止まらないのです。企画のたまご屋さんに配信してもらえるのは全体の1割くらいなんじゃないかなと勝手に思っています。
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本を書いても大したお金にはならないのですが、私は本の出版で人生が大きく変わりました。全国の書店に自分の本が置かれているのを見ると妙に自信がついてしまうのです。そして脱サラして独立起業して、廃業して非正規労働者になって今に至ります(笑)
日本刀関連の出版も一度挑戦してみようかなと思った時期もあったのですが、日本刀にはあくまでも素人という立場でありたいのでやめておこうと今は思っています。もし本当に刀の本を出してくれる出版社などがあれば、「素人の妄想なので内容を真に受けたりしないでください」なんて言えなくなってしまいますから。「自分は刀の専門家だ」って言って売り込むわけですから。
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素人の持ち込み企画が通る確率は1%を下回るとも聞くのですが、つまり100社に送ればどこかから出版されるという意味だと思って気軽に応募してみました。テンプレ作ってコピペして送るだけですから。たぶんここに書いた内容を踏まえれば3%くらいにはなるんじゃないかなと思います。ここに書いた方法は私が勘と思いつきでやってみて、たまたま上手くいったというだけの方法です。スタンダードなやり方ではないかもしれません。というか、たぶんスタンダードな方法なんてありません。でも6冊出せた事を思うと結構良い方法だったんじゃないかなと思うのです。
ちなみに、出版社の損益分岐点は一般書だと1万部らしいです。
私の本は6冊中4冊が1万部。1万部は失格とは言えないけど合格とも言えない微妙なラインのようです。だから2冊目以降に出版社側から「書いてください」なんてオファーが来たりはしないけど、自分から上手く売り込めばまた出版してもらえるかもしれないという微妙なレベルなのです。
初版は4000~6000部くらいで増刷されて1万部を超えるのは全体の3割くらいらしいです。つまり出版社は7割の出版物の赤字を3割の書籍の黒字で賄っているというわけです。ネットで見た程度の情報なので正しいのかどうかはわかりませんが・・・
商業出版への挑戦はお金のリスクは全くありません。ただ手間がかかるだけです。そこまでして自分の本を出したいか?という事です。個人的には、原稿が書ける人ならそこまでしてでも勧めたいです。
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