先月完成して届いたこの大脇差はとても気に入っています。この刀は特に柄と鍔がついた状態の方が良いと思っています。

 

見るからに豪壮で強そう。好き嫌いが大きく分かれそうな姿の刀なのですが、刀剣の鑑賞眼など全くなくてもこの刀が豪壮で迫力のある刀に見えると思います。でもこの刀、脇差なのでサイズは2尺にも満たないのです。このサイズでこれだけ迫力のある刀が作れるのは刀匠のセンスと技量によるものであろうと思います。そしてなにより助光刀匠の刀なので強度的にも安心できます。

 

 

この刀はとても中二病くさいのです。たぶん、この中二病くささこそ私が刀剣類が好きな本質的な理由です。

 

刀剣鑑賞について少しだけ勉強してみようかなと思ったり思わなかったりなのですが、本質的な意味では自分は「本当の意味での刀剣鑑賞」にはハマれない人間なんだと思います。数寄者とかいう人達ですね。感性として「ああいう風」にはなれないし、あまりなりたくない。

 

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↑前に結婚前に刀と全てのナイフを捨てた日の事を書きました。twitterにのせたら少しバズりました。「夫の趣味を無理やりやめさせるなんてけしからん!」という感じで。

 

毎度ブログ記事までは読まれずにタイトルだけ見てそうなるわけですが、、、

 

実際にはこの時の自分は驚くくらい素直な気持ちで全てのナイフを捨てました。

 

子供が触ったら危ない。そんな危険な物を新居に持ってきてはいけない」と言われれば、「そりゃそう思うよな」としか思わなかったのです。自分の趣味が中二病くさいものだとわかっていましたから。

 

そういう中二病くさい趣味は卒業する歳になったんだ・・・

人生のステージが変わる時が来たんだ

 

そんな感じでナイフ類を捨てに行きました。28歳になる直前の冬の日の事でした。

 

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結婚して子供が生まれて家を買って会社を辞めて起業独立して、40歳になる直前までそれなりに忙しくてあまり刀剣類が好きな事について考える事がなくなっていました。

 

子供が小さい時の大変さは経験者なら皆わかる事と思います。それにプラスして上の子がまだ幼稚園の時に会社辞めて独立して起業までしてしまったので大変です。住宅ローンが30年以上ある状態でした。

 

それが急に暇になったのが忘れもしない2020年の2月の終わり。コロナです。子供の学校が突然休みになり2月から5月までずっと休みになりました。世間の空気が一変しました。仕事が突然暇になります。

 

暇になると仕事以外の事を考えるようになり、思い出したかのように刀が欲しくてたまらなくなりました。

 

子供もそこそこ大きくなっていたし、そもそも娘しかいないので振り回すような心配もありません。という事で2020年の3月に刀を買いました。そしてこのブログも書き始めました。若い頃と違って予算もそこそこあったし、ある程度気長に考える事もできました。計画的に色々と考えて経験を積みながら今の刀を揃えました。行き当たりばったりな所もありましたが、、、今回の大脇差は私の刀剣観をよく表せたように思います。集大成とまでは、まだ言いたくはないのですが。

 

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結婚前に「中二病くさい趣味は卒業」と思ったのですが、40歳過ぎてから無性にまた中二病くさい趣味・嗜好が強くなってきました。たぶん仕事が暇になったからでしょう。今なんて廃業準備でほぼ仕事をしていません。子供ももう大きいですし。廃業後の再就職について考えないといけないのに現実逃避で趣味や遊びの事ばかり考えてしまいます。

 

まあ、今まで頑張って働いてきたからまだもうしばらく遊んでいようと思っているのですが、40代で失業者になる身としては将来を考えると結構不安にもなります・・・

 

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私の刀剣観でいうと「中二病くささ」が中心かなというのを、こうやって文章で書いているうちに自分で気が付きました。

 

しかし、これはあくまでも私個人の好み。

 

日本刀の価値や鑑賞性はそういった個人とか大衆の好みで決まるようなものではない事は理解しています。

 

刀剣の価値には絶対的な基準があり、現代アートのように刀匠個人の感性で作って評価されるようなものでもなく、大衆の好みで評価されて決まるようなものでもない。

 

古くからの掟・決まり事があり、それに則って作られる。そして伝統に沿った基準に則って評価される。

 

大衆の評価ではなく鑑賞眼・鑑定眼をもった専門家によって評価されて価値が決まる。そういうもの。

 

日本刀の世界はB級な大衆芸術などではなくて。A級の伝統芸術。

 

自分にはA級の世界は場違いなので深入りしないようにしようと思っています。でも、少し興味はあるので邪魔にならない程度に覗きに行こうと思います。

 

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