↑長船助光刀匠のこのブログに以下のように書かれていました

 

 

刀の刃紋は、高くても低くても同じです。
3ミリ研ぎ減ったら寿命です。
これは、武道家に全く知られてないです。

刃紋が高いから、その分ちびるまで長く使える、と言う事ではないんです。

 

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今回はこの理由について、自分なりに考えて説明してみたいと思います。

 

 

 

↑日本刀は柔らかい芯鉄を硬い皮鉄で包みます

 

↑いろいろな造りかたがありますが、柔らかい芯鉄を硬い皮鉄で包むというのはどれも同じです。

 

 

そして3mm研ぎ減りしたら使えなくなるというのは、ざっくり言えばこういうことだと思います↓

 

 

実際に芯鉄が出てきたりしないように研ぎ師が上手く研いで見た目にはわからないように仕上げてくれるようにも思いますが、部分的に皮鉄がすごく薄くなってしまい強度に難がでる。だから刃文の焼き幅が広くても長く使えるわけではないという事なのでしょう。

 

古刀期であれば、研ぎ減りしたら再刃して焼刃をつけなおして使ったと思います。焼き入れ時に刃先以外にも全体に焼きが入るので皮鉄が薄くなってしまっても硬さが少し増してまた使えるようになるでしょう。もちろん繰り返す度に強度は弱くなるはずで、最終的にはスクラップ:残欠になる。

 

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そういえば、新作刀の刃先はパリパリで刃こぼれしやすいと聞いた事があります。何度か研ぐと表面のパリパリ層がなくなって刃こぼれしにくくなるそうです。

 

↑ここにそのような事が書かれていますし、確か助光刀匠も同じような事を過去に書かれていたと思います。

 

では単純にはじめからパリパリ層を研ぎ落してしまえば良さそうなものだと思ったのですが、そういう事をすると上述のような理由で刀の強度は落ちるし、寿命が短くなる事がわかります。

 

「現代刀はもろい」とよく聞くのですが、その理由のひとつは誤解なのかもしれません。

 

古い刀は絶対に過去に何度か研ぎなおされているので表面のパリパリ層がすでに無い。だから刃こぼれが起こりにくい。でも古い刀も新作時には刃こぼれしやすかったのかもしれません。

 

実用云々でいえば刃こぼれはあまり害はなく、「折れず曲がらず」こそ重要なはずです。そうであれば古い刀は刃こぼれが起こりにくくても曲がりやすいかもしれないわけで、そういう意味では新作刀の方が良さそうです。

 

 

それに「3mm」というのは新作時に先幅21mmの刀を18mmになるまで使い込むということです。大きな刃こぼれができて研ぎなおして修正するような場合をのぞくと、そうそう使い減る事はないような気もするのですがどうでしょうか。

 

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まとめ:刀の注文打ちに際して調べた事 | 日本刀とか趣味のブログ (ameblo.jp)