濃州堂に柄の作成で送っていた脇差が戻ってきました。

 

 

 

 

今回は柄巻きを平巻きにしてみました。通常の捻り巻きからプラス5000円。目釘にかかる部分だけ巻き方が違います。絡巻(からめまき)というようです。

 

 

 

目釘が接する部分は強度が必要なので摘み巻きにしたり捻り巻きにしたりと巻き方を変えるそうです。

 

↓横から

 

 

 

 

前回の合口拵の柄巻き:捻り巻き↓

 

 

 

 

今回の平巻き↓

 

 

 

目釘に接する結び目だけ特殊な捻り方になっていて盛り上がりが大きいのですが、一つ目の柄糸の合わせ目に小柄が干渉しないため小柄が捻り巻きの時よりもスムーズに抜けます。

 

ただ、この目釘に接する所の結び目が大きいために握ると若干違和感があって握りにくくも感じます。握り具合でいえば捻り巻きの方が良いです。

 

 

目釘の向きについてですが、目釘の頭が掌にあたるように差し裏側から刺すものだと思っていましたが今回は向きが反対でした。濃州堂の工作だから間違いとかではないと思うので、ケースバイケースなのでしょうか、、、と思っていたらTwitterで柄巻師の方から以下のように教えて頂きました↓

 

目釘穴は固定で金具も決まっている場合、表裏どちらから目釘を入れるのかは糸幅で決まります。今回の場合は差し裏で糸の交差があるので、表側からしか入れられないですね。

 

 

目釘穴の位置に対しての鍔・切羽・縁金具の厚さおよび柄糸の幅によって目釘をどちら側から入れるかは決まるようです。必ずしも目釘の頭が掌側にくるわけではないわけですね。

 

目釘付近の柄糸交差部の合わせ目だけ特殊な形状な理由も教えて頂きました↓

 

全て平巻で行うと幅の広いXの字となり、目釘を入れるのも外すのも非常にやりにくくなります。
特に目釘穴の上にXの中心が来る場合、糸の上から目釘抜きを入れることになり、糸が痛みます。

ですので、目釘に近い部分だけ撮んだりして菱の面積を広くして出し入れしやすくします。

 助光刀匠からも以下のように教えて頂きましま↓
 
目釘を挿すにはハバキ、切羽、鍔、縁金具の高さ、糸の幅によって決まる為、手のひら側にしたい時は、金具類から調整し直さないといけません。
 
なので、昔は茎に穴をあけ直してます。
 
新作刀では、そうした調整をする場合は、金具類を考慮して柄巻き師が穴の位置を決める必要があります。
 

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とりあえず大刀と意匠を合わせた一組の大小になりました。合わせの大小ですがサイズ的には現在注文打ちを依頼している長脇差よりも大小一対としてのバランスは良いかなと思います。注文中の長脇差はこの大小のちょうど中間くらいの長さの予定。

 

ちなみに、茎が短いので柄材を桜にしてもらいました。プラス1万円。

 

約42センチの脇差だから、柄折れなんて気にする必要ないとは思うのですが。

 

 

とりあえす、塗鞘にキズがつかないよう自作した合皮の鞘カバーをつけて、大刀と同じく鞘走り防止用にプラスチックバックルの簡易ストッパーをつけておきました。この刀にはこれ以上お金かけたくないので本物の軍刀風革カバーはやめておこうと思います。

 

 

元がヤフオクで6万5千円で買った安物なのに、研ぎなおしと外装作成で20万円近くになってしまいました。安物買いのなんとやらです。肌は荒れているし銘も偽銘っぽいので古美術品としての価値は皆無だと思うのですが、重ね厚く幅広なので武器としては大丈夫だと思います。

 

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