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【銘文】表 : [祐定作]
【寸法】刃長 22.5cm(7寸4分2厘)、反り ごくわずかな内反り、元幅 2.44cm、元鎬重ね 0.81cm、目釘孔 1個、刀身重量 175.8g、白鞘全長 38cm
【時代】室町時代後期
【国】備前

 

↑両刃の短刀

 

長い歴史の中でもこういう両刃の短刀は戦国時代:末古刀期にしか作られていないようです。

 

なぜ他の時代にはこういうものが作られなかったのか?

 

たぶん、以前書いた「短刀に合口拵が多い理由」と同じなのだと思います。

 

むかしは武士に限らず腰刀として合口拵の短刀を皆が常時腰に差していたようです。

 

刃物は貴重品なので庶民は包丁など調理専門の刃物などは持っておらず、獣魚の調理その他すべて腰刀一つで間に合わせていたように書かれていました。そうなると鍔があると使いにくい。ナイフを使った事がある人ならわかると思います。戦に持っていくにも短刀は戦闘より行軍中に使う事のほうがはるかに多かったことでしょう。

 

同じく、両刃では普段の生活では使いにくい。

 

この両刃の短刀は日常生活での使用を考えない、戦闘特化の短刀であるのは間違いないでしょう。

 

戦闘の機会が多くなった戦国時代ならではの短刀がこの両刃の短刀。

 

不思議なのは、なぜか短剣は実用品として作られたり普及したりしないんですよね。日本では。

 

この両刃の短刀の用途は、まさにコンバットダガーだと思うのですが。

 

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戦国時代の両刃の短刀はサイズとしては大体が7~8寸くらい、元幅も25mm以下くらいのものがほとんどだと思います。鎧通しもこれくらいの寸法のものが多いので実戦向きのサイズなのでしょう。

 

両刃の短刀にせよ鎧通しにせよ、たまに大きくて豪壮なものが売られているのを見ますがそういうのは大抵が新々刀期のものです。稀に現代刀もありますが。

 

 

新々刀期は復古思想の流行や、脇差の代わりに短刀を身に着けるのが流行ったこともあり短刀が多く作られています。武士の正しい刀装は大小ではなく「太刀と腰刀」だと言いたげな感じです。

 

 

豪壮な鎧通しや両刃の短刀を作らせた幕末の人の気持ちはよくわかります。

 

注文打ちで短刀を作ろうと考えると、末古刀期と同じサイズだとちょっと迫力がなくてものたりないのです。

 

私が短刀の注文打ちで一番欲しいと思うのは、両刃の短刀で刃長30cm元幅30mmくらいのものです。

 

ごつい両刃の短刀に小さ刀拵えをつけて大刀・脇差と合わせたい!

 

 

 

脇差の注文打ちの構成を考えて私好みのものを調べてみると、たいてい清磨がそういう感じの刀を過去に作っています。

 

極端に大切っ先の脇差だったり、豪壮な長巻直しみたいなものだったり、薙刀直しみたいなものだったり。

 

おそらく造りの短刀も幕末のものが多いですよね。

 

私が刀を注文打ちしようとして色々考える事というのは、幕末の人も注文打ちの時に同じように考えたんだな、、、と思うと感慨深いです。

 

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