日本刀の刃文について。
素人に毛が生えた程度の私は数か月前まで刀の刃文というのは刀身の白くなっている所だと思っていました。
詳しい人には馬鹿にされそうですが、素人の認識ってこんな程度なのではないでしょうか。
でも、刀身の白い部分は刃文が見えるようにするために砥石でこすって白くしている部分です。
ガラスをサンドペーパーでこすったらキズで白く濁るのと同じです。これを刃取りといいます。
↑この刀なんかだと比較的わかりやすいのではないでしょうか。
白い部分が刃取りで砥石でこすって白くされた部分です。その白い部分の内側から刃先にかけて青黒くなっている場所がありますよね。これが焼き刃部分で、本来の刃文です。
この焼き刃部分より少し広めに擦って白くして刃文が見えるようにする。これが美術研磨です。こすって白くする事を「刃取り」と言います。
しかし、刀によっては刃文と刃取りがとてもわかりにくいのです。
例えば直刃のような単純な刃文↓
↑どこまでが刃文でどこからが刃取りで白いだけだかわかりますか?
はじめに挙げた乱刃の刀よりわかりにくいと思います。
切先に近い側の方がわかりやすいのですが、刀身の地と焼刃の境目が一直線の白いスジのようになっていますね。ここが焼刃は無いけど刃取りで白くなっている部分です。
ここで挙げた二つの刀はどれも刃文が分かりやすくて良いのですが、安く売られている刀はもっとわかりにくいです。
理由は単純で、こすり過ぎると白くなりすぎて本来の刃文が見えにくくなってしまうのです。
砥石でこすって白くし過ぎると全部真っ白になりますし、たぶん擦り方によって色も変わるような気がします。
ここで紹介した二つの刀はどちらも銀座の高級刀剣店の画像なので、優れた美術研磨がかけられているため刃取りが上手くて刃文が見えやすいのです。
↓ここ
ヤフオクで安く売られている刀は本当はどういう刃文で焼刃がどれくらい残っているかが分かりにくいです。美術研磨の上手下手だけではなく写真の画像の問題もあるでしょう。
以下、適当にヤフオク等の刀の画像ですが、焼刃と刃取り部分の違いはわかるでしょうか?
↓↓
はじめに紹介した銀座の刀屋さんの刀と比べて刃文と刃取り部分の違いが不鮮明でわかりにくいと思います。
あと、もし一番下の写真の刀から刃文を読み取れた人は、、、たぶん病んでいます。
↑この刀は備前長船助光刀匠のブログから引っ張ってきた画像ですが、これは焼刃がない「付け焼刃」の刀だそうです。言われないと全く気づきませんよね。
こうやって刃取りで刃文を描く事を「付け焼刃」と言います。
焼刃がないので当然切れません。
実際、ヤフオクで何の説明もなく付け焼刃の刀が売られている事もあるようです。そんな刀を掴んだ人の記事もどこかで見ました。
付け焼刃ではなくても、焼刃が実際にどれくらい残っているのかがわからないのも問題です。
研ぎ減りして焼刃が1ミリくらいしか残っていなくても広めに刃取りすれば見た目は健全に見えます。
なんとなくですが、ヤフオクにはそんな刀も多いような気がしてなりません。
難しいのは、糸直刃のようにはじめから焼き幅が狭い刀もあるわけで、刃文ひとつ取っても刀は難しいというか奥が深いというか闇が深いというか。
それでも私はヤフオクで刀を見るのをやめられないし、買いたい衝動に駆られてしまうのですが(笑)