刀の手入れを何度か行ってきたので、道具を使っての感想など書いてみます。

 

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↑まずはこれがないと始まりません。

 

安いやつは目釘抜きが入っていないので注意しましょう。これにしておけば無難です。同じ内容の木箱入りのは少し高いです。いろいろ商品がありますが、とりあえずこれにしておけば無難です。

 

 

↑油をふき取ったり油を塗るためのティッシュ

 

上の刀の手入れ道具セットの専用紙は高いのでこちらで代用。高級ティッシュなら何でも良いわけではなくて、刀の手入れに向かないティッシュがあります。「鼻セレブ」で手入れをしたらホコリが刀身につくし油を吸いすぎてすぐ破れるして大変でした。どれがよくてどれが悪いか全て知っているわけではありませんが、この「スコッティ カシミヤ」にしておけば無難です。通販で買うなら3つくらいまとめて買っておくと良いでしょう。

 

刀匠もおすすめ↓

 

 

 

 

↑メガネ拭きの布

はじめティッシュではなくてこちらで手入れをしました。間違いなくティッシュより良いですし、刀の手入れ用に売られている紙よりもこちらの方が良いと思います。しかし植物油を使う場合は古い油がしみ込んだらその油が酸化してしまうので二度は使えません。ティッシュの方が安くて良いです。ただ、100万円を超えるような刀の手入れに使用するならこの程度の出費を惜しむべきではないでしょう。一枚100円程度の布ですから高額刀の手入れに使うならティッシュよりこちらを使い捨てにする方が良いでしょう。もう少し安い同様の布もありますが、高い刀の手入れをするなら中途半端にケチらない方が良いでしょう。

 

 

↑古い油を落とすには打ち粉を使うのですが、打ち粉は砥石の粉なので頻繁に使うと微細なキズで刀身が曇ってしまいます。そこで、この刀泉水。打ち粉を使わなくても綺麗に油を落とせるとの事です。

 

 

一度使ってみましたが、ティッシュで乾拭きするだけよりはもちろんよく油を落とせます。ただ、この刀泉水は鑑賞用の刀の手入れに使うものというより、居合・試斬した後の刀の応急手入れに使うための商品なのかもしれません。成分は水に微量の石灰を混ぜたものです。

 

 

 

 

 

↑無水エタノール(無水アルコール)で刀身を拭けば綺麗に油が落ちました。これなら打ち粉も不要に思われます。どうも刀の手入れでは刀泉水よりこちらを使う方が王道のようです。濃度99%以上アルコールです。もちろん火気厳禁です。ちなみに殺菌消毒用のアルコールは70~80%の濃度です。水分を含むので消毒用のアルコールを刀に使ってはいけません。殺菌のためには少し薄めた方が良く効くそうです。こんな時期なので、500mlくらいのサイズを買っておいて刀の手入れに使う以外は少し水をたしてスプレー容器に入れて殺菌消毒用にしても良いでしょう。もちろん油汚れを落とすための掃除用としても使えます。多分そちらが本来の用途です。

 
 
↑叩く面がゴムのハンマーです。刀の柄が固すぎて抜けなかったのでネットで柄を抜く方法を探して購入。刀身をゴムシートに包んで掴んで、鍔のハバキ元を四方からハンマーでコンコン叩くと柄が抜けます。昔ながらの方法だと布で掴んで木槌で叩くのですが、現代ですのでゴムシートとゴムヘッドのハンマーの方が刀にやさしいと思います。ゴム手袋をすればゴムシートは不要かもしれませんが。

 

↓こんな感じで

 

私の刀の鍔は真鍮の厚い鍔なのでこの方法で問題ないのですが、鉄鍔の場合は割れてしまう事もあるそうです。鉄鍔であれば下記の柄前抜き用の木槌と当て木を使って丁寧に抜いてください。それでも無理な時はこんな感じで刀身を掴んで鍔が割れないよう注意しつつ鍔を叩く以外に方法がありません。

 

ただ、ハンマーがないと抜けないような硬い柄は、柄を付ける時も最後にハンマーで柄頭をコンコン叩いてやらないと最後まで入らないのでどのみちこのゴムハンマーはあった方が良いです。柄を朴木より硬い木で作ったりすると結構強く柄頭をハンマーで叩き込まないと入らない事もあります。

 

 

 

 

↑合口拵えの柄が抜けずに購入しました。合口拵えや白鞘から硬くて抜けない時に使う道具です。鍔がない柄だとゴムハンマーで鍔を叩いて抜く事ができません。無理にハンマーで抜こうとすると柄が壊れます。この道具は白鞘の柄や合口拵の柄を抜くための道具です。専用の道具だけあって、スムーズに合口拵の柄が抜けました。

 

こんな感じで当て木をあてて木槌で叩きます

 

初心者は柄が抜けないと焦ります。

 

いや、私だけかもしれませんが、焦って無理やり抜こうとすると柄や鍔を傷めてしまい後悔する事になると思います。

 

今すぐに柄を抜く必要はないですから、無理な事をせずに専用の道具を揃えましょう。

 

鍔の着いた状態の柄を抜く時は、当て木の先端を切羽部分に当てて木づちで叩きます。

 

動画撮ってみました↓

 

↑不器用なので当て木がブレてしまっています。こうならないようにハバキ元の切羽部分に当ててブレないように叩いてください。鍔や切羽にキズをつけたくない場合は布を一枚噛ませるとよいと思います。

 

白鞘・合口拵えの場合↓

 

なお、私の大刀の柄はかなり固いので、どのみち柄を戻す時はゴムシートで掴んで柄頭をゴムハンマーで叩かないとしっかりと鍔が固定できません。新作の柄は皆これくらい固いのでしょうか。くれぐれば「ドン!」と強く柄を手で叩いたり手の上に落としたりしてはいけません。刃区が欠けてしまったりハバキが傷む場合があります。カッコイイ動作なのでそういう事をやってしまう人が多いそうです。

 

スコン!と手のひらに落として一発でカチャっとはまるとそれらしい感じがしてカッコイイのですが、それをやるとよくないのでゆっくりコンコン叩いて鍔鳴りがしない所まで柄を入れてください。もし完全に柄が入ってもカチャカチャと鍔鳴りがするようであれば切羽が合っていないか、鍔の穴の形が刀身に合っていないか、経年劣化で柄木が痩せて変形してしまっている事を意味します。

 

柄は新作時は固くて、何度も抜き差しをしたり試し斬りをしたりすると柄木が痩せてスカスカで抜けやすくなるようです。だから必要以上に柄を外さない方が良いです。白鞘であれば気にしなくて良い事ですが。

 

刀身を掴むのは気分的にはあまり気が進まないのですが、武器として使う刀であれば柄がそれくらい固い方が安心ではあります。

 

反対に純粋に鑑賞用の刀なのであれば、白鞘に入れておいて拵には入れない方が良いでしょう。

 

 

 

 

手入れ道具ではありませんが、模造刀用のハードケース。真剣でも問題なく収納できます。担いで持ち歩くには重たいですが車で持ち運ぶ場合に良いでしょう。中でベルトで刀を固定できます。私は持ち運び用ではなく収納用に購入しました。刀掛けにかけて飾っておける家はそれで良いでしょうけど、我が家では「刀なんて人が来た時に見られたらどないすんねん!」という感じで家族の理解を得られない家庭では刀を来客から見えない場所に収納しておく必要があります。そういう収納に便利です。これに入れて押し入れに入れておいたり、クローゼットに立てかけておけば良いでしょう。立てかける時は鞘割れ防止のために柄側を下にします。

 

 

↑こんな感じで大刀と刃長42センチ弱の脇差と登録証を入れています。このハードケースはこのページの中で一番のおすすめ商品で、私のお気に入りです。将来は脇差の外装を大刀と合わせて、さらに空いてるスペースに同様に外装を合わせた短刀を入れておきたくなってしまいます。

 

似たような居合刀用のハードケースもあるのですが、そちらは刀をベルトで固定できないのでこちらの方が良いでしょう。ただ、私の刀(刃長74.4センチ・全長約100センチ)でもサイズ的に余裕がさほどないため、刃長が75センチを超えるような刀であれば厳しいと思います。75センチを超える長刀の場合は下記のロングライフル用のハードケースを利用すると良いでしょう。固定ベルトはありませんが、こちらなら全長130センチくらいの刀まで入りそうです↓

 
 

https://twitter.com/datsuryoku0913/status/1397065156220256256

 

 

↑刀匠も長い刀の持ち運びに使用しています。

 

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錆止めの油については刀好きの人の間でも意見が割れそうな気がしますが、敢えてここでは私見として断言します。

 

刀剣用の錆止め油はいくつか種類がありますが、むしろこれが一番良いはずです↓

 

 

 

流動性パラフィン100%の刃物用の錆止め油

 

 

流動性パラフィンというのは鉱物油をさらに精製したものです。Wikipediaには「通常の条件では酸化を受けない」と記載されています。

 

刀剣油として売られている商品の多くもこれに丁子油で匂い付けしたもののようです。しかし植物油は酸化しますので、むしろ入っていない方が良いはずです。

 

特別な理由がなければ、この油以外を選ぶ理由はないように思われます。

 

そもそも、安いです。

 

「刀剣油」という名前にすれば高く売れるから、ただの錆止め油に少し丁子油を混ぜて「刀剣油」という商品にしているとしか思えません。

 

この油なら昔の刀剣油のように酸化しないので、神経質に古い油を拭う必要はないはずです。

 

しかし、酸化しなくても長期間放置すれば乾いてしまうはずですし、油染みのようなものができたりする可能性が無いとも言えません。一般的な頻度でお手入れとして油を塗りかえた方が良いでしょう。

 
なお、昔ながらの刀剣用の丁子油というものは、椿油に丁子油を匂い付け程度に配合したものの事を言います。
 
↑現在でも最高級の刀剣油として売られています。
 
しかし、粘度が高くて塗りにくく落としにくいです。そして植物性なので綺麗に古い油をとる事ができなければ酸化して錆の原因になります。これを使用する場合は昔ながらの方法すなわち打ち粉で古い油をぬぐう必要があるでしょう。
 
本阿弥が研ぐレベルの刀を本阿弥のようなレベルの人間が手入れするのであれば最高なのかもしれませんが、、、普通の人には使い難そうです。
 
なお、現在でも刃物用の椿油は普通に売られています。
 
食べ物に触れる事を考えると椿油の方が安心で包丁には良いですね。
 
なお、流動性パラフィンも包丁に使っても害はないと書かれています。
 
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↑なお、アロマオイルとして100%丁子精油(クローブオイル)も売られています。クチコミを読むと主に虫よけ、とくにゴキブリ除けに非常に効果があるようです。
 
刀の錆止め油に椿油単体ではなく丁子油を混ぜた理由と何か関係があるのかもしれませんね。鞘や柄の木材の虫食い防止のためだったのかも?と思いました。
 
100%丁子油はかなり臭いがキツイようですので、間違っても刀に塗ったりしないほうが良いでしょう。
 
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後日追記
 

 

↑自分が使った中ではこの油が一番良かったです。
 
多くの愛刀家はヤマハのバルブオイルが良いと言っていたので買ってみました。はじめはレギュラーの方を買ったのですが普通でした。どうも愛刀家の勧める油はこちらのVINTAGEの方だったようです。
 
使ってみて「これは良い!」と思いました。あくまでも感覚的なものなのですが、他の多くの愛刀家も良いと言っているので錆止めにも良いものなのでしょう。刀剣用の丁子油のように植物成分も入っていないので酸化の心配もなく安心です。
 
アマゾンにはVOV2とVOV3の2種類が売られています。何が違うのかわかりませんがヤマハのサイトを見るとVOV3の方が現行品のようですのでこちらの方が良いのでしょう。