2017年の暮れに義父が癌で亡くなると、

まるでハイエナかハゲタカのように、

銀行と信用金庫が姑のところに日参し始めた。


「奥様の今後のライフプランのお手伝いを致します」

「相続税対策に、お孫さん4人に一時払い終身保険はいかがでしょう?」


本来相続すべき息子(私の夫)と娘(夫の姉)がそれぞれ40歳と51歳で亡くなっているので、姑亡き後の法定相続人は、義姉の子達とうちの子達、計4名の孫なのである。


ちなみに長きに渡ってお世話させていただいた嫁(私のこと)には1円もいただく権利がありません。


ま、金欲しさでやってたわけじゃないし。

いいんだけどさ。


銀行さん達、毎日のようにやってきては

「暑いですね」

「お身体はいかがですか」「ご無理なさらないでくださいね」と姑に優しい言葉をかけていたが、

大口定期と孫4人を受取人にした一時払い終身保険を契約させると、ぱったり来なくなった。


姑は「みんな優しくしてくれるんだよ」と感激し、訪ねてくる彼ら彼女らに田舎から届いた新米を分けたり、ジュースを出したり、ニコニコ上機嫌であったが、


「それがさ、契約完了したら、

だーれも来ないんだよ」


あったりまえだよ、お義母さん。

もう用事ないんだもん。


でも、そうは言えないから

「世の中ってのは世知辛いもんですねえ」とか

言って慰めていたのであった。


その後、心筋梗塞やら大腿骨骨折やら認知症やらで、姑はひとり暮らしを諦めてサ高住に入り、

今年の春に彼岸へ旅立った。



そして相続である。

しつこいけど私は関係ない。


ドル建の世界株式型の保険を選んだうちの愚息。

ヤツにしてはいい判断だった。

円安でウハウハである。


「外貨とかわかんないから」と円建の国内株式型の保険を選んだ娘も、株高でまあ悪くない。


なーんにもしなかったキミたち、

おばあちゃんに感謝しなさいよ。



私はというと、姑の生活用品やら車椅子用クッションなど、未精算の2万円ぐらいを甥っ子に請求しようかどうしようか考えているところである。