精神の繊細な方にはおススメしません。
(残虐なシーンがあるわけではありません)
「極音上映」で観たので、
もうとにかく音や声が恐ろしかったです。
アウシュヴィッツ強制収容所の所長・ルドルフ・ヘス一家の裕福で平和で幸せそうな日常が淡々と(不気味に)描かれます。
庭の塀(上部に鉄条網がついてる)を隔てた向こう側は、アウシュヴィッツ強制収容所なのです。
アウシュヴィッツ強制収容所はポーランドのクラクフ近郊にあります。
(アウシュヴィッツはドイツ語読み)
ここに収容されたユダヤ人の約9割、100万人以上が命を失いました。
ユダヤ人だけでなく、ポーランド人政治犯、ロマ(ジプシー)、精神疾患のある人、ソ連軍捕虜なども
ここで多くが犠牲になりました。
ここから内容について少し触れますので、
これから前知識なしでご覧になりたい方は
お読みにならないほうがいいかもしれません。
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映画では、塀の向こうから常に怒号、銃声、悲鳴が小さく聞こえてきます。
そして昼でも夜でも、火葬場の煙突からは煙や炎が勢いよく上がります。
遊びに来たヘス夫人の母親は、玉の輿にのった娘に満足そうですが、
煙突からの臭いに耐えかねてとっとと帰ってしまいます。
虐殺や暴行は直接的には描かれず、
強制労働や飢えや病に苦しむ人々も出てきません。
塀の向こう側に汽車(ユダヤ人がすし詰めになって乗せられている)が到着する音や煙、
男女や子どもの叫び声、看守の怒声や銃声が聞こえるだけ。
それと対比して、高慢で他者の痛みをまったく想像することのないヘス夫人の言動に
スポットがあてられています。
終盤に、おびただしい靴の山、カバンの山などが映し出されます。
写真では見たことがありますが、動画で見るのは初めてです。
この映像はおそらく現在の実際のアウシュヴィッツ。
世界中から見学客が訪れるアウシュヴィッツ・ビルケナウ収容所の様子でしょう。
精神の図太い私でもしんどい映画でした。
古くは『アンネの日記』、『あのころはフリードリヒがいた』など、
大人になってからは『夜と霧』を読んだり、NHKの「映像の世紀」を欠かさず視聴して
ある程度の知識や「免疫」はあるつもりでしたが、非常にしんどかったです。
それでも観てよかったと思っています。
現実から目を背けず、絶望しながらも、この世から戦争がなくなることを願うあなたに観てほしい作品です。