「区別」すること(2) | めざせ!FP3級!~女性FPのお金の花道~

めざせ!FP3級!~女性FPのお金の花道~

すべての方々に、FP3級程度のマネーリテラシーを普及できたら…
キッズ・マネー・ステーションの女性ファイナンシャルプランナーたちが
さまざまなお金の知識をご紹介いたします。

前回に続いて「区別」のお話です。

前回は個人的なお金についての区別の話をしました。
今回は、もうちょっと広い視野を持って、社会的なお金の流れにおける「区別」についてちょっと考えてみたいと思います。

民主党政権になってからずっと議論されている「高速道路の無料化」
これについては、無料推進派と、使用料はとるべきだという2論に分かれたまま、議論の収束を見ていません。
最近発表された介護保険の見直し案についても、介護度の低い人の自己負担率を上げるのか、今は40歳以上から徴収している介護保険料をより低年齢層まで広げるのか、といった議論がされています。

つまり、誰が、どこに、どのくらいお金を出すべきか、という「区別」・・・というよりも「役割分担」といったほうがいいでしょうか・・・が不明確のようですシラー

社会を支えている制度とそれを維持するためのお金については、「区別」することがとても難しいのですね。これは、個人的資産に比較すれば、明らかに絡んでいる人たち・影響を受ける人たちが多すぎて、きれいに役割分担ができないからです。

今週の日経新聞に、ワタミの稼ぎ頭が飲食産業から介護事業に移りつつある、という記事がありました。ワタミの会長、渡邉美樹さんは、以前から社会貢献こそが企業の使命であると信じて介護事業を展開していらっしゃいましたから、その決断と先見の明には感心してしまいます目
他方、渡邉さんは「介護事業は、居宅事業では利益を生みづらく、施設事業ならば付加価値がつけやすい」と言っていたこともあります。

一方、同日の日経新聞では、介護保険のみなおしに伴い、政府は「居宅介護」への支援の充実をはかっていく方向で進めていく、と書かれていました。

これらの記事は偶然一緒になったものですが、もしかすると、「居宅介護は政府、施設介護は民間」という役割分担の再確認という意味を持つかもしれません。
そうとはどこにも書いてありませんでしたが、もしもそういう方針ならば、政府は、施設介護に民間企業が入るために、企業が参入しやすいようにもっと規制緩和などを進めなくてはならないと思います。

でも、何よりも、その書いていないこと、つまり、方針が明確に示されなければならないことは言うまでもありませんがDASH!

例えば、裁判員制度が導入されたことにより、これまで司法のプロに任せておいた人を裁くという行為に、一般人が参加するようになったことや、
夫婦間や家族間のDVに、警察も介入することが求められるようになったことなど、
最近は、今まで当然だった「仕切りの線」を見直すような世の流れになってきています。

社会でこれまで当然と思われていた「区別」の仕切りが、あいまいになりつつある。
それは、一度出来上がった固定観念を疑ってみる必要がある、という時代のメッセージなのかもしれません。

区別はつけたほうがいいけれど、なかなかつけられないこともある。
つける基準は時代の流れによって見直しが必要。


そういうことを、最近つらつらと考えています。