第1941回「朝比奈千足&都響によるブルックナー交響曲第4番第1稿1874年版日本初演」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、朝比奈千足&東京都交響楽団によるブルックナーの交響曲第4番「ロマンティック」(第1稿1874年版)です。2024年に突如として発売された当盤は、ブルックナーのアニバーサリー・イヤーに聴くにふさわしい名盤と言えるでしょう。交響曲第4番「ロマンティック」の第1稿1874年版の日本初演となった当盤は、朝比奈隆のご子息である朝比奈千足さんによる指揮で演奏が行われています。


「朝比奈千足指揮/東京都交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第4番 変ホ長調「ロマンティック」(第1稿1874年版)



 朝比奈隆のご子息に当たる朝比奈千足さん。元々はクラリネット奏者だったが、1977年にベルリン国立歌劇場の音楽監督であるオトマール・スウィトナーの助手として経験を積み、翌年に東ドイツ・ズール交響楽団の指揮をしてデビューを果たす。そして、2024年6月にこれまでLPレコードでしか聴くことができなかったブルックナーの交響曲第4番第1稿1874年版の日本初演ライヴがついにCD化されたのである。


・ブルックナー:交響曲第4番「ロマンティック」(第1稿1874年版)

録音:1982年10月12日(ライヴ)

 第1楽章から聴き進めてみると、普段聴き慣れた「ロマンティック」とは違うオーケストレーションに多くの人々が驚くことだろう。まだまだ未完成であるというように聴こえるが、オーケストラ自体のサウンドは非常に素晴らしい音色と太めで活発な演奏を聴くことができる。しつこさのないシンプルなアプローチからなるダイナミクス変化となっているため、長大さはあまり感じられないかもしれないが新しい感覚を知ることができるのは間違いない。


 第2楽章もオーケストレーションに違いがあり、全体的に楽器数も少ない印象を受けなくはない。そのため、いつもよりも演奏時間が長く感じてしまったのは言うまでもない。弦楽器主体に作られており、まとまりのある演奏からなる分厚いスケール感も功を奏する形となっているので聴きごたえもそれなりに感じられた。テンポに変化があまりないかもしれないが、音の広がりに関しては余すことなく味わうことができたので非常によかったと感じている。


 イマイチ躍動的かつエネルギッシュに奏でられない第3楽章。ホルンが特徴的なリズムを奏でていくが、オーケストレーションに関してはまだ不完全な要素が多い印象である。それとしても都響のまとまりあるサウンドは非常に効果的であり、重厚的な弦楽器による深みのある豊かな音色が聴き手に重厚的にのしかかる形となる。


 第4楽章はやや混沌としており、まとまりはあまり構成から聴くことができないかもしれない。しかし、リズムや金管楽器、弦楽器それぞれが奏でる音色、響きに関してはブルックナーそのものである。手探りな部分はあるかもしれないが、細部まで細かく聴き込むことができる音質の良さとダイナミック・レンジの幅広さが功を奏する形となっているので展開は複雑であるとしても壮大なる世界観は面白いはず。


 「ロマンティック」の第1稿は現在ではそれなりの録音数が残されているが、今回のような日本初演ライヴは非常に貴重である。また、朝比奈千足さんのCDは現在当盤のみとなっているので、今後録音がどんどん登場していくのか非常に気になるところ。ひとまず、このブルックナー生誕200年という素晴らしい年を語るには充分な名盤であることは間違いない。


https://tower.jp/item/6395608/ブルックナー:-交響曲第4番「ロマンティック」(第1稿1874年版)