みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、エフゲニー・ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団によるショスタコーヴィチの交響曲第5番、第10番、第12番「1917年」です。ムラヴィンスキー生誕120年を記念して企画されたタワーレコード限定のSACDハイブリッド盤となっていて、最後はやっぱりムラヴィンスキーによるショスタコーヴィチで締めくくりとなります。カップリングには以前取り上げたワーグナー管弦楽作品集に収まりきらなかった楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲(リハーサル風景)、ムラヴィンスキーへのインタビュー、ムソルグスキーの歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲、モスクワ河の夜明け、グリンカの歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲が収録されています。
「エフゲニー・ムラヴィンスキー指揮/レニングラード・フィルハーモニー管弦楽団」
ショスタコーヴィチ作曲:
交響曲第5番 ニ短調作品47
交響曲第10番 ホ短調作品93
交響曲第12番 ニ短調作品112「1917年」
ワーグナー作曲:
楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲(リハーサル風景)
ムソルグスキー作曲:
歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲、モスクワ河の夜明け
グリンカ作曲:
歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
ムラヴィンスキー生誕120年第3回発売となった当盤。ゴステレラジオ音源最後となるショスタコーヴィチの交響曲3曲とムソルグスキーの「ホヴァンシチナ」、グリンカの「ルスランとリュドミラ」、ワーグナーの「ニュルンベルクのマイスタージンガー」。どれをとってもマニアにとっては音質改善された状態で楽しむことができるのは非常に嬉しいのではないだろうか?
[Disc 1]
・ショスタコーヴィチ:交響曲第5番
録音:1984年4月4日(ライヴ)
ムラヴィンスキー&レニングラード・フィルによる演奏だからこそショスタコーヴィチ作品の録音に信頼が生まれるわけだが、今回はさらに交響曲第5番だからこそその信頼度はこれまでに聴いてきた交響曲第5番とは違う演奏スタイルに基づく演奏となっている。今回の演奏としては、テンポの緩急が非常に大きく差が激しく楽章によって変化している。金管楽器は咆哮するかなと如くキレ味の抜群な演奏となっており、弦楽器群の音色に関しては非常に大袈裟にも思える物理的なアプローチ変化がよくわかるようになっている。2023年最新マスタリングが施されたことによってダイナミック・レンジの幅広さが大分増しているので、レニングラード・フィルの根本たるサウンド変化に関しても常に鋭すぎる訳ではない。最新マスタリングがあったからこそキツさもなくなり、ムラヴィンスキーによる強いこだわりを体感することができるだろう。
・ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」より第1幕への前奏曲(リハーサル)
録音:1977年1月
以前取り上げたワーグナー管弦楽作品集に漏れてしまった管弦楽作品の一つである。「ニュルンベルクのマイスタージンガー」よりのリハーサル風景が収録されており、途中で演奏が止まることはない。金管楽器と弦楽器による柔軟性を感じることのできる演奏となっており、そのまとまりあるサウンドは凄まじいエネルギーとなっているのがよくわかる。
[Disc 2]
・ショスタコーヴィチ:交響曲第10番
録音:1976年3月3日(ライヴ)
名コンビによるテンポの緩急からなる音の鋭さが光るキレ味の良さやオーケストラ全体における卓越された見事なアンサンブルを堪能することができるようになっている。2023年最新マスタリングが施されたことによるダイナミック・レンジの向上によって、鋭すぎることなく攻撃的にも思えた演奏は聴きやすさが増した形となる。「DSCH音型」が駆使されているのもそうだが、演奏全体として明確かつ明瞭なショスタコーヴィチを聴くことができるのは間違いない。
[Disc 3]
・ショスタコーヴィチ:交響曲第12番「1917年」
録音:1984年4月30日(ライヴ)
勢いの良さと特徴的な金管楽器のヴィブラート、音圧、弦楽器による統一された分厚いスケールなどどれをとってもこれまでに聴いてきたムラヴィンスキーによる「1917年」とは違うものがある。今回の演奏は晩年にライヴ録音されたということもあって、楽章によっては速さよりも重量感からなる重々しさがあるかもしれない。残念なのは第4楽章終盤でズレてしまうポイントがあるということ。一つの帝国が崩れ落ちたような感覚を覚えたが、それを除くと我々が聴きたかったムラヴィンスキーによる「1917年」となっているのは間違いないだろう。
・ムソルグスキー:歌劇「ホヴァンシチナ」より前奏曲、モスクワ河の夜明け
録音:1983年3月19日(ライヴ)
弦楽器と木管楽器によって先導される透き通るような美しさあふれる音色がなんとも言えない空間を作り上げている。ムラヴィンスキーの録音をまだまだ聴いていないことも影響していると思われるが、こんなにも自然的で美しい演奏があるのか。と聴いている最中は感じたものだ。ノイズも多少あるが、ダイナミック・レンジの幅広さが増していることもあってその凄みは申し分ないものとなっている。
・グリンカ:歌劇「ルスランとリュドミラ」序曲
録音:1981年11月29日(ライヴ)
当盤の一番最後のトラックに「ルスランとリュドミラ」が収録されている。圧倒的なまでなる統一感の取れた弦楽器群による勢いの良い推進力からなるエネルギーと金管楽器のキレ味の良さ、軽快でキャッチーな木管楽器のサウンドなど最後の最後に個性豊かなレニングラード・フィルの演奏を聴くことができて個人的にも満足している。
ムラヴィンスキーのSACDハイブリッド盤はそこまで数多く登場していないこともあって、当盤を含めてこれまでにご紹介したタワーレコード盤は非常に貴重である。今後もムラヴィンスキーによる名盤が復刻されてくれると嬉しいのだが、まずはムラヴィンスキーの録音をどんどん聴いていきたいところ。「Altus」からライヴ録音をまとめたBOXがあったはずなので、それを購入して聴きたいと思う。
https://tower.jp/item/6230225/ショスタコーヴィチ:-交響曲集(第5,10,12番)、グリンカ:-「ルスランとリュドミラ」序曲、他+リハーサル(2023年K2HDマスタリング)<タワーレコード限定>