第1760回「コバケンとその仲間たちオーケストラによるチャイコフスキー交響曲第5番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは、小林研一郎&コバケンとその仲間たちオーケストラによるチャイコフスキーの交響曲第5番です。「Exton」から発売された当盤は、SACDハイブリッド仕様の高音質盤となっており、コバケン(小林研一郎)による十八番のチャイコフスキーを楽しめむことができるようになっています。


「小林研一郎指揮/コバケンとその仲間たちオーケストラ」

チャイコフスキー作曲:
交響曲第5番 ホ短調作品64



 コバケンとその仲間たちオーケストラは、2005年スペシャルオリンピックス(知的障がい者による国際的組織の競技大会)冬季世界大会・長野を機に社会貢献として設立されたオーケストラである。プロ、アマチュアや障がいの有無関係なく、演奏の趣旨に賛同している人々によって構成されている。今回は、2023年6月25日にサントリーホールにて行われた演奏会でのチャイコフスキー交響曲第5番が収録されている。


・チャイコフスキー:交響曲第5番

録音:2023年6月25日(ライヴ)


 第1楽章・・・非常に情熱的で積極的なアプローチによって演奏が行われている。細かく変化するテンポの緩急は、特に「急→緩」へとテンポが落ちた際に溜めと共にたっぷりとテンポを遅くするため、その際非常に効果的な演奏効果が展開されていく。まさに濃厚さのある演奏であることは間違いなく、弦楽器の伸びやかで鋭く研ぎ澄まされた美しい音色からなるスケールは誰しもが納得する凄みのある演奏である。


 第2楽章・・・たっぷりとしていて、透き通るように美しいホルンソロが功を奏している。その下に弦楽器群の明瞭なサウンドを奏でる土台があるため、木管楽器による個々の演奏が抜群に素晴らしい音を奏でている。ダイナミック・レンジの幅広さが大分あるため、美しさと共に圧倒的な音圧からなる金管楽器の音色も聴きどころとしてはベストな演奏となっている。一歩一歩明確に演奏している場面もあるが、それがあったとしても違和感なく演奏されているためコバケンとそのオーケストラによる息ぴったりのチャイコフスキーを堪能できるようになっていると言える。


 第3楽章・・・弦楽器の研ぎ澄まされたサウンドがオーケストラの方向性を明確なものとしている。木管楽器の深みある豊かな音色も合わせて奏でられているため、それをセットで聴くことができることもあって非常に楽しめる演奏であることは間違いないだろう。俊敏であり、柔軟性のあるまさに変幻自在な演奏となっているため、第4楽章へと向かっていく意志を感じることのできる第3楽章だった。


 第4楽章・・・コバケンによるチャイコフスキーの交響曲第5番第4楽章といえば、年末の東急ジルベスターコンサートにて聴いたのが今でも覚えている。今回の演奏はそれに引けを取らない素晴らしい演奏となっており、テンポの緩急はもちろんながら音色も独特であり美しさ溢れる演奏を聴くことができるようになっている。部分によってバラつきも見られなくはないが、熱量の多さとこの曲に対する姿勢の強さはどの演奏にも負けないものであるということは聴いていただくとよくわかるだろう。


 多くのオーケストラとチャイコフスキーの交響曲を演奏してきたコバケン。彼の凄みを感じることのできる名演だったことは間違いない。他の演奏も聴いてみたいので、今後もCDが出てくれることを期待したいところ。とりあえず「Apple Music Classical」でも当盤を聴くことができるようなので、リンクを貼っておきたいと思う。