カール・リヒターによるバッハの宗教作品はこれまでに繰り返し復刻されてきた名盤である。「マタイ受難曲」でいえば、フルトヴェングラーやメンゲルベルク、クレンペラーによる演奏も有名だがリヒターの「マタイ受難曲」も引けを取らない代物であることは間違いない。今回は通常CD盤だが、SACDシングルレイヤーやSHM-CDも存在している。今回は新規リマスタリングが施されたということもあって、美しい世界観が蘇ったことによってより聴きやすくなったのは間違いないだろう。
・J.S.バッハ:マタイ受難曲
録音:1958年6〜8月
・・・リヒターによる「マタイ受難曲」は以前タワーレコード企画の「ヴィンテージSACDコレクション」にて復刻された1979年盤を聴いているが、今回取り上げる1958年盤はそれよりも人気を博している代表的な録音の一つである。豪華歌手陣も揃えた上で奏でられる「マタイ受難曲」の美しい世界観を余すことなく楽しめるのは当盤で間違いないだろう。
エルンスト・ヘフリガー(福音史家、アリア:テノール)
キート・エンゲン(イエス:バス)
アントニー・ファーベルク(第1の女、ピラトの妻:ソプラノ)
マックス・プレープストル(ユダ、ペテロ、ピラト、大祭司:バス)
イルムガルト・ゼーフリート(アリア:ソプラノ)
ヘルタ・テッパー(アリア、第2の女:アルト)
ディートリヒ・フィッシャー=ディースカウ(アリア:バス)
ミュンヘン少年合唱団
新規リマスタリングによる効果も絶大と言ったところで、音質は非常に良い仕上がりとなっている。1958年録音ではあるが近年の録音に引けを取らないほどのダイナミック・レンジやノイズがほとんどない点、残響も多くされた状態による歌手たちによる美しい歌声やミュンヘン・バッハ管弦楽団による演奏からなる音色など十二分に楽しめるポイントばかりである。SACDシングルレイヤーを聴いていないため、音質の差は正直わからないのだが当盤におけるリマスタリングでも度肝を抜かされるような美しさをたっぷり味わえるのは間違いないだろう。テンポも比較的にゆったりとしていて、重厚的にも感じることができつつ穏やかで慈愛に満ちた響きで音楽が進行していくようになっている。演奏時間が長い曲ではあったとしても、それを全く気にすることのないような空間が聴いているうちに出来上がっていたのは、この曲を初めて聴く際にも適した名盤なのではないだろうか?
カール・リヒターによるバッハの宗教作品集から「マタイ受難曲」を取り上げた。往年の時代におけるバッハ作品の名盤として知られているリヒターのバッハを宗教作品取り上げて聴くことができるのは非常に素晴らしい取り上げなのではないだろうか?通常CD盤ではありながらもこの高音質っぷりは初めて聴くだけでも十二分に度肝を抜かされる仕様と言えるだろう。今後もこの宗教作品集から少しずつ聴いていきたいところである。
https://tower.jp/item/4594186/J-S-Bach:-Sacred-Works-Deluxe-[11CD+Blu-ray-Audio+4DVD]