ロトはすでにバーデン・バーデン&フライブルク南西ドイツ放送交響楽団と「ツァラトゥストラ」を、レ・シエクルと「遊戯」をそれぞれ録音、演奏している。また、今回はSACDハイブリッド仕様の高音質盤となっており、値段の安さにも驚かされるが高音質であるということも重なってさらに驚かされるのは間違いない。
・リヒャルト・シュトラウス:交響詩「ツァラトゥストラはかく語りき」
録音:2018年11月
・・・テンポの緩急があるという部分に繋がるのだが、最初から最後まで前向きにぐんぐん進んでいく推進力からなるエネルギーが感じられる演奏である。そのため有名な冒頭のティンパニやトランペットによる演奏も溜めはそれほどなく、あっさりにも感じられるが強烈な打撃とダイナミクス、決めどころを逃すことないトランペットの咆哮によって形作られている。ダイナミック・レンジの幅広さも増しており、響きとしては透明度の高い美しさが極まったものとなっている。それによってロンドン響全体のサウンドが引き立てられるようになり、後味のしつこさもない非常に聴きやすく、みずみずしい「ツァラトゥストラ」を聴くことができるようになっている。金管楽器の安定感と聴いていて気持ちいいと感じることができる高音域の鳴りも注目的になっている。
・ドビュッシー:バレエ音楽「遊戯」
録音:2018年1月
・・・1913年にバレエ・リュスがニジンスキーの台本と振り付けによって初演された。初演の指揮はピエール・モントゥー。曲の構成としても前衛的であり、幻想的な美しさを含む曲となっているが「遊戯」の初演2週間後に初演されたストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」によって陰に隠れてしまった名曲でもある。「テニスをする3人の男女による恋の駆け引き」というのがこの曲のテーマであり、振り付けにも反映されている。演奏として、現代的な部分が多い印象ではあるがフランス音楽としての美しい音色や響きなどがふんだんに盛り込まれており、世界観としても一貫性があり最初は面食らうかもしれないが、何回も聴いているうちにこの曲の虜となっているのは間違いないだろう。
今回ロトとロンドン響による「ツァラトゥストラ」と「遊戯」を聴いて、過去に録音された演奏を聴いてみたいと思えた。実はロトが過去にそれぞれのオーケストラと録音した曲をまだ聴いたことがない。CDが手に入りづらいというのも理由ではあるが、後日探しまわりたいところ。
https://tower.jp/item/5644187/R-シュトラウス:-交響詩「ツァラトゥストラはかく語り」-Op-30、ドビュッシー:-バレエ音楽「遊戯」
