メンゲルベルクの代表的な録音は複数あり、ベートーヴェン交響曲全集やチャイコフスキーの交響曲第5番、第6番「悲愴」と同じくらいの人気を誇るのがこのバッハの「マタイ受難曲」である。一部カットされているものの、現代におけるバッハ演奏とはまた違うアプローチが取られた演奏を聴くことができる。また、複数のレーベルから復刻されており、復刻先によって音質にも違いが生じているのだが、今回は2015年11月にタワーレコードから発売された通常CD盤を試聴している。
・バッハ:マタイ受難曲
録音:1939年4月2日(ライヴ)
・・・全曲ではないが、一部の曲においてすすり泣く声が聞こえる。正直それは演奏の妨げになるほど大きいものではないので言われた状態で聴かないとそれに気づかない可能性がある。
・福音史家:カール・エルプ(テノール)
・イエス:ウィレム・ラヴェッリ(バス)
・ヨー・フィンセント(ソプラノ)
・イローナ・ドゥリゴ(アルト)
・ルイ・ファン・トゥルダー(テノール)アリア
・ヘルマン・シャイ(バス)アリア
アムステルダム・トーンクンスト合唱団
ツァンクルスト少年合唱団(合唱指揮:ウィレム・ヘスペ)
第二次世界大戦によって途絶えてしまった復活祭前日の日曜日に行われた演奏で、これまで何十年も毎年演奏が行われていた。演奏として、劇的であり壮大なスケールによって展開されている世界観で、近年演奏されているような「マタイ受難曲」とはそのアプローチなども違うものとなっているが、一つの歴史的録音としての価値を聴くことができる名演と言えるだろう。ノイズも多少はあるが、正直1939年のライヴ録音でここまでのアナログ・マスターとなっているのだからそれなりに良いものと解釈することができる。タワーレコードではメンゲルベルクの名盤を復刻しているが、どのディスクも聴きやすい形でCD化されているのでこれは非常に嬉しいことに思える。
メンゲルベルクの演奏は主要な録音は聴いているものの、まだ聴けていない演奏が多数ある。「メンゲルベルクの芸術」も購入しているので、近々聴き始めたいところ。また、今回「マタイ受難曲」を聴いたので、再度ベートーヴェン交響曲全集やチャイコフスキーの交響曲を聴いてみようと思えた。まだまだ聴いたことのない演奏を今後聴いていきたいという探究心にも繋がったのかもしれない。
https://tower.jp/item/4080093/J-S-バッハ:-マタイ受難曲-(全曲)<タワーレコード限定>
