第1309回「朝比奈隆&大阪フィル3度目のブルックナー交響曲全集:Disc 7〜10」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日も2日前から取り上げている朝比奈隆と大阪フィルハーモニー交響楽団によるブルックナー交響曲全集をみていきます。3日目となる本日はDisc 7〜10に収録された交響曲第7番、第8番、第9番をみていきます。1992〜1995年にかけて録音された朝比奈隆にとって3度目にして最後となったブルックナー交響曲全集、最後まで楽しんでいきましょう。


〜ブルックナー交響曲全集 1992〜1995年:Disc 7〜10〜


「朝比奈隆指揮/大阪フィルハーモニー交響楽団」

ブルックナー作曲:
交響曲第7番 ホ長調(ハース版)

交響曲第8番 ハ短調(ハース版)

交響曲第9番 ニ短調(原典版)



 朝比奈隆3度目のブルックナー交響曲全集も本日で最後となる。最後に取り上げるのはブルックナーの交響曲の中でも特に重要である3曲、第7番と第8番、そして第9番だ。今回のブルックナー交響曲全集はこれまで聴いてきた朝比奈隆と大阪フィルによるブルックナー録音の頂点もしくは絶頂期における名演と言っても差し支えない。


 ブルックナー:交響曲第7番 1992年9月27〜29日録音

・・・個人的には意外に感じられた骨太で固めなサウンド作りがされている今回の第7番。後に録音された「最後のブルックナー」にも収録されている2001年盤はやや綻びがみえたりといろいろギリギリな印象をあなたが、今回の1992年録音は全体的にきっちりとしている。そのためスマートながら骨太で芯のある音を聴くことができるため違う角度から大きな衝撃を受けたような気分である。それが悪いというわけではないのだが、たっぷりとした濃厚すぎる演奏というわけでもないためこういうアプローチもいいなと私としては感じた演奏でもある。


 交響曲第8番 1994年7月24日録音

・・・ブルックナーの交響曲の中でも一番有名であり、特に長大な交響曲と言ってもいいだろう。同時に後期ロマン派を代表する作品でもある。今回の全集の中で唯一演奏前の拍手から収録されている。朝比奈隆はこれまで数多くの回数この曲を演奏し録音も行ってきたが、今回の第8番は第4楽章になるまで全体としてはゆったりとしたやや遅めのテンポで進行していく。その時の大阪フィルの音色は濃厚でたっぷりとした幅広いサウンドとなっているのだが、第4楽章に入った瞬間テンポの緩急が明確さを増す形となるため聴きごたえのある演奏となる。重厚的で壮大なスケールを持って演奏されているこの演奏は後の2001年盤に匹敵する奥深い味わいがあると私は考える。また、演奏が終わった後の拍手も収録されているが、それが14分にわたるもので演奏当時の白熱した空間も今回味わえる仕様になっている(キャニオン・クラシックス盤の通常CD盤にもこの拍手は収録されている)。


 交響曲第9番 1995年4月23日録音

・・・演奏が始まる前の空間からしてすでにこの曲を演奏するべくして仕上げられた空気感をしているためオーケストラの演奏が始まった段階からもう鳥肌が立つ。もちろん有名な第2楽章における強烈なトゥッティに関しても推進力からなるエネルギーを感じることができるわけだが、最後の最後に素晴らしい演奏を聴くことができたと今はただただ感動している。やや重心が低いことによるテンポの重さも大阪フィルの重厚さをより引き立てる形となっているためそこから生まれるスケールには圧倒される。演奏されているのが長年演奏し続けたザ・シンフォニーホールであるということも大きいと思うのだが、演奏の随所には朝比奈隆の声も収録されているため演奏が始まって終わるまで渾身の力を込めているのだということを理解することができる。


 今回SACDハイブリッド盤での復刻となったが、以前のキャニオン・クラシックス盤の全集では一部交響曲のリハーサル風景がボーナス・トラックとして収録されていた。今回収録されていないのが少々残念なのだが、全9曲を聴き終えた後にそのリハーサル風景を聴いてみるとなお面白い。それが聴き終わったらまた交響曲をはじめから聴き直す。ブルックナーの交響曲はこれだから面白い。


https://tower.jp/item/5288220/ブルックナー:交響曲全集(最後3回目)(1992-1995)<タワーレコード限定>