ブロムシュテットとゲヴァントハウス管によるブラームス交響曲全集も今回で完結する。ここまで個々で発売されてきたが、最終的には一つの交響曲全集となって発売されたのでそれを購入して第1番から第4番まで通して聴くのもいいかもしれない。今回はひとまず第3番と第4番のみを取り上げていくが、全集が完成したので再び第1番から聴き直すのも面白いかもしれないと今は感じている。
ブラームス:交響曲第3番 2021年4月録音
・・・音質がいいことも素晴らしいが、重厚的でゲヴァントハウス管が奏でるサウンドには奥深さが備わっているという印象が強い今回の第3番。テンポの緩急も鋭く変化がつけられているため全楽章通して聴きどころ満載といった形になっている。弦楽器による土台がしっかりと作り込まれていることもあって木管楽器や金管楽器は安心して演奏を行えている。なによりオーケストラ全体の音の広がりが通常CD盤とは思えないくらいに素晴らしいもので、ブロムシュテットによる年齢を感じさせない名演を聴くことができるのは非常に嬉しい。
交響曲第4番 2021年4月録音
・・・第1楽章から幻想的ながら躍動的な演奏が始まったかと思えば第2楽章では重みのある重厚的でたっぷりとしたスケールを持って演奏されている。つまりはテンポの緩急における差が大きくなっているということなのだが、それによってこれまで美しいという面が強かったこの第4番の印象というものを大きく変化させる形となった素晴らしい演奏であるということで間違いないだろう。音質が非常に良く、ゲヴァントハウス管を細部まで細かく聴き込むことができるのも素晴らしい点で、ティンパニの打撃やまとまりある弦楽器の壮大なスケールなど聴きどころが多いので聴き飽きることはなく、むしろ何度でも聴いたくなるような名盤と言える。
ブロムシュテットとゲヴァントハウス管によるブラームス交響曲全集は、今回収録された2曲だけでなく全ての交響曲、管弦楽曲がズバ抜けて素晴らしい名盤となっていたと思う。まさに新時代におけるピリオド楽器や室内楽編成による演奏とはまた違う名盤となっている。同コンビではベートーヴェンの交響曲全集も録音しているので近いうちにそちらも聴き、取り上げたいと思う。
https://tower.jp/item/5355661/ブラームス:-交響曲第3番&第4番