第1076回「ミケランジェリによるラヴェル、ラフマニノフ、ハイドンのピアノ協奏曲がSACD化」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日ご紹介していくのは先日2月25日にタワーレコード企画で発売された「Definition SACD Series」からアルトゥーロ・ベネディティ・ミケランジェリによるラヴェルのピアノ協奏曲、ラフマニノフのピアノ協奏曲第4番、ハイドンのピアノ協奏曲第11番、第4番の4曲です。いずれも旧EMIに残された録音で、そのうちハイドンのピアノ協奏曲に関しては今回が世界初SACD化となっています。


「アルトゥーロ・ベネディティ・ミケランジェリ(ピアノ)、エットーレ・グラチス指揮/フィルハーモニア管弦楽団」

ラヴェル作曲:
ピアノ協奏曲 ト長調

ラフマニノフ作曲:
ピアノ協奏曲第4番 ト短調作品40


「アルトゥーロ・ベネディティ・ミケランジェリ(ピアノ)、エドモン・ド・シュトウツ指揮/チューリッヒ室内管弦楽団」

ハイドン作曲:
ピアノ協奏曲第11番 ニ長調Hob.XVlll:11

ピアノ協奏曲第4番 ト長調Hob.XVlll:4



 ミケランジェリはベートーヴェンやショパン、ドビュッシーなどの録音を残しているが、今回はラヴェル、ラフマニノフ、ハイドンのピアノ協奏曲がSACDハイブリッド盤となって復刻された。このうちラヴェルとラフマニノフのピアノ協奏曲に関しては以前から頻繁に復刻されている人気盤となっており、聴いたことがある方は多いのではないだろうか?今回こうしてタワーレコード企画の「Definition SACD Series」で復刻されたことは非常に嬉しいことと思う。


 ラヴェル:ピアノ協奏曲、1957年3月7,8,10日録音。「急→緩→急」のピアノ協奏曲らしい構成となった作品だが、クラシックの枠を飛び越えてジャズの要素も含まれたポップな作品である。それに演奏時間も全楽章通してそこまで長くないこともあり非常に聴きやすい。ピアノだけでなくオーケストラ側にも見せ場が設けられている。技術的な面ではトランペットに関してはフラッターや全体的に難しいリズムもあるため難易度の高さを改めて実感させられる。演奏としてしなやかかつ美しいミケランジェリのピアノと快活でエネルギッシュに満ち溢れたフィルハーモニア管のサウンドが非常にマッチしていて聴きやすい。ラヴェルとラフマニノフに関しては過去にSACDシングルレイヤー盤が発売されているが、2022最新マスタリングが施されてより深みのあるサウンドと幅広いダイナミック・レンジが功を奏していると言えるだろう。


 ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第4番、1957年3月7,8,10日録音。ラフマニノフのピアノ協奏曲といえば第2番や第3番を思い浮かべる方も多いと思う。この第4番はいくつかの版が存在している曲で、基本的には最終稿が演奏されているが一部の録音では初稿版での演奏が行われていたりする。また、ミケランジェリが唯一録音したラフマニノフのピアノ協奏曲となっている。この録音は今日までに繰り返し復刻されており、様々なフォーマットが存在している。SACDシングルレイヤー盤もあるが、2014年には「Praga Digitals」からオリジナル音源からのリマスターによるSACDハイブリッド盤が発売されている。こちらはすでに廃盤となっているようだ。それを考慮すると現在手に入れやすいのは今回タワーレコード企画で発売された当盤だろう。演奏として、この曲の決定盤的な頂点に君臨する録音なだけあって聴き手を魅了するような魔力のようなものがあると言ってもいい。各楽章において緩急もしっかり分けられており、ダイナミクス変化も細かい。2021年最新マスタリングによるダイナミック・レンジの幅広さとこのシリーズ独特の深みのある音質にこの曲との相性は非常に良いものと考えられる。この曲自体ピアノ協奏曲全集に収録されている時くらいしか聴かないが、今回の演奏に関しては繰り返し聴きたくなるような凄みのある演奏だったことは間違いない。


 ハイドン:ピアノ協奏曲第11番、1975年1月22〜24日録音。ハイドンが作曲したチェンバロまたはピアノのために書いた協奏曲のうち一つで、よく知られている作品でもある。この後の第4番と第3番、第11番がハイドンが書いたチェンバロまたはピアノによる協奏曲とされている。今日ではチェンバロによる録音も存在しているようだが、今回はピアノによる演奏だ。多少なりともモーツァルトのピアノ協奏曲からの影響を感じなくもないが、チューリッヒ室内楽管弦楽団との演奏ということもあって演奏はスッキリとしていて聴きやすい印象を受ける。普段聴くピアノ協奏曲とはまた違う響きとなっているのに加えて、ミケランジェリによるピアノの音色や室内楽管との重なりも良い音となっている。


 ハイドン:ピアノ協奏曲第4番、1975年1月22〜24日録音。先ほどのピアノ協奏曲第11番と同じハイドンの3曲しかないチェンバロまたはピアノのために書かれた協奏曲の一つ。第11番とは違ってよりシンプルかつ交響曲とはまた別の気品ある美しさが演奏から感じ取ることができるようになっている。ミケランジェリのピアノのタッチや室内楽管の音色、ダイナミクス変化も細かく、明確なものとなっているので初めて聴いた曲だったが楽しみながら聴くことができたので、聴き終えた今としては満足している。今回こうしてハイドンのピアノ協奏曲を3曲中2曲聴くことができたので、後日第3番も聴いてみたいと思う。


 私自身普段からそこまでミケランジェリのピアノ録音に関してはあまり聴かないのだが、今回ラヴェル、ラフマニノフ、ハイドンのピアノ協奏曲を聴き、他の録音も聴いてみたいという興味が湧いた。実は以前から何度かミケランジェリのCDを取り上げようと思っていたがイマイチ踏ん切りがつかなかった。しかし、今回のピアノ協奏曲を聴いてもっとミケランジェリの録音を一つでも多く聴いてみたいという気持ちができたので、今後少しずつ他の録音も聴いてみたいと思う。


https://tower.jp/item/5327627/ラヴェル:-ピアノ協奏曲、ラフマニノフ:-ピアノ協奏曲第4番、ハイドン:-ピアノ協奏曲第11番&第4番<タワーレコード限定>