第1025回「アバド&ロンドン響による人気の名盤、メンデルスゾーン交響曲全集と管弦楽曲集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日2月3日はフェリックス・メンデルスゾーンの誕生日です。今年で生誕213年となります。そんな本日ご紹介していくのは先日取り上げたアバドとベルリン・フィルによるメンデルスゾーンの「真夜中の夜の夢」、交響曲第4番「イタリア」のエソテリック盤以上に人気のあるアバドとロンドン交響楽団によるメンデルスゾーン交響曲全集、管弦楽曲集をみていきます。

〜メンデルスゾーン交響曲全集、管弦楽曲集〜

「クラウディオ・アバド指揮/ロンドン交響楽団」

メンデルスゾーン作曲:
交響曲第1番

交響曲第2番「賛歌」

交響曲第3番「スコットランド」

交響曲第4番「イタリア」

交響曲第5番「宗教改革」

弦楽八重奏曲よりスケルツォ

「真夏の夜の夢」序曲

序曲「フィンガルの洞窟」

序曲「静かな海と楽しい航海」

序曲「美しいメルジーネの物語」

トランペット序曲

序曲「ルイ・ブラス」

吹奏楽のための序曲



 ディスク1のトラック1に収録されている交響曲第1番を聴いた瞬間にその世界観に引き込まれる。通常CD盤なのだが非常にダイナミック・レンジの幅広さが目立った録音となっている。演奏は1984,85年に録音された。いつになるかはわからないが、聴いていてぜひともSACDハイブリッド盤の高音質フォーマットを発売してほしいと願うばかりである。アバドとロンドン響によるメンデルスゾーンが素晴らしいことは以前より知っていたが、私の想像を遥かに超える演奏だったことは言うまでもない。


 メンデルスゾーン:交響曲第1番、先ほども少し触れたが、第1楽章が始まった瞬間の煌びやかな音色が聴いていて素晴らしい。まさにメンデルスゾーンを演奏するにぴったりなサウンドと言えるだろう。「急→緩」や「緩→急」といった各楽章でわかりやすい差と、ダイナミクス変化が功を奏していてスッキリとした美麗な音色を楽しむことができる。最初から最後まで常に生き生きとした演奏を聴けるのは中々ないと私は考えた。


 交響曲第2番「賛歌」、今回歌手及び合唱はエリザベス・コネル(ソプラノ)、カリタ・マッティラ(ソプラノ)、ハンス=ペーター・ブロホヴィッツ(テノール)、ロンドン交響楽団合唱団がそれぞれ演奏に参加している。そのためベートーヴェンの交響曲第9番「合唱付き」を連想する方も多いと思うが、構成としては第一部、第二部からなる10曲から構成されている。どちらかといえばマーラーの交響曲第8番「一千人の交響曲」に近いように思えるが、第一部にあたる第1曲「シンフォニア」では合唱、歌手が加わっていないためどちらかといえばベートーヴェンの「第九」が内容としては近いかもしれない。ロンドン響の気品ある音色と歌手及び合唱の歌声が非常にマッチしており、聴いていて鳥肌が立つと同時に感動すること間違いないだろう。ややアタックが優しすぎるようにも思えるのだが、全体の響きも上手く味方につけているので美しい仕上がりとなっている。


 交響曲第3番「スコットランド」、メンデルスゾーンの交響曲の中でも特に知られている「スコットランド」。「緩→急」や「急→緩」の切り替えが非常に上手くできており、躍動的な場面もあればたっぷりと歌い上げる場面もある全体的に濃い内容となった演奏といえる。そのため聴いていてまず飽きることはない。通常CD盤ながらダイナミック・レンジの幅広さが多少あるため、ロンドン響の音色としては非常に美しいものとなっている。個人的に今回の全集の中で一番気に入った演奏かもしれない。


 交響曲第4番「イタリア」、メンデルスゾーンの交響曲の中でも「スコットランド」に次いで人気の高い交響曲である「イタリア」、全体的な演奏時間としては短い作品で軽快かつ疾走感に満ち溢れた演奏となっている。各楽章におけるテンポの緩急も素晴らしく、弦楽器の美麗な音色に管楽器や打楽器も合わせているため曲全体の完成度としては非常に高いものと考えられる。止まることのないただただ突き進んでいく疾走感のある演奏に、圧倒された上で魅了されてしまうだろう。


 交響曲第5番「宗教改革」、ここまで聴いてきたメンデルスゾーンの交響曲の中でも一番美しい作品と私は感じている。特に第4楽章の神々しさは素晴らしい。ロンドン響の音色もこの曲を演奏するためかのように音色や響きを含めてバランスな整っている。金管楽器の音色も強すぎることなく、弦楽器の音色に合わせる形になっている。それが弱すぎると感じる方もいるかもしれないが、これがこの曲にあった音色なのだろうと私は考えた。また、ダイナミック・レンジの幅広さも多少はあるため、ダイナミクス変化もわかりやすい。この曲を初めて聴くときに一度聴いてみるとこの曲の虜になることは間違いないと思う。


 序曲&管弦楽曲、「真夏の夜の夢」や「フィンガルの洞窟」などメンデルスゾーンの多種多様で個性的な序曲及び管弦楽曲が収録されている。交響曲とはまた違う姿を見ることができるということもあって聴いていて白熱することはもちろん、アバドとロンドン響の相性の良さを改めて再認識するだろう。充実した残響とオーケストラのゆとりある親しみやすいサウンドには聴いていて安心感を覚える。メンデルスゾーンの作品は普段あまり積極的には聴かないが、今回の全集のメインである交響曲を引き立てる役目をこの序曲&管弦楽曲が担っていると考えられる。


 さて今回はアバドとロンドン響によるメンデルスゾーン交響曲全集、管弦楽曲集をみてきたが、想像以上にメンデルスゾーンを楽しむことができた。いつになるかはわからないが、SACDハイブリッド盤がそのうち出てきてくれることを期待したいところ。今回は「ドイツ・グラモフォン&デッカ全集」に収録されていたものを試聴している。以前取り上げたラヴェル管弦楽曲全集もこのBOXに収録されているが、アバドとロンドン響が残した多くの名盤をこうして一つのBOXにまとめて購入することができたのは非常に嬉しいことだと思う。まだまだこのBOXで試聴できていないCDはたくさんあるのでそれも聴きつつ、今回のメンデルスゾーン交響曲全集、管弦楽曲集を繰り返し聴きたいと思う。


https://tower.jp/item/746098/メンデルスゾーン:-交響曲全集、序曲集