第888回「マリア・カラス1回目のプッチーニ歌劇《トスカ》1953年録音」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

こちらはクラシック音楽のCDの名盤をレビューするブログです!
年間500枚以上クラシック音楽のCDを購入します。
好きな作曲家はマーラー、ストラヴィンスキー、ブルックナー、三善晃、ショスタコーヴィチなど
吹奏楽を中心にトランペット演奏の他、作曲なども行います。



 みなさんこんにちは😃最近マリア・カラスのSACDハイブリッド盤を集めていまして、まだ全部ではないもののいくつかは購入できました。今回はその中からプッチーニの名作、歌劇「トスカ」をみていきます。マリア・カラスの「トスカ」1回目の録音となる1953年録音のもので、モノラル録音ながら2014年時のリマスターが非常に効果的なものとなっていることを体感することができます。


「ヴィクトル・デ・サバタ指揮/ミラノ・スカラ座管弦楽団」

プッチーニ作曲:
歌劇「トスカ」



 私はマリア・カラスの「トスカ」でいうと1964,65年録音のエソテリック盤をすでに所有している。その時はプレートル指揮によるド迫力の演奏だった。今回はサバタとミラノ・スカラ座管による演奏で、聴いている限りモノラル録音とは思えない音質の良さとダイナミック・レンジの幅広さには驚かされる。登場人物のほとんどが死んでしまうなんとも言えない終わり方をするが、人間の本質を突いたような物語の内容には目が離せない。


 配役をみていこう。
フローリア・トスカ:マリア・カラス(ソプラノ)
マリオ・カヴァラドッシ:ジュゼッペ・デ・ステファノ(テノール)
スカルピア:ティート・ゴッピ(バリトン)
チェザーレ・アンジェロッティ:フランコ・カラブレーゼ(バス)
スポラッタ:アンジェロ・メリクリアーリ(テノール)
サグレスターノ:メルキオーレ・ルイゼ(バス)
シャルローネ/看守:ダリオ・カゼッリ(バス)
羊飼い:アルヴァーロ・コルドヴァ(テノール)


 マリア・カラスの録音ということもあり聴いている時もマリア・カラスを中心に聴くかもしれないが、個人的にはステファノのカヴァラドッシやティート・ゴッピのスカルピアも引けを取らない歌声だったと私は思う。今回の「トスカ」は他の作曲家の作品と比べて歌手中心でほとんど合唱が登場しない。そのためどちらかといえば映画を見ているかのような構成でシンプルに聴きやすいし、見やすい。ネタバレになるが、個人的には第2幕の生々しく憎みすら感じられるトスカと、トスカに刺し殺され生き絶えるスカルピアが物々しくリアルな表現。そしてスカルピアが死んだ状態で締め括られるのも異色と言えるだろう。有名なシノーポリ指揮によるオペラ映像を見たことがあるが、スカルピアの死体がそのまま舞台上に横たわっている姿はさながらシュールだった。ミラノ・スカラ座管弦楽団のサウンドも歌手陣に引けを取っていない。2回目の録音に比べてモノラル録音ということもあり、爆音というわけではないがその場その場の情景に適した音色とモノラル録音とは思えないくらいのダイナミック・レンジの幅広さには驚かされる。

 あのマーラーが痛烈に批判した作品ではあるが、プッチーニの「トスカ」は名作だ。個人的には「ラ・ボエーム」と「トゥーランドット」も捨てがたいが、金管楽器奏者としては一度で良いから「トスカ」をやってみたいと思っている。演奏できなくても良いから「トスカ」を生で見てみたい。とはいえ現在はコロナ禍なので難しいところだろう。過去の名演や名盤を聴き我慢したい。そういう意味では今回このマリア・カラスによる1回目の録音を聴くことができてよかった。この流れで2回目の録音も改めて聴いてみようと思う。違いがわかるはずだ。