第886回「ヴァント不滅の名盤シリーズ第4弾、2種類のベートーヴェン《田園》と《運命》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日は2ヶ月ぶりの投稿となる「ギュンター・ヴァント不滅の名盤」から第4弾となるベルリン・ドイツ響とのベートーヴェン交響曲第6番「田園」、第5番をみていきます。収録されているのは1992年と1994年ライヴで、それぞれの演奏会で取り上げた曲目が同じという聴き比べをすることができるマニアにはたまらない代物です。


「ギュンター・ヴァント指揮/ベルリン・ドイツ交響楽団」

ベートーヴェン作曲:
交響曲第6番「田園」(1992年、1994年ライヴ録音)

交響曲第5番(1992年、1994年ライヴ録音)



 「Profil」に残された名盤が「Altus」から復刻されその際新たなリマスタリングが施されて発売されている。その時点でも充分に貴重なものである。今回はその中から1992年10月26日にライヴ録音された「田園」と1992年11月2日にライヴ録音された第5番、1994年11月1,2日にライヴ録音された「田園」、第5番が収録されている。いずれもフィルハーモニーにて演奏されたものだ。

 ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」(1992年10月26日ライヴ録音)、悠然としたテンポで始まるこれまでの演奏スタイルにはなかったかのように思えるくらいに広大なイメージが頭の中に流れ込んでくる。フィルハーモニーの響きもあるためダイナミクスの変化はより明確なものとなり、新規リマスタリングが施されたこともありダイナミック・レンジの幅も広い。また、弦楽器や木管楽器の音色が豊かなもので、より自然を体感することができる仕様となっていると言えるだろう。

 交響曲第5番(1992年11月2日ライヴ録音)、演奏が始まった瞬間に感じる重厚的な弦楽器のサウンドには驚かされた。ライヴの臨場感もあるのだろうが、これほど刺激的な第5番は久しぶりだったかもしれない。テンポも重心が低めになっているという点がより重厚的なサウンドを全面に押し出す形となりフィルハーモニーの響きが重なることによってベルリン・フィルに引けを取らないサウンドが仕上がっている。ヴァントによるベートーヴェン交響曲全集を一度聴いているが、明らかにそれよりも素晴らしいと私個人としては感じた。なお第3楽章以降の金管楽器の存在感は凄まじく、輝かしい音色と共に演奏されベルリン・ドイツ響を先導しているかのような役目を持っている印象を受ける。

 交響曲第6番「田園」(1994年11月1,2日ライヴ録音)、1992年ライヴ時同様の悠然さに加えて優美な音色と調和性が加えられた印象。ダイナミック・レンジの幅広さも生かされているため全体的に聴きやすさより一層増している。牧歌的なサウンドはこの1994年ライヴでも感じることができ、木管楽器と弦楽器の相性は非常に良いものと感じる。またホールも同様にフィルハーモニーで演奏されているため豊かな響きをまといながら演奏が進行されている。

 交響曲第5番(1994年11月1,2日ライヴ録音)、1992年ライヴと比べるとフライングが見受けられたりすることもあるが、全体の作りや勢いに関しては負けていないと私は感じる。特に第4楽章なら入ってからの輝かしいトランペットのファンファーレが始まり音の流れが止むことなく演奏されている。ライヴということもあり、ダイナミック・レンジの幅を生かした大迫力の第5番を堪能することができるだろう。

 「ギュンター・ヴァント不滅の名盤」シリーズは一枚一枚の破壊力は凄まじいもので、新規リマスタリングの効果が絶大であると感じる。今回のベートーヴェンを代表とする2種類の交響曲演奏をみてきたが、それぞれの演奏の衝撃は聴き終えた今でも残っている。こんなにワクワクしながら聴いていたのはいつぶりのことだろうか?すでに完結してしまったシリーズではあるが、まだまだ当ブログでは取り上げきれていないのでまた近いうちに続きを取り上げたいと思う。