第876回「仲道郁代、〜ドビュッシーが見たもの〜前奏曲集、映像、喜びの島」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃最近ようやくですが、オーケストラ以外にピアノ曲のCDをいくつか購入するようになってきました。今回はそんな中で購入した仲道郁代さんによる2020年10月25日に東京文化会館にて行われた「Ikuyo Nakamichi Road to 2027仲道郁代ピアノ・リサイタル ドビュッシーが見たもの」。この際に演奏されたドビュッシーの前奏曲集第1巻、映像第1集&第2集、喜びの島をみていきます。


「仲道郁代(ピアノ)」

ドビュッシー作曲:
前奏曲集第1巻

映像第1集

映像第2集

喜びの島



 仲道さんがドビュッシー作品取り上げるのは1997年の「アラベスク〜ドビュッシー・ソロ・ピアノ作品集」以来のこと。当時発売された際に取り上げた作品は「ベルガマスク組曲」、「2つのアラベスク アラベスク第1番、第2番」、「子供の領分」、「版画」、「喜びの島」だった。その中でも「喜びの島」は再録音されている。

 前奏曲第1巻、全12曲からなる作品で第1巻、第2巻と分かれている。今回演奏され収録されたのは第1巻のみで「デルフォイの踊り子」、「帆」、「野を渡る風」、「音と香りは夕暮れの大気に漂う」、「アナカプリの丘」、「雪の上の足跡」、「西風で見たもの」、「亜麻色の髪の乙女」、「とだえたセレナード」、「沈める寺」、「パックの踊り」、「ミンストレル」を聴くことができる。どの曲も神秘的かつ美しい音色で描かれつつ、ダイナミクスがより明確なタッチで演奏されている。ライヴ録音ということもあり、臨場感からくる美しさだけではなく、力強さやハッキリとしたものを演奏から感じ取ることができた。各曲ごとに「急→緩」、「緩→急」がよりわかりやすく付けられている点もより聴きやすいところだ。

 映像第1集&第2集、それぞれ3曲からなる作品で、第1集は「水に映る影」、「ラモーを讃えて」、「運動」。第2集は「葉末を渡る鐘」、「そして廃寺は沈む」、「金色の魚」となっている。一曲あたりの演奏時間もそこまで長いものではないためそれぞれ一気に聴きやすい。またこれに続く第3集は管弦楽曲でお馴染みの作品である。多種多様となっているそれぞれの曲の色彩的かつ幻想的な響きとダイナミック・レンジの幅広さを生かされた力強さが感じられるいつもとは違うドビュッシー作品を今回の演奏で感じることができる。ピアノ曲を普段聴かない人や今ハマりつつある人にはドストライクとなること間違いない。

 喜びの島、管弦楽曲版や吹奏楽版などの編曲版も存在するドビュッシーのピアノ曲の中でも有名な作品である。構成としてもよりわかりやすく、編曲されて管弦楽曲等になる理由もわからなくはない。実際に聴いていても演奏したくなるような作品だ。今回の演奏では根本として幻想的かつ美しい響きはそのままに、明確なタッチと躍動感あふれるダイナミックな演奏を楽しむことができる。24年前に仲道さんが録音したドビュッシーのアルバムにも当作品は収録されていたが、そちらとの聴き比べを行ってみたいと思ったのでCDを探したいと思う。

 SACDハイブリッド盤で発売された今回。音質は想像以上に良いものだったためダイナミック・レンジの幅も広く東京文化会館で聴いている音をそのまま体感することができたといえるだろう。「RCA Red Seal」では仲道さんによるベートーヴェンピアノ・ソナタ全集、ピアノ協奏曲全集も録音されている。それらもSACDハイブリッド盤やBlu-spec CD2の高音質フォーマットで発売されているので聴きごたえは充分にある。後日ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集をご紹介できればお考えている。ひとまず今回は24年ぶりのドビュッシーを高音質のライヴ演奏を取り上げてきた。気になる方は一度ぜひ聴いていただければと思う。