第874回「ラトルとベルリンフィルが作り出すブラームス交響曲全集」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃旧EMIから発売されたラトルとベルリン・フィルの演奏は数多く、SACDハイブリッド仕様の高音質盤で名演を楽しむことができるようになっている。それらは現在でも手に入れることができるようになっている比較的人気のあるものが多い。今回はその中から2008年10月29日〜11月14日にかけてフィルハーモニーにてライヴ収録されたブラームス交響曲全集をみていきたいと思う。


「サー・サイモン・ラトル指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」

ブラームス作曲:
交響曲第1番

交響曲第2番

交響曲第3番

交響曲第4番



 当全集は通常CD盤、HQCD盤、そして今回取り上げるSACDハイブリッド盤といくつか分かれて発売されている。もちろんSACDハイブリッド盤が一番音質的にも素晴らしい仕上がりとなっていることは間違いないがそれなりの値段する形となっているので、ここに関してはお好みでそれぞれを購入していただければと思う。私個人としてはより良い音質の良い演奏を聴きたいという考えがあるのでSACDハイブリッド盤を購入した。

 ブラームス交響曲第1番、演奏が始まった瞬間のダイナミック・レンジの幅広さにも驚かされるが、カラヤンやアバドとベルリン・フィルのブラームス交響曲全集を聴いた上で今回の演奏を聴くと2人の演奏とは全く違うスケールで描かれている。録音技術の進歩もあるのだろうが、重厚的なピラミッドが出来上がったベルリン・フィルの弦楽器群も素晴らしい上に金管楽器群や木管楽器群の音色にも生き生きとしたものと勢いを感じる。渋さがあり少々聴きにくさがあったブラームスの交響曲が生まれ変わった瞬間を目の当たりにした瞬間を演奏から味わうことができる。また、今回の演奏がセッション録音ではなくライヴ録音という点も演奏に影響しているはずだ。

 交響曲第2番、重厚的な弦楽器群は変わらず、オーケストラ全体が非常に生き生きとした輝きのある音色で演奏されている。全楽章共通してテンポもやや早めで前のめりになっている印象があるため、非常に聴きやすいと感じる。また、各楽器が伸びやかに旋律を歌い上げておりスケールが増しているのに加えてダイナミクスも細かい変化があるので思わず鳥肌がたってしまうかのような美しい演奏となっている。第4楽章の終結部は活気あるベルリン・フィルの金管楽器によって圧巻のフィナーレを迎えている。

 交響曲第3番、交響曲第2番同様前のめりにぐんぐん進んでいく交響曲第3番。全体的に躍動的な演奏となっており「急→緩」、「緩→急」を非常に良く使い分けている。有名な第3楽章のチェロもその演奏から様々な感情が感じ取ることができる考え深いものとなっている。また、木管楽器の音色が可愛らしくキャッチーなので愛らしさがある。

 交響曲第4番、悲しくも儚いブラームス最後の交響曲。その中でも芯のある重厚的なサウンドが作り上げられたオーケストラから奏でられる透明感のある美しい音色には聴いているだけでもうっとりとしてしまうものがある。全楽章共通して変わることのない音色を聴くことができるのも非常に良い点であり、SACDハイブリッド盤となっていることでダイナミック・レンジの幅広さも素晴らしい。

 ラトルとベルリン・フィルによる演奏を聴いたのは少々久しぶりだった気がするが、たっぷりと楽しむことができるブラームスだったことに間違いはない。今後も旧EMIに残されたラトルとベルリン・フィルによる数多くの演奏に関しては聴きたいと考えているので、前向きにCDを購入するように検討していきたいと思う。