第829回「超貴重!ノイマン&ゲヴァントハウス管によるマーラー交響曲第5番」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃先日「Spectrum Sound」から発売された「ザ・チョイス〜交響曲と管弦楽曲〜」。この中には初出音源となるコンヴイチュニーとシュターツカペレ・ベルリンとのマーラーの交響曲第5番が収録されています。よく今まで発売されなかったものだとCDの内容が公開された際には思いました。今回はコンヴイチュニーが亡くなった後にライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団が録音した同曲をみていきます。そして、その指揮をしているのは…


「ヴァーツラフ・ノイマン指揮/ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管弦楽団」

マーラー作曲:
交響曲第5番



 そうヴァーツラフ・ノイマンである。ノイマンのマーラーといえばチェコ・フィルで全集を完成させたのち晩年に再録音を行なっている。当盤はそれよりも前の1966年に録音されたと記載がある。一部のレーベルでは1965年と記載があるようだがどちらが正しいのだろうか?今回私は数ある盤の中からPhilips盤を手に入れている。コンヴィチュニーが亡くなったのは1962年。その直後に録音された当盤はコンヴィチュニー時代のサウンドがまだ残ったままとなっている。その中でのちに全集を完成させるノイマンが指揮しているというこれほどまでに貴重な演奏は他にないだろう。ちなみにノイマンはゲヴァントハウス管と他に交響曲第7番、第9番も録音しているがこちらも交響曲第5番同様に手に入れづらい代物となっている。

 マーラー交響曲第5番第1楽章、残響が多めな印象。トランペットをはじめとする金管楽器の音色はまろやかに演奏されている印象で、芯のある音の中に慈愛や安心感を感じる。そのためこの曲の構成は「暗→明」なのだが、そこまで暗いという風に感じることはない。テンポはやや遅めでしっかりと足を踏み込んでいる。

 第2楽章、先ほどの第1楽章同様残響は多い。しかしこの余韻とまろやかなサウンドはわりかしらマーラーの交響曲とマッチしている。この楽章は「混沌」という言葉を使われることがあり、破壊的に作られることが多いのだがコンヴィチュニー時代の名残が残るゲヴァントハウス管と若い頃のノイマンによるアプローチが重なりより聴きやすい楽章へと変化した。

 第3楽章、葬送とした第1楽章、混沌とした世界観の第2楽章から一変し親しみのある牧歌的な印象を受ける第3楽章が始まる。様々な楽器のキャッチーなフレーズが多々現れるこの楽章は個人的にこの曲の中で一番好きな楽章で、オーケストラ全体のバランスもよく整われていて非常に良い。

 第4楽章、後にチェコ・フィルと録音した際のものは10分台だったが、今回の演奏では9分台となっている。一見この時間差にはあまり変化はないものの、一般的な演奏は10分を切るものが多い。甘くてもダメだし、甘すぎないのも良くない。そういう意味では弦楽合奏とハープというオーケストラの中でも特に美しい編成で奏でられるこのアダージェットは他の交響曲とはまた違う美しさがあり、ゲヴァントハウス管の弦楽器群はそれを上手く演奏できている。目を閉じながら聴いているだけでいろいろな感情が込み上げてくるが、それも悪くはないものなのでじっくりと味わうことによってより感動できるはずだ。

 第5楽章、ベートーヴェン由来の「暗→明」で描かれているこの曲の最後の楽章が始まる。テンポ変化に関しては細かく変化するため常に走り続けているというわけではなく、テンポを落としたり早めたりすることは多々ある。また、一部トランペットのミスがある。マーラーの交響曲は1時間以上の演奏時間と高音域を多用されるので無理もないだろう。しかし、その後挽回をみせているのでミスに関してはあまり気になることもない。木管楽器の牧歌的な音色は特に功を奏しているしているもので、その音色があるからこそこの曲をより聴きやすくしているのだろうと私は考えた。

 ノイマンとゲヴァントハウス管によるマーラーの交響曲は貴重なため簡単に手に入る代物ではない。私自身マーラーの交響曲CDを集めて今年で3年になるが、当盤にたどり着くまでにそれだけの日数をかけている。他にも欲しいCDはたくさんあるのだが中々手に入れられていないのが現状だ。その中の一つだったノイマンとゲヴァントハウス管による交響曲第5番を手に入れることができて大変満足している。後日他の番号に関しても探したいと思う。