みなさんこんにちは😃今年2021年はベームの没後40年として様々な名盤が復刻されています。今回はタワーレコード企画の「ヴィンテージSACDコレクション」から1958〜1961年かけてベルリン・フィルと録音したベートーヴェンの交響曲第3番「英雄」と第7番、「コリオラン」序曲、ブラームスの交響曲第1番をみていきたいと思います。ブラームスの交響曲第1番に関してはすでにエソテリックからSACDハイブリッド盤が発売されていますが、今回改めてマスタリングが施されているためエソテリック盤とは違う音質を楽しむことができます。
「カール・ベーム指揮/ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団」
ベートーヴェン作曲:
交響曲第3番「英雄」
交響曲第7番
「コリオラン」序曲
ブラームス作曲:
交響曲第1番
個人的にベームといえばウィーン・フィルとの名盤の数々が思い浮かぶが、ベルリン・フィルとも名盤を多く残している。代表的なものといえばモーツァルト交響曲全集と今回取り上げるブラームスの交響曲第1番だろう。エソテリック盤を手に入れて聴いた際の至福の時は心地良い時間だった。今回のタワレコ盤も同様の時間が流れたということは言うまでもない。
ベートーヴェン交響曲第3番「英雄」、冒頭から程よいエネルギーと悠然としたテンポによる演奏が奏でられる。細かいテンポ変化が今まで勢いとかしていたこの曲にアクセントをつける。朝比奈隆の「英雄」に近いようがするがそこまで遅い演奏ではなく、自由性があるという言葉が最も近いだろう。曲全体の構成もしっかりとしていて最初から最後までたっぷりと楽しむことができた。通常この曲はそれなりに長い時間を必要とする交響曲だが、そこまで時間が長くは感じなかった印象を受ける。また、同時期でいえばフリッチャイがベルリン・フィルとも「英雄」やこの後取り上げる交響曲第7番を録音している。これらについてはすでに当ブログで取り上げているのだが、フリッチャイによる演奏と比較するのもまた面白いかもしれない。
交響曲第7番、いつものような軽快な演奏というわけではなく、重厚的かつテンポも遅い。ただ第1楽章がリピートなしとなっているため演奏時間は37分ほどで意外と短い。躍動感はあまり感じられないかもしれないが、巨匠的な貫禄であったりベームによる深い解釈をこの演奏を通して聴くことができる。また、この曲も同時期にフリッチャイがベルリン・フィルと演奏しているのは先ほども触れたが正反対の演奏となっていると言えるだろう。同シリーズでSACDハイブリッド盤が発売されているのでぜひ聴き比べていただきたい。
「コリオラン」序曲、思えばこの曲が好きになったのもベルリン・フィルによる演奏だった。フルトヴェングラーとの「ドイツ帝国放送局アーカイヴ」に収録されたこの曲が特に印象に残っていて、この時の全集を購入するきっかけとなったのがこの曲だった。ベームによる演奏はフルトヴェングラー指揮の演奏と比べても音質も格段に良く、重厚感たっぷり演奏されている。まさにベルリン・フィルが演奏するにふさわしい曲であることを再認識させてくれた名演だ。
ブラームス交響曲第1番、個人的に考えている今回のメインがこのブラームス交響曲第1番である。1959年に録音された当盤はこれまで繰り返し復刻されその都度高音質盤となって発売されている。その中にエソテリック盤が含まれる。エソテリック盤はすでに廃盤となっているのだが、その人気さゆえに発売当時の値段から倍以上の価値となり今では中古で10000円という値段にまで上がっている。私も破格ながらエソテリック盤は購入し、その演奏を体感した。(過去に当ブログでも取り上げている。)今回タワーレコードから5258円でベートーヴェンの交響曲2曲と序曲が含まれた形でオリジナル・アナログ・マスターテープを使用してマスタリングが新たに施されて発売された。もちろんエソテリック盤も非常に素晴らしい出来栄えだった。重厚的なベルリン・フィルのサウンドに透明感が宿り美しい美音となっていたが、今回のタワレコ盤はその先へ向かっている。響きがさらにプラスされた印象を受ける。ダイナミック・レンジの広がりが増したことにより、重厚感たっぷりとなっていた演奏がより聴きやすい形へと生まれ変わっていると言えるだろう。また今回収録されている曲の中で一番生き生きとしている演奏は間違いなくこのブラームスなので今後もじっくりと聴いていきたいと思う。
ベーム没後40年企画ということでこれまでウィーン・フィルとのブルックナーや今回のベルリン・フィルとのベートーヴェン、ブラームスなど数多くの名盤が復刻している。8月には同シリーズでウィーン・フィルとのモーツァルト「レクイエム」が復刻される。これも見逃せない代物だ。ちょうど最近同演奏のSACDハイブリッド盤を手に入れたばかりなので聴き比べができそうですでに待ち遠しい。個人的にいえばウィーン・フィルと録音しているベートーヴェン、ブラームスの交響曲全集もSACDハイブリッド盤で復刻してほしいところなのだが…(これらはSACDシングルレイヤーで発売されている。)
