第803回「朝比奈隆第2回目のブラームス交響曲全集、新日本フィルとのライヴ」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃朝比奈隆、彼のブルックナーは多くの人々から好評されているのはご存知のことだと思う。対してベートーヴェンやブラームスはあまり注目されていないような気がする。今年は没後20年という年でタワーレコード企画としてSACDハイブリッド仕様やSACDシングルレイヤーなど、過去に発売されたものが再発売され、中々手に入れることが出来なかったCDを手に入れられるようになり、多くの人々が朝比奈隆の演奏を聴くチャンスが増えている。そんな今回、取り上げていくのは新日本フィルハーモニー交響楽団と1990〜1992年にかけて演奏したブラームス交響曲全集。朝比奈隆のブラームスの交響曲全集は4種類存在しているが、今回の演奏は第2回目にあたる演奏だ。


「朝比奈隆指揮/新日本フィルハーモニー交響楽団」

ブラームス交響曲全集(1990〜1992年ライヴ録音)

交響曲第1番

交響曲第2番

交響曲第3番

交響曲第4番

ハイドンの主題による変奏曲



 朝比奈隆のブラームスを聴くのは私自身今回が初めてのことで、ベートーヴェンの交響曲全集は2回聴いているのとブルックナーの交響曲をいくつか聴いている。あとはマーラーの交響曲くらい。ブラームスに関してはこれまで中々再販売されることがなく、今回ようやく手に入れることができた。同時に3回目、4回目にあたる全集も購入できたので、後日ご紹介したいと思う。

 ブラームス交響曲第1番、重心が低く、一歩一歩演奏している印象。第1楽章はリピートありとなっているのだが、7分の時点で戻るため「まだ一周目だったのか!」と思わず驚いてしまった。どちらかといえばブルックナーの交響曲に近い作りをしているような表現で、音の広がりはより美しく、残響がずっと残る。アタックも決して強いわけではなく、慈愛に満ちた発音になっている。全てにおいて優しさを感じたブラームスの交響曲第1番は今回の演奏が初めてかもしれない。

 交響曲第2番、先ほどの交響曲第1番とは違い幾分か推進力が加わったことにより、軽快さが演奏から感じられるようになった。そのため、あまり重厚的だったりするいつものブラームスとは違うあっさりめのブラームスを聴くことができるようになっている。弦楽器が全面的に押し出され木管楽器が調和を与えている印象。金管楽器は少々パワー不足にも感じられるが、美しさが滲み出る交響曲第2番の演奏だ。

 交響曲第3番、牧歌的で親しみやすく、安らぎを与えてくれるようなサウンドとなっている。キレ味というよりも優美さが重視されている印象で、この曲の理想形態にあるようなテンポ、音色、響きの演奏が楽しめる。演奏時間も他の交響曲に比べて比較的短い作品なので、ちょっとした時に聴くことができる。

 交響曲第4番、透き通るような透明さというよりもキレ味を強く感じられる。心の奥底にある信念の強さを演奏から感じられる交響曲第4番だ。ブラームスの交響曲の中でも屈指の美しさとして知られているこの曲。決定盤とまではいかないかもしれないが、名盤として紹介されてもなんの疑いをしないクオリティになっている。

 ハイドンの主題による変奏曲、朝比奈隆が唯一録音した演奏がこのハイドン変奏曲である。ブラームス作品の中でも人気のある曲だが、あまり録音が残っていないのは少々意外だった。演奏は重厚的ながら、まろやかで牧歌的な音色と慈愛に満ちたサウンドとなっており非常に聴きやすい印象を受ける。

 さて、朝比奈隆のブラームス交響曲全集を今回初めて聴いたわけだが、そこまで悪い印象はなく聴き終えることができた。後日他2種類のブラームス交響曲全集やいくつかあるベートーヴェンの交響曲全集を聴いてみようと考えている。今回の再販売等をきっかけに一人でも多くの人々に朝比奈隆の演奏を聴く機会が渡ってくれれば幸いだ。