第710回「バルトーク生誕140年、山崎孝によるピアノ曲《ミクロコスモス》」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日3月25日はバルトーク・ベーラの誕生日です。今年で生誕140年となります。「管弦楽のための協奏曲」やバレエ音楽「中国の不思議な役人」、「弦楽器、打楽器とチェレスタのための音楽」など民俗音楽を用いた作品やピアノ曲を多く残しました。本日はバルトークを代表とするピアノ曲から「ミクロコスモス」をみていきたいと思います。総演奏時間は約2時間と長大な作品で、153曲の小品からなる練習曲集として今日に知られています。今回この曲を演奏しているのはバルトークの解説第一人者として知られる山崎孝によるものです。


「山崎孝(ピアノ)」


バルトーク作曲:
ミクロコスモス



 バルトークの作品はより現代音楽に近い作風が多いが、ほとんどは民俗音楽からなるもので、関連性があるとするならばストラヴィンスキーがあげられる。例えば、バレエ音楽「中国の不思議な役人」をバルトークが作曲した際、バレエ音楽「春の祭典」の2台ピアノ用の楽譜を研究したとされており、その影響が「中国の不思議な役人」であげられる。とはいえ、ストラヴィンスキーの原始主義は初期のみであって、バルトークは独自に民俗音楽を研究し、それを音楽に反映させた人物というのは間違いないだろう。

 「ミクロコスモス」、その名の通り153曲からなる小品を集めた曲集である。序盤はより初心者向けのものとなっているが、最終的な難易度としては非常に高いもので、総演奏時間は2時間を超える。山崎孝さんはこの曲に関する本を出したりと、バルトークの研究を行なっている人物である。

 今回のCDは1999年に「fontec」から発売された。その演奏はまさに宇宙を聴いているもので間違いなく、壮大な世界観を楽しむことができるようになっている。ピアノの音色は若干明るめではあるものの、より初心者向けの曲から高難易度を必要とする曲まで幅広くこなすところとしてはバルトークのスペシャリストたる風格を感じる。

 バルトークのピアノ作品は打楽器的なものからよりピアノらしいものなど、幅広いジャンルが存在する。今回の「ミクロコスモス」はその中でも一番新しい時期に作曲された曲で、教育的な面が強く曲に反映されているものの、バルトークが歩んできた道のりの最終局を聴いているかのような独特の雰囲気を曲から感じ取ることができる。それを山崎さんのピアノではより深く、本質を突くように感じることができ、現状あまり録音されていないこの曲だが、仮に名盤をあげるならばこのCDをオススメしたいところである。