第675回「ヤノフスキ&スイス・ロマンド管による圧巻のブルックナー交響曲全集〜その3〜」 | クラシック名盤ヒストリア@毎日投稿中!!

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 みなさんこんにちは😃本日2月18日はマレク・ヤノフスキの誕生日です。今年で82歳となります。おめでとうございます🎉そんな本日は以前より投稿していたヤノフスキとスイス・ロマンド管弦楽団によるブルックナー交響曲全集を取り上げます。これまで交響曲第1番〜3番、第4番〜6番と過去に2回取り上げてきましたが、今回の3回目でヤノフスキ&スイス・ロマンド管によるブルックナー交響曲全集は完結となります。今回は交響曲第7番、交響曲第8番、交響曲第9番の3曲をみていきます。


「マレク・ヤノフスキ指揮/スイス・ロマンド管弦楽団」


ブルックナー作曲:
交響曲第7番(ノヴァーク版)

交響曲第8番(1890年、ノヴァーク版)

交響曲第9番(ノヴァーク版)





 ヤノフスキによるブルックナーの交響曲全集は一曲ずつならば手に入れるのは容易なのだが、全集はすでに廃盤となっており手に入れるのは一苦労する。とはいえこれだけの美しいサウンドを楽しめるSACDハイブリッド仕様のブルックナーは本当に貴重であると私は考える。近年20世紀後半に演奏された名盤がより高音質盤となりリイシューされているが、それらとはまた違う21世紀での名盤こそがヤノフスキのブルックナーであると考える。ハース版が使われていないという点も特徴なのだが、手に入れて損することはないはずだ。

 交響曲第7番。ブルックナーの交響曲の中でも一位二位を争う美しさを誇るこの曲。演奏時間もそこまで長くないため、聴きやすい作品の一つと言えるだろう。より複雑化していた交響曲第5番とは違いシンプルかつ壮大な作品とされる交響曲第7番。第2楽章の美しさは今回の演奏では聴きどころとなっており、第2楽章が終わった時点で思わず涙が流れてきてしまいそうになる。どこかコンパクトな演奏にも感じるが、これまでにない美的なブルックナー・サウンドを聴くことができるのは間違いない。

 交響曲第8番。後期ロマン派を代表とする名曲の一つであり、多くの指揮者が演奏してきたブルックナーを代表とする曲。ヤノフスキはこの交響曲第8番を濃厚ながらしつこさが残らない形で演奏をしている。これまでのブルックナーでいえば重厚的でなおかつテンポも重め、壮大なスケールの演奏が多かったかと思う。今回の演奏では重厚的にはあまり感じず、スイス・ロマンド管による美しいサウンドを保ったまま演奏されている。テンポもやや速めとなっており、より聴きやすいブルックナーとなっていることには間違いない。特徴的な金管楽器のサウンドも強すぎず、慈愛に包まれた印象も受ける。

 交響曲第9番。未完成に終わったブルックナー最後の交響曲、第3楽章までしか完成していないもののその壮大さに関しては他の交響曲を凌駕する作品となっている。今回の演奏では繊細に作られている上に、伸びやかな弦楽器群や透明感の高い木管楽器など聴きどころが多く存在するまさに名演となっている。曲の大きさよりも美が追求されているようにも感じられ、最初から最後までヤノフスキが最後のブルックナーの交響曲に挑んだ意気込みが伺える。いつか良いスピーカーを手に入れた時にこの演奏を改めて聴きたい。そういう精神を落ち着けながら聴くとこの曲の真意を知ることができるはずだ。

 今回でヤノフスキとスイス・ロマンド管によるブルックナー交響曲全集を全て聴き終えた。聴き終えるまでのスパンが長かったものの、これまでのブルックナーとは違う美が追求されたブルックナーを最後まで堪能することができた。この次にはヤノフスキとケルンWDR交響楽団によるベートーヴェン交響曲全集を聴きたいと思う。まだまだ現役指揮者として活躍を続けるヤノフスキ、今後の活躍を期待しつつ彼の演奏を聴きたいと思う。